映画0135 2024/06/04異人たちとの夏 を観て プッチーニの「私のお父さん」が鍵 | 「久蔵」と「ヒヨコ」の日記

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映画0133 2024/04/30 異人たちの鑑賞に関連し、

映画0135 2024/06/04 異人たちとの夏を観ました。

これは録画したBD(2011/7/28 NHK BSプレミアム)を鑑賞したものです。

 

 

松竹の作品情報は下に記述してあります。適宜ご覧ください。

 

 

見た感想など

タイトルバックに主人公が書いたであろうドラマが流れます。

クレジットには
挿入歌
プッチーニのオペラ「ジャンニスキッキ」より
アリア「私のお父さん」
唄:名古屋木実
指揮:増井信貴

が流れます。


それを受けて映画が始まります。
シナリオライターの主人公の原田が書いたテレビドラマの少女が死ぬところで

プッチーニを指定するも、

仕事の関係者である間宮の一存でカットしたことを言う電話から始まります。

プッチーニの「私のお父さん」の前振りですね。

いい構成です。

原田が恋人の桂と会った時から「私のお父さん」が少し流れます。

クライマックスでは最大限に流れます。

原作では終盤に原田が桂の部屋を訪れた時、レコードプレーヤーで初めて同曲が流れます。

 

原田が初めて原田の部屋に桂を招きいれた時、

テレビには高峰秀子さん主演「カルメン故郷に帰る」が流れています。

日本初の総天然色映画として製作された劇場公開日が1951年3月21日で、

松竹大船制作 木下恵介監督作です。

この異人たちとの夏の映画にはそのクレジットの記述はありません。

これは若いころ「チネチッタ日本映画名作オールナイト(勝手に名前をつけました)」で、

観た映画です。


考察

この映画はプッチーニのオペラ「ジャンニスキッキ」より

アリア「私のお父さん」が鍵です。

オペラ「ジャンニスキッキ」は主人公のジャンニ・スキッキ(父)が

大富豪の遺産を巡る親戚間の騒動と

若い男女の恋を見事に解決するさまを描いたオペラです。

このアリア「私のお父さん」は娘が恋人のことを思い、お父さんに

「指輪を買うために、ポルタ・ロッサに行きたいです。

もし私が彼を愛したことが無駄になったら、 

アルノ川に身を投げるためにポンテ・ヴェッキオ橋に行くでしょう。

私は苦しみ、悩んでいます。

ああ、神よ。私は死にたい。私のお父さん。

どうか、お願いです。」

と父を脅す歌です。それで父は問題を解決するのです。

 

しかし映画の中の桂はハッピーエンドになれません。

桂は最初に原田に相手にされず死んだのです。

それで桂の歌としてアリア「私のお父さん」が使われたと考えます。

 

両親(父が代表)と桂の最後のセリフは以下です。

父の別れ際のセリフ
「てめえで、てめえを大事にしないで、誰が大事にするもんか」
桂の別れ際のセリフ
「私のことは忘れて、あなたは生きるのよ、取り戻せるわ、あなたなら」

これは原作にはなかったと思います。

両親も桂も原田を愛しているのです。

特に両親は無償の愛です。

それで原田は離婚を乗り越えて生き返るのです。

いい脚色です。

原作よりも好きです。

(0133、0135は本ブログの映画鑑賞記録の番号です)

 

★★★★★

父の片岡鶴太郎さん、母の秋吉久美子さんの名演技が光ります。

 

秋吉久美子さんの生年月日をネットで調べると当時34歳、

風間杜夫さんが当時39歳です。

風間杜夫さんからみて5歳も歳下のお母さんをうまく演じています。

 

秋吉久美子さんは「夢千代日記」の金魚さんの役の演技もいいです。

いずれ当ブログに記述します。

 

★★★★★

松竹株式会社の作品情報は以下です。

公開日:1988年9月15日(木)

INTRODUCTION
上映時間・108分
渇き切った現代人の生活に、そっと忍び込んでくる孤独と幻想。お伽話といって笑えない不思議な時間と非現実な空間。第一回山本周五郎賞を受賞した山田太一の小説を、市川森一の脚色で大林宣彦が演出した異色作。妻子と別れた人気シナリオライターが体験した、異人である父母とのひと時のふれあいと、奇妙な出会いをした恋人との不思議な愛の幻想を描く。
STORY
原田英雄(風間杜夫)は40歳、職業はシナリオライターである。妻子と別れ、今はマンションに一人暮らしをしていた。ある日、原田は幼い頃に住んでいた浅草に出かけ、偶然死んだはずの両親(片岡鶴太郎、秋吉久美子)に会う。二人は原田が12歳の時に交通事故で死亡したが、なぜかその時の年齢のまま、浅草に住んでいたのだった。原田は懐かしさのあまり、浅草の両親の家へたびたび通うようになる。一方で、原田は同じマンションに住む桂(名取裕子)という女性と、愛し合うようになっていた。桂は英雄を気遣い、もう死んだはずの両親に会うなという。異人(幽霊)に近づくと、それだけ自分の体は衰弱し、死に近づいてしまうのである。原田は桂の言葉で、両親と別れる決心をし、浅草にあるすき焼き屋で親子水いらず別れの宴を開いた。暖かい両親の愛情に接し、原田が涙ながらに別れを告げると、両親の姿は消えていった。しかし、なぜか原田の衰弱は止まらなかった。実は、桂も異人だったのである。
- キャスト -
風間杜夫
秋吉久美子
片岡鶴太郎
名取裕子
- スタッフ -
原作:山田太一
監督:大林宣彦
脚色:市川森一
撮影:阪本善尚
音楽:篠崎正嗣
配給:松竹