昨日はヒューマントラストシネマ有楽町で「1975年のケルン・コンサート」を。

実話を元にしたこの作品、ドタバタしながらの疾走感がたまらなく良かったし、後半にテンポを落としてゆっくりと描いて行く所が抜群の面白さ。
使われている音楽の格好良さ、物語の面白さ、その生き様がしっかりと焼き付けられていて、とても面白かった。

親と子の物語は割とありきたりな感じはするけども、主人公が街を出て行動するその姿がとても魅力的に描かれていたし、疾走感溢れる描き方のおかげもあって、すぐに引き込まれて行った。

使われている音楽の格好良さ、特にCANやNEU!といったバンド達の曲達は、先日のマイブラの来日公演の開場前に流れていて、その格好良さは理解していたし、CANはイエジー・スコリモフスキ監督「早春」での使われ方が元々最高だから、物語を体感して行く上で心躍るものがあった。

1人の女性の生き様としてこの物語を観て行くと、自分の人生を生きる為の闘いや鬩ぎ合いが時に滲み出ていて、そこに時を超えた現在を感じずにはいられなかったし、社会運動やあの書かれ方具合と言うのは、今も昔も変わらぬ物がここにはあるのだと実感せずにはいられなかった。

コンサートを終えてコンサートを演るために向かうその過程の描き方が素晴らしかった。
その問いは哲学的な所もあったし、物語をグッと深めて行く所もあったから、観ていてたまらない物があって。
会話をしながら探究して行くあの感じは、ある種の核心に触れるように出来たようにも思う。

ロックとジャズの立ち位置で、ジャズをああいう風に言ってた人がいたけど、それは納得する所でもあって。
偉人達を追い、現役世代がよく分からないというのがつい最近までずっとあったから、ああいう感じで描いていたのは非常に納得だった。

物語が再び走り出して行く中でのドタバタは、とてもスリリングである種、そこに人間性が滲み出る姿が描かれていて、とても良かった。
あのドタバタは形を変えて知らない誰かにも、自分にも時にはある事だけど、釘付けにならずにはいられない物があった。

主人公を軸にして描かれて行く人間模様の中でも、主人公の兄との関係性には思わずグッと来る物があって。
これはこれ、それはそれ、だけどという所での姿やその関係性を描いていた所は、もしかしたら2026年の現在とても必要な物なのではないかと思ったり。

物語のクライマックスを迎えるあの瞬間は、取り組んで来たその姿や景色や様々な想いを一つにして、丁寧に描いていたし、あの描き方だからこそ、観終えた後の余韻がより深く感じられて最高だった。

生きる上での躍動感や輝き、人間関係や生まれる軋轢や、真っ正面から向き合って取り組むからこその生きる苦さだったり、音楽の鼓動や躍動と共に疾走する物語は、時を超えて2026年の現在と響き合うからこその面白さが溢れていて、素晴らしい作品でした。