今日はヒューマントラストシネマ渋谷で「行き止まりの世界に生まれて」を。
大人になろうとする中で新たな居場所や幸せを求めながら、現実が浮き彫りになって行く中で感じる遣る瀬なさや悲しみが果てしなく深く滲む作品だったように思う。
でも観終えた後の余韻がとても深く響いて来る作品で素晴らしかった。

相手の事を想っているはずなのに、歯車が噛み合わず全てを狂わせて行く悲しみと遣る瀬なさ、そんなはずではなかったからこその後悔だとか、言葉では表し切れない様々な事が映し出されていて。
登場人物達のその姿や光景を見つめる事しか出来なかった。

その現実が浮き彫りになって行く中での根深さが淡々と深く染みて来る感じには引き込まれながらも、余計な感情移入が出来ないし、ここで語っているのを観たからと言って登場人物達の事を分かった気にすらなれない。
でもずっと目が離せなかった。

現実を浮き彫りにする事で、浮き彫りになって行く現実に向き合って行くからこその姿にはヒリヒリしている物を感じたし、だからこそ未来が少しずつ切り開かれて行くようにも思えた。

言葉では表し切れない感情や想いを抱えながら、それでも生きる姿に釘付けにならずにはいられないし、それは自分も含めて観ている人達の人生の断片がもしかしたら何処かで重なり合うかもしれないリアルさが溢れている素晴らしい作品でした。