今日は石井岳龍監督の新作「箱男」のジャパンプレミア@新宿ピカデリーを。‬
‪ロックンロールを鳴らすように描いて行く序盤の展開に一気に心を鷲掴みにされながら、後に箱男の箱の奥底へと導いて行く物語の深さと圧倒的な世界観が抜群の面白さ。‬
‪全てが最高で最狂でもあった素晴らしいこの作品。

‪序盤の展開でグイグイと突き進んで行きながら、ロックンロールを鳴らすようなカッコ良さと共に描いて行く面白さがあまりにも最高過ぎたし、その中で柳英里紗の姿を観れて嬉しく思ったし、渋川清彦が完全に狂っていて、もはや笑うしかなかったのがあまりにも最高過ぎた。‬

‪夢と現実の狭間を行き来するかのように描いて行く物語は、時にとてもリアルだからこその面白さもあれば、明らかに変態ぶりを発揮して魅せるぶっ飛び具合もあったりして、物語を描く演出の面白さもしっかりと楽しめたし、俳優陣の演技と監督の作家性も存分に楽しむ事が出来た。‬

‪この作品が制作中止になった当時は、特に永瀬正敏と浅野忠信が憧れだった事もあって、映画館で映画を観る上で、やっぱりこの2人の共演を観るのはとても楽しいなと実感する。‬
‪何よりも楽しそうに演技をしていた浅野忠信マジで最高過ぎたなあ。‬

そして白本彩奈演じる女性のミステリアスな感じから、気がつけばフランスのヌーヴェルバーグ的な美しさや妖しさが溢れ行くその展開には釘付けにぬらずにはいられない素晴らしさが溢れていたし、音楽で言えばトランスと重ね合わせた物語の描き具合、その演出が最高過ぎた。‬

夢なのか現実なのかその境目が分からなくなる時に佐藤浩市の演技と存在感が圧巻だったし、ある種の変態さが際立つあの立ち振る舞いにはもう笑うしかなかった所もあって素晴らしかった。

‪闘いの場面は、ディズニー映画で例えば「トイ・ストーリー」を思いっきりアナログな感じで、より暴力的な感じで展開するとこんな感じなんだろうなとか訳の分からない事を思いつつも、痛快爽快な闘いっぷりに釘付けになりながら、時に笑いが止まらなかった。

‬箱男の箱の奥底へと導いて行きながら、何処までも果てしなく深く物語を描いて行く過程が抜群の面白さだったし、その中で魅せる俳優陣の演技の面白さを存分に楽しめたのが最高だった。‬

‪‪あの終わり方がたまらなく良かったし、ある種の現在を的確に指摘している感じが素晴らしかったし、観終わった後の深い余韻がたまらない帰り道でもあった。

終盤に向かう辺りで笑いの沸点が低くなる人もいれば、あの描き方に間延びを感じてなんだろうな、寝てた人もいたので、その辺は物語の捉え方一つで色々と変わるのは確かな作品。‬
‪でも石井岳龍監督の作家性、俳優陣の演技と存在感を土台にして、しっかりとエンタメしていたね。

監督の作家性と俳優陣の演技と存在感を存分に楽しめる作品はやっぱり最高に面白いなと今回「箱男」を観て、しみじみ思う。

原作の魅力と現在を描きながらの石井岳龍監督の作家性を久し振りに心から楽しむ事が出来たし、永瀬正敏と浅野忠信をはじめとする俳優陣の演技と存在感をたっぷりと堪能する事が出来たし、エンタメと芸術が最高の形で両立されている素晴らしい作品でした。