4/12 水曜日 自宅療養45日目。


続きです。


午後、午前にも来ていたただいた週5メインの看護師さんが再度訪問してくれました。


脈を測っていただき、パルスオキシメーターで酸素濃度などのチェックをして貰い、点滴などのチェック…チューブに当ててあるガーゼやテープのチェック、交換、、

午前にも診ていただいたのに、きちんと全て行ってくれました。


また、会いにきましたよ〜、と優しく話しかけながら処置を行っていただき、

彼女は半分夢の中のような状態でしたが、看護師さんが来てくれていることはわかっているようで、嬉しそうに微笑み返していました。


処置が終わって、看護師さんとNちゃんとわたし、3人でベッドの周りに並び、


『2回も来てもらえて良かったねぇ。』

と、話しかけ、朝の出来事などを彼女に話しかけると、彼女はわかっているようで、お騒がせしてすみません、といった感じで照れくさそうに、申し訳無さそうに笑ってくれました。


喉が乾いたようで、お水の入ったペットボトルを自分で取って持とうとしたのですが、手に力が入らないようで自分で持つことが出来ず、看護師さんがそっとペットボトルを持ち、ストローを彼女の口元に持っていくと、彼女はストローから口をずらしました。

『あれ?わたしでは駄目かな?(笑)』

というと、Nちゃんが、

『わたしがやってもいいですか?』と、ペットボトルを受け取り、彼女の口元へストローを持っていくと…やはり、口をずらし、、

Nちゃんも『あれ?駄目なの?(笑)』と。


わたしが最後にペットボトルを持ち、彼女の手もボトルにそっと添えさせ、口元にストローを近づけると、ストローをくわえてくれました。


ストローで吸い上げる力も弱っていて、自力で吸い上げることが出来ず、わたしがペットボトルに力を少し加え、ストローの出口付近までお水を上げると、彼女は頑張って吸って3口ほど飲んでくれました。


力の加減が最初難しくて、お水が少しこぼれてしまい、

『ごめんね、力入りすぎちゃった(笑)。』

と、口元を拭きながら謝ると彼女は言葉にしたわけではありませんが、

「大丈夫。気にしないでね。」と、いった表情で手を顔の前で左右に振ってくれました。


『ちゃんとやってもらいたい人を選んでますねぇ(笑)。』

看護師さんが彼女にそう言うと、微笑みながらコクンと頷きました。


すごく嬉しかったです。嬉しくて泣きそうになってしまいました。


看護師さんはいつもと変わらない位、2時間程滞在してくれました。(短くても2.5時間位は毎回、滞在していただけました。長い時間、本当に有難かったです。)

帰り際、

『先生からのお話でもあったけれど…絶対とは言い切れないけれど、診た感じでは今日明日ではないからね、、

ただ脈は弱くなってきてはいます。でも酸素濃度は酸素マスクをちゃんとつけていただけているのもあって安定しているからね。…1週間…先生が言っていたお話をまずは目標に、、Sさんも会社を暫く休むって決めたし、2人の時間を少しでも長くできるように頑張りましょう。頼ってくださいね、電話もいつしてきてもいいですからね、遠慮しないでね。今日はわたしが緊急連絡当番、明日も明後日もうちのチームのメンバーだからね。その後の日程も皆、すぐに対応してくれるから安心してね。』


わたしはその時、彼女の様子をみて、気になった事を質問させていただきました。

『今の彼女の呼吸が下顎呼吸のように見えますが、、素人調べなのできちんとわかってはいないのですが…違いますか?。』


下顎呼吸…

旅立つ7~8時間前位から見受けられることが多い、と調べた時に知った呼吸、、


彼女は顎を上下させて呼吸をしているようにみえたので、今日明日ではない…とお話があったけれど…と気になってお伺いしてみました。


『大丈夫。違いますよ。ウトウトはだいぶ増えているけれど、、

たまにSさんの言う夢の世界に行っていることもあるみたいですけど…お話してる時もまだちゃんとわかっているようだから、意識もちゃんとしているみたいだし。まだ大丈夫ですよ。』


優しく答えていただけました。


『良かった…気になったので…。今日は本当にありがとうございました。今日も、ですが…。』


看護師さんを見送り、Nちゃんと3人になり、Nちゃんとウトウトしている彼女の横で彼女が観ていたテレビをみながら少しゆっくりしていると、田舎だから最寄り駅から自宅への最終バスが早くなくなるので名残惜しいけど帰ります、と帰支度をしました。


『Mちゃん、また次の日曜、来るからね〜。』

と、ウトウトしている彼女に言い、


『日曜に来る予定だったのに、今日は急遽お邪魔させて貰って、、会えて嬉しかったです。ありがとうございます。今度の日曜もお邪魔してもいいですか?』


『こちらこそ、急遽ありがとう。普通に振る舞ってくれてありがとう。苦しくならず、寝ている状態でなく会って貰えて良かったよ。本当にありがとう。日曜、大変じゃなければ来てね、2人で待ってるよ。』


18時前にNちゃんを見送り、2人になりました。


とりあえず1週間、、

もっと長く一緒に居られる、、

きっと居られる、、

でも、、苦しくて辛い時間が長くなるのか…ともふと頭をよぎりましたが…


彼女もおれと少しでも長く一緒に居たい…過ごしたい、と思っていてくれている、、


2人で、、

皆さんの力を借りて、、

頑張ろうね、、

Nちゃん、日曜も会いに来てくれるって、良かったねぇ、

とウトウトからお昼寝モードに入った彼女に小さな声で話しかけ、その後、キッチンで点滴の準備、洗い物などを少しだけしました。


床にマットを敷いて横になるのはもうやめよう、どちらにしろ、きちんと眠れていないんだし、、


ベッドを低くしても床からの高さでは彼女を真横で見守ることが出来ないし、


少しでも彼女の近くで、

より傍で彼女を感じ、見守りたい…


見守ることしか出来ないけれど、、


彼女もふと横を向いた時、

向かなくてもより近くにおれの気配を感じることが出来たほうがいいって思ってくれるよね、


そう考えて、少しだけ斜めに角度を変えられる一人がけのリクライニングソファを他の部屋から持ってきて、ベッドの横に置き、それで過ごそうと思いました。


運んでいる時間、、

そんなにかかるわけではないけれど少しの、短い数分でもよりこれからは貴重な時間、、

隣にいた方がいいかな…

ソファを運び入れる時間、、勿体ないかな…


でも、下顎呼吸じゃない、今日明日じゃない、って言って貰えた、、

それならば、やっぱりより近くでずっと見守りたい、、

今の折りたたみの椅子(アウトドア用)では長時間は無理、、きっと彼女がその椅子で?!と思って心配かけてしまうよね、


と考えてソファを猛スピードで運びいれました。


でも…


そのソファで彼女の寝顔を見守る夜は来ませんでした…。


この時、まさか、、

このソファで彼女の永遠の安らかな寝顔を見守ることになるとは思ってもいませんでした。



大切な僅かな時間を、、


数分でも多く、彼女の傍に居れば良かったのに、、


今日明日ではないと自分に言い聞かせ、安心させ、、


ソファなんか運んで、時間を無駄にして…



本当に本当に馬鹿で愚かな自分が嫌になり…


今も思い出しては…自分の愚かさを痛感しています。