『赤炎』 3ノ1
3.
「きゃあ!」
アサリーは手に持っていた水の入った桶をひっくり返しました。
「……」
ベッドの上に病人が起き上がっていて、ドアを開けたアサリーの方を見たのです。
ついさっきまで、意識もなかったはずなのに。
「あ、あんた、起きて大丈夫なの?」
少年がうなずきます。
「……世話、かけたみたいで……悪かった」
黒い髪が汗に濡れた額に張り付いていて、少年はうるさげにそれを撫で上げました。
たったそれだけの動きで体が悲鳴を上げそうです。
「熱は?さっきはまだ熱かったわよ?」
「だいぶ、下がった」
動けるから大丈夫そうだと、レイディンは判断しました。
「そう。良かったわ。って、嘘ついてんじゃないわよ。さっき顔触ったけど熱かったじゃない」
アサリーはやっと我を取り戻し、こぼしてしまった水を拭き取り始めました。
「あ~あ、びちょびちょだわ。……ねぇ、あんた、名前は?」
「え……名前?」
なぜだか少年は口ごもります。
「どうかした?」
「あ、や。オレは、レイディン」
レイディンが一瞬口ごもったのは、頭が真っ白になって名前が出てこなかったのです。
高熱に浮かされた後は、時折こういう事が起こっていました。
「そ。私はアサリーよ、よろしくね」
アサリーは床の上を拭い終えた雑巾やらシーツやらを抱えて、レイディンに笑って見せます。
「なんか食べられそう?今日の夕飯の残りで良ければシチューなんかどう?」
レイディンは先ほどより幾分か力強く頷きました。
「ありがとう」
レイディンの言葉ににっこり笑って、アサリーはドアの向こうに消えてゆきました。
『赤炎』3ノ2へ
********************************************************
覚醒。


↑ ↑ ↑ ↑
私の勇気が出るボタン
「きゃあ!」
アサリーは手に持っていた水の入った桶をひっくり返しました。
「……」
ベッドの上に病人が起き上がっていて、ドアを開けたアサリーの方を見たのです。
ついさっきまで、意識もなかったはずなのに。
「あ、あんた、起きて大丈夫なの?」
少年がうなずきます。
「……世話、かけたみたいで……悪かった」
黒い髪が汗に濡れた額に張り付いていて、少年はうるさげにそれを撫で上げました。
たったそれだけの動きで体が悲鳴を上げそうです。
「熱は?さっきはまだ熱かったわよ?」
「だいぶ、下がった」
動けるから大丈夫そうだと、レイディンは判断しました。
「そう。良かったわ。って、嘘ついてんじゃないわよ。さっき顔触ったけど熱かったじゃない」
アサリーはやっと我を取り戻し、こぼしてしまった水を拭き取り始めました。
「あ~あ、びちょびちょだわ。……ねぇ、あんた、名前は?」
「え……名前?」
なぜだか少年は口ごもります。
「どうかした?」
「あ、や。オレは、レイディン」
レイディンが一瞬口ごもったのは、頭が真っ白になって名前が出てこなかったのです。
高熱に浮かされた後は、時折こういう事が起こっていました。
「そ。私はアサリーよ、よろしくね」
アサリーは床の上を拭い終えた雑巾やらシーツやらを抱えて、レイディンに笑って見せます。
「なんか食べられそう?今日の夕飯の残りで良ければシチューなんかどう?」
レイディンは先ほどより幾分か力強く頷きました。
「ありがとう」
レイディンの言葉ににっこり笑って、アサリーはドアの向こうに消えてゆきました。
『赤炎』3ノ2へ
********************************************************
覚醒。

↑ ↑ ↑ ↑
私の勇気が出るボタン