『赤炎』 3ノ2
徐々にレイディンの意識がハッキリしてきます。
内側を焼いていた紅蓮の炎は、いったん態を潜めたようでした。
「……だいたい、二日……ってとこかな」
レイディンの体温は、今も普通の人間の高熱の域にあります。でも、≪赤炎の戦士≫としての力を手に入れて半年、その程度の熱には体がもう慣れていました。
力を使った反動で、時々意識を失うほどの熱に意識を失うのが丸一日。余熱に体の自由が効きにくくなるのが、その前後で合わせて丸一日。
深く深く息を吐きます。
その二日間の間に、襲われたりしたら、死ぬんじゃないの?オレ。
「ていうか、ここ、どこだか分かんねーし」
レイディンは立てた膝に額をつけ、頭を抱えました。
どうやら、ここ数日の記憶が飛んでしまっているようです。
「……シェイ……オレ、アンタの事、恨むかも」
母親代わりに甘えた事は一度もありませんでしたが、師弟のような信頼関係は存在していたと想っていたのに、シェイヴィアがレイディンに告げた言葉は想像以上に無情な物だったのです。
『お前は、≪赤炎の戦士≫の器となるべく存在していた一族の、たった一人の生き残りなのだ』
『純血ではない為、力を受け入れるのには少し苦労するかも知れんが、安心しろ、死にはしないだろう』
「……いや、オレちょっと死にそうだったんだけど」
喉がカラカラでした。
ベッド脇に用意されていた水を一口飲み下すと。焼かれた喉がヒリヒリと痛みます。
トントン、とドアがノックされ、アサリーが戻ってきました。
レイディンは水のコップを枕元に戻します。
「起きてて平気?」
「もう、大丈夫」
熱さえ下がれば、少ししたら元の調子に戻るのです。
病気ではないのだから、しばらくはこれで大丈夫なはずでした。
「そ。よかったわ」
はい、と差し出された木の器には、クリームシチューが半分ほどよそわれていました。
「もし食べられるようなら、まだあるから言ってね」
レイディンが口をつけたそれは、熱くもなく温くもなく、舌にちょうど良い温度で、そして……。
「ねぇ」
レイディンは少し首を傾けてアサリーに視線をやりました。
「アサリー、さんは、歳いくつなの?」
「私?女に歳訊く前に自分が言いなさいよ」
「……オレは、十六」
「あら、見かけより大人じゃない。私は二十二よ」
「あんたは見かけより若く見える」
レイディンは手の中の器に視線を戻しました。
「で、独身?親は?」
「何?一体、若い女の詮索してどうしようっての?」
「……すげー不味いから、誰が作ったのかと思って」
プッチン。
何かが切れるような音がして、レイディンは次の瞬間、パシーン!と後ろ頭を叩かれます。
なんて事はない女の軽い平手だが、高熱が回っていた頭には激痛となって走りました。
「いってぇ」
「あんたね」
「ごめん!」
笑う余裕がレイディンに戻っていました。
「明日の朝は、オレがうまい飯作ってやるから」
『赤炎』3ノ3へ
********************************************************
餌付け?


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「……だいたい、二日……ってとこかな」
レイディンの体温は、今も普通の人間の高熱の域にあります。でも、≪赤炎の戦士≫としての力を手に入れて半年、その程度の熱には体がもう慣れていました。
力を使った反動で、時々意識を失うほどの熱に意識を失うのが丸一日。余熱に体の自由が効きにくくなるのが、その前後で合わせて丸一日。
深く深く息を吐きます。
その二日間の間に、襲われたりしたら、死ぬんじゃないの?オレ。
「ていうか、ここ、どこだか分かんねーし」
レイディンは立てた膝に額をつけ、頭を抱えました。
どうやら、ここ数日の記憶が飛んでしまっているようです。
「……シェイ……オレ、アンタの事、恨むかも」
母親代わりに甘えた事は一度もありませんでしたが、師弟のような信頼関係は存在していたと想っていたのに、シェイヴィアがレイディンに告げた言葉は想像以上に無情な物だったのです。
『お前は、≪赤炎の戦士≫の器となるべく存在していた一族の、たった一人の生き残りなのだ』
『純血ではない為、力を受け入れるのには少し苦労するかも知れんが、安心しろ、死にはしないだろう』
「……いや、オレちょっと死にそうだったんだけど」
喉がカラカラでした。
ベッド脇に用意されていた水を一口飲み下すと。焼かれた喉がヒリヒリと痛みます。
トントン、とドアがノックされ、アサリーが戻ってきました。
レイディンは水のコップを枕元に戻します。
「起きてて平気?」
「もう、大丈夫」
熱さえ下がれば、少ししたら元の調子に戻るのです。
病気ではないのだから、しばらくはこれで大丈夫なはずでした。
「そ。よかったわ」
はい、と差し出された木の器には、クリームシチューが半分ほどよそわれていました。
「もし食べられるようなら、まだあるから言ってね」
レイディンが口をつけたそれは、熱くもなく温くもなく、舌にちょうど良い温度で、そして……。
「ねぇ」
レイディンは少し首を傾けてアサリーに視線をやりました。
「アサリー、さんは、歳いくつなの?」
「私?女に歳訊く前に自分が言いなさいよ」
「……オレは、十六」
「あら、見かけより大人じゃない。私は二十二よ」
「あんたは見かけより若く見える」
レイディンは手の中の器に視線を戻しました。
「で、独身?親は?」
「何?一体、若い女の詮索してどうしようっての?」
「……すげー不味いから、誰が作ったのかと思って」
プッチン。
何かが切れるような音がして、レイディンは次の瞬間、パシーン!と後ろ頭を叩かれます。
なんて事はない女の軽い平手だが、高熱が回っていた頭には激痛となって走りました。
「いってぇ」
「あんたね」
「ごめん!」
笑う余裕がレイディンに戻っていました。
「明日の朝は、オレがうまい飯作ってやるから」
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