치맥(BIGSTARで妄想) -32ページ目

치맥(BIGSTARで妄想)

BIGSTARで妄想を書き綴ってます。
クレームは受付ませんのでよろしくお願いします。
リクエストは受付ます。しかし、思いつかなかったら書けませんので悪しからずww

アルバイトを始めて半年。
だいぶここの仕事にも慣れてきた。
店長からも信頼され、最近では暇な時間帯は一人で任されるようになって、何だか少し嬉しい。

それは3月の良く晴れた、とても空が高い日だった。
いつものように忙しいランチタイムを終え、後片付けをしていると1人の女性が入ってきた。
僕は片付けの手を止めて「いらっしゃいませ。ご注文はいかがいたしますか?」と声をかけた。
マニュアル通りの接客をしたがその女性は下を向いたまま、ずっと注文を悩んでいる。。。
僕はおすすめを紹介しようかと思ったけれど、マニュアルにはこーゆー時は少し待つようにとあったので、もう少し待ってみることにした。

待ちながら彼女を観察してみると、柔らかそうな髪…長い睫毛…着ている白いシャツにはキチンとアイロンがかかっていた。
シャツの襟元から覗く細い首が何だかとても美しくて、見惚れてしまう。

『……カーノ下さい』
突然彼女が顔を上げた。
僕は慌てて
「あ、ごめんなさい!」と言ってしまった。
彼女は『ハハ、何でごめんなさいなんですか?アメリカーノください』と柔らかな笑顔を見せた。
「いや!あの…アメリカーノですね!かしこまりました!!」
と慌てて準備に取り掛かった。

アメリカーノ…僕もアメリカーノが1番好きだ。
僕も好きですなんて言ったらおかしいかな。さっきは変に思われなかったかな。僕が首元を見ていたのはバレなかったかな…
いろいろ考えてしまったが、なぜか、彼女の笑顔をもう一度見たいという思いが強かった。

淡い期待を寄せ、自分の精一杯の笑顔を向けた。
「お待たせしました。カプチーノでございます!」と珈琲を差し出す。

彼女表情が一瞬だけ固まったが、『ありがとうございます』と微笑んで席へ向かっていった。

僕の笑顔じゃダメだったかな…。
何で一瞬、困ったような顔をしたんだろう…う~ん…。。。また笑顔が見たいな……

考えても考えても答えが出ない。
その時、店長に店先の掃除を言い渡された。

店先には4テーブル並んでおり、今日みたいに天気の良い日は店内より外の席が人気だ。
カフェタイムを迎える前に綺麗にしておくことがこの店の決まりになっている。
店先を掃いたり、椅子やテーブルを整理整頓する。
僕のこだわりはテーブルの足の向きを全部揃えること。これは誰からも指示されていないけど、周りから見たときに綺麗に見えるから、自分のこだわりでやっている。

全て綺麗に並べ終え、よしっ!と満足しているとさっきの女性が来た。
『テラスに座ってもいいですか?』
僕は嬉しくて舞い上がりそうになる気持ちを抑えて
「はい。こちらへどうぞ」
とマニュアルには無いけど、イスを引いて座らせてあげた。

彼女は『ありがとう』とだけ言い、ゆっくりと本を開き読み始めてしまった。

やっぱり、笑顔は見れないか…仕方ないよな、今日初めて来てくれただけだし。
でも何で話しかけてくれた時、僕は嬉しい気持ちになってしまったのか…あれ?あの人のこと好きに…?いやいや、あり得ない。僕が一目惚れなんてww

バカみたいな考えてを胸の奥にしまい込み仕事に戻った。
店長に、落ち着いている今の内にランチタイムのレジ閉めをやってくれと頼まれた。一つずつお金を数えて、オーダー内容と照らし合わせる。
何回やっても100円合わない。
何度も何度も数え直すと最後のオーダーで金額が誤っていることがわかった。
そのオーダーはアメリカーノ。
最後にアメリカーノの注文を受けたのは…さっきの女性だ。

………


あっ!!
僕はそこで全てを理解できた。
急いでさっきの女性に謝りに行こうと店先に向かったが、彼女の姿はもうそこには無かった。

あーなんて僕はバカなことをしてしまったのだろう。彼女は僕が誤って渡してしまったカプチーノを文句も言わずに微笑んで受け取ってくれた。
なんてお詫びをすればいいんだろうか…
また来てくれるかな。でも偶然通りかかっただけかもしれないし…
何か良い方法はないか……

答えが見つからないまま、その日の仕事はうわの空でやってしまい、店長にこっぴどく怒られてしまった。


ディナータイムと片付けまですると夜の11時を回ってしまう。
帰り道もずっと彼女のことを考えていた。もう一度会って、謝りたい。そしてあの笑顔を見せて欲しい……あれ?僕がしたいのは謝ることのはず。何で笑顔まで…。違う違う、僕は謝りたいだけ。
そう…謝りたいだけだよね?と澄み切った空の1番大きな星に問いかけてみる。

答えてくれるはずもないのに。



続く。