植物文様その3
着物や帯に使われる植物文様は世界中のいずれの国、いつの時代にも非常に多いものです。とくに四季の変化に富んだ日本にはさまざまな植物が身近にあり、美しいな形や生命力を愛で、文様化してきました。桜や椿、藤、紅葉などは季節感のある文様ですが、それぞれを組み合わせて四季の美を表現するのにもよく使われています。また、特定の花ではなく自由に図案化した草花紋様や、ある決まった植物や動物、器物などを取り合わせて吉祥性や文学的・詩的情緒を表現するものもあるなど、植物文様は着物や帯に最も多く使用され、多種多様な展開を見せています。近年は洋花も加わり、さらに種類が増えました。
桐文(きりもん)
桐は中国では鳳凰の住む木として尊ばれ、日本でも菊とともに皇室の紋とされてきました。桐の文様が通常3枚の葉に3房の花をつけて表現します。中の房に7花、左右に5花をつけたものを『五七の桐』といい、同じく中央に5つ、左右に3つつけたものを『五三の桐』といいます。ほかに花を伸ばして変化をつけた華やかな『踊り桐』もあります。
天皇専用とされた桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)の黄櫨染袍(こうろぜんほう)や、名物裂の大内桐金襴(おおうちぎりきんらん)に見られるように格調高い文様として使われました。現代でも家紋のほか、代表的な吉祥文様として祝儀の着物や袋帯に用いられます。
菊桐文(きくきりもん)
菊と桐とを共に並べたものです。古くから高貴な文様とされ、十六弁の桐の花と五七の桐は、皇室の紋賞とされています。豊臣秀吉をはじめ武家も好んで用い、文禄三年、秀吉は菊桐文の無断使用を禁じました。岡山県の吉備津彦神社はこれを神紋としています。
四君子文(しくんしもん)
竹、梅、蘭、菊の四つを揃えた文様を言います。いずれも姿が高貴なところから、君子になぞらえて中国で尊ばれたものが、日本に伝わりました。今日では古典的な上品な吉祥文様として、各種工芸品をはじめ、着物や帯の模様にも多く用いられています。花の丸に形づけられたり、地紙の中に入れられたりとさまざまに図案化されています。
このほかに気品がある4つの草花を取り合わせものに四愛(しあい)や四友(しゆう)があります。四愛は菊、蓮、梅、蘭が揃ったもので、四友は梅、松、蘭、竹、あるいは、玉椿、蝋梅(ろうばい)、水仙、山茶花(さざんか)で、水墨画の画題などに用いられます。
橘文(たちばなもん)
橘はみかんの一種で、京都御所紫宸殿(きょうとごしょししんでん)の『右近の橘』は有名です。雛の節句の飾りにもあり、親しまれてきました。格調の高い文様として、現代も留袖や振袖、訪問着、付下げなどに用いられています。実と花を組み合わせて、家紋としても数多く使われています。
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