空き家問題の実態@2024
5年に一度行われている総務省による
「住宅・土地統計調査」 の最新集計が昨日
速報として公開されました。
よくメディアでも使われる「空き家率」は、
この統計データが使われますが、2023年に
おける空き家率は過去最高を更新したものの
13.8%と、微増でした。
しかし、こういう集計はどういう視点で
捉えるかによって、問題点が浮き彫りにも
なり、隠れることにもなります。
早速、エクセルデータをダウンロードし
その情報を加工して、実態を深掘りして
みました。
そもそも、空き家には種別があります。
・賃貸物件の空き家
・売却している空き家
・別荘等の二次的住宅での空き家
・その他
これらの中で、当然最も問題なのが
「その他空き家」であることは
誰もが知るところです。
「その他空き家」とは、貸しもしない
売りもしない、使いもしないただの
「空き家」だからです。
これらが放置されることが社会問題と
してクローズアップされます。
国は、こうした何もしない放ったらかし
の空き家の除却を促すために
昨年12月に「空き家特措法」を改正施行
し、従来の「特定空き家」未満の状態を
「管理不全空家」と定義し、これらの家に
対する固定資産税の住宅用地特例(1/6等に
減額) を解除できるようになりました。
今後、この効果により空き家問題がどこ
まで解決に向かうのか、次の5年後の
調査で見えてくるでしょう。
さて、少し前になりますが、皆様も
ご存知の三井のリハウスや住友不動産
東急リバブルなどの大手不動産会社の
団体であるFRKの近畿支部で基調講演
をさせていただいたことがありました。
当日は大手不動産会社約500名近くが
来場されたイベントでした。
求められたテーマは、中古住宅市場に関する
ものでしたが、その際に近畿圏の固有の課題
を指摘しました。
それが、この空き家問題に関する、特に
「その他空き家」についてでした。
というのも、空き家はとかく「率」に
フォーカスされ、今回も空き家率の
全国1位は和歌山県と徳島県で21.2%
で、別荘等の二次的利用空き家を除くと
鹿児島県が13.6%で一番高いことになり
ます。
しかし、「率」ではなく「数」で比べると
当然ながら一番空き家が多いのはそもそも
住宅数が多い東京都です。
そして、それを「その他空き家」の数
にフォーカスすると、東京都以上に
大阪府が日本で最も多いのです。
つまり、東京都と大阪府は住宅自体も
多く、比例して空き家数も多いものの
東京都は目的がある空き家が多く、大阪府
は放ったらかしの空き家が多いということ
が言えます。
これは、今回だけではなく10年前の調査でも
一番でした。
当時私は、この近畿圏の大手不動産会社
の皆様にこの実態をお伝えし、課題で
あるとともに、チャンスでもあると
お話したことを思い出します。
情報は、そのまま受け取るだけなく
加工し視点を変えることで、チャンスを
発見できる宝の山でもあるということ
なのです。