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第33話「ロキとスサノオ、命がけの悪戯」
「はは、どうだ?魔族に逆らった愚か者の末路は?」
倒れた二人を見て、満足そうに笑うバエル。
二人は倒れたまま動くことはなかった。
「ふん。我が部下達をスケープゴートに用意しておいて正解だったな」
バエルは部下の魔族達を犠牲にしてスサノオの戦力を削ぎ、隙を突いて反撃したのだった。
彼には仲間意識などなく、最初から部下達を駒としか見ていなかったのだ。
「天界の者共よ、馴れ合う甘い意識を持っているからこうなるのだ」
そう言って嘲るように笑った後、倒れている二人を見下ろしながら言った。
「貴様らもすぐに同じ場所に送ってやるさ。そこで仲良く待っているが良い」
バエルは、まずスサノオに留めを刺すべく近づいた。
「さらばだ、愚か者よ」
そう言って、スサノオの首を切り落とそうとした時だったーーー
「何だ!?これは!?」
突如、地面から触手のようなものが生えてきて、彼の体を拘束したのだ。
「………ふふふ、かかったな」
そう言って不敵な笑みを浮かべたのはーーー倒れているはずのロキであった。
彼はあらかじめ罠を仕掛けていたのだ。
「馬鹿な!確かに致命傷を与えたはず!」
驚愕するバエルに対し、ロキは嘲笑いながらこう言った。
「いやー、僕たちの演技、迫真だったね。スサノオ」
「やられたふりも面白いのう。お主、笑っておったじゃろ」
「いやいや、それは君だって一緒でしょーが」
そんなやり取りをしながら起き上がる二人に、バエルは怒り心頭といった様子で怒鳴りつけた。
「ふざけるな!こんな小細工で私を欺けると思ったのか!」
それに対して、ロキは答えた。
「うん、そうだよ」
「なっ……」
あまりにもあっさりと認めるロキに、逆に動揺してしまうバエル。
その時だったーー
「助っ人に参りましたぞ!」
どこからともなく声が聞こえてきたかと思うと、2柱の神々が現れた。
高い戦闘力を誇る仏教の天部、帝釈天と毘沙門天である。
(帝釈天)
「ご無事ですか!?ロキ様、スサノオ様」
続いて現れたのは、天使界最強の大天使ミカエルだった。
「ああ。作戦通りだよ」
ロキはそう言うと、バエルの方に向き直った。
「さあ、ここからは僕らのターンだよ」
一気に戦局が逆転し、バエルは捕えられてしまったーー
***
「核兵器も回収できたし敵も捕えられた。人間達の様子はどうだ?」
偽装作戦の発案者であるロキはミカエルに尋ねた。
「はい、光の組織の者達の誘導により現在避難している最中です。天使達の防衛により被害者は皆無です」
「そうか。作戦は大成功に終わったようだな」
ロキは満足げな表情を浮かべ、スサノオの方を向いた。
「僕達の久々のイタズラ、楽しかったかい?」
その問いに彼はこう答えた。
「おお、やはりお主との悪巧みは楽しいのう」
「でも……さすがに体に堪えたね……」
ロキとスサノオの2柱は倒された演技をしていたが、想定よりバエルの攻撃は凄まじく、かなりのダメージを負っていた。
2柱は笑いながら、気を失おうとしていた……
慌ててミカエル達は駆け寄るのだった・・・
第34話に続く・・・
※注意事項
この物語は架空の物語であり、新型コロナウィルスや実在する団体等とは無関係です。
小説は本来、白黒表記のみですが、掲載媒体がブログなので、あえてブログに寄せて文字装飾をしてます。読みやすさの方を優先してます。