牧野くんからは毎日メールが来た。


僕からしてみれば、好きな人から毎日メールが来るというのは、とても不思議なことだった。
確かにずーっと前にはそんな関係もあった。
でもここ最近でいうと元彼はメールより電話という人だったし、 モンさんはメール好きだったけど、
彼じゃないからごくたまにしかやり取りしなかった。


牧野君からのメールは 「おはよう」 から始まって1日の間にランダムにメールが来て、
それは「おやすみ」というメールが来るまで続く。
メールをするのも待つのも無精になってしまっていた僕はどういう態度で居たら良いのか
すっかり忘れてしまい、 トイレに入るのにも寝るのにも携帯を離さず携帯し、
メールが来ると即返した。




ある日、牧野君は僕をデートに誘った。


「どこ、行こうか」


と切り出す彼は、既に車を走らせていた。車な時点でお酒は飲めないし、
どうせ彼はためらっているだけなのだろうと思い、こう聞いた。


「え、前彼女ができたときはどこかへしけ込んでたんじゃないの?」


「…しけ込んでたね」


「じゃあ、それでいいんじゃないの?」


「え、ほんと?じゃあさ、せっかくだから新しくできたところに行かない?」


実は、下調べをしていたようだった。
こう書くと彼は遊び人のようだが、決してそうではない。
なんで言い切れるかというと、彼には軽さがない。どこか泥臭くていつもモジモジしている。
酒を飲めば大胆になるけどそれはただの酔っ払いだ。スマートさは…皆無なのだ。


フロアに立って僕は驚いた。はっきり言って…これは今流行りのアジアンテイストですけど、
建物自体はパレスですよ、パレス!ヒルトンはパリスですよ!


「はああ…すげー…」


僕が絶句していると、彼は、


「どうせなら綺麗なとこ来たいしね」


と嬉しそうに部屋を選んでいた。その横顔も、僕にとってははっきり言って奇跡で、
どうしてこの人が僕の横に居るのか、いまいち理解できていないのだけど…。


彼と僕はそもそも話が合うし、ずっと友達として接してきたということもあって、
彼の前で僕はまるっきりかっこつけなくてよかった。そこはすごく楽だった。
ただ彼を長年アイドルにしてしまったせいで僕は緊張し、お酒も飲まずに過ごしていた。
後で気づいたが、お酒を飲まないで男性と関係したのはこないだの車の情事が久々だった。
…だから感じたのか?じゃあ今日も感じてしまうのか?



「ふふふふ、くすぐったい」


このところ、ハプバーの男性にそうするように、牧野君の美しい肌を舐めていた。
少年のような耳から首すじ…胸からおへその周り…あり得ないほどきめの細かい
もち肌に僕は唇を吸いつかせウットリしていた。
ところが彼は、びくっと身体をよじり、しばらく耐えていたが、ついに笑い出したのだ。


「それに…俺してもらってるとなんか暇でさぁ。こっちにお尻持ってきなよ」


ちょっと待って下さい、それはなんですか、ハッパロクジュウシに5を足した形ですか、
そもそもハンターは股間に顔を埋めることはできても埋められるのはとても恥ずかしく…


「いいから、こっちにおいで」


こっちにおいで…
この言葉は僕の前頭葉を溶かした。

この間も彼はこう言った。車の後部座席で、その体勢だとドアに頭を打ってしまうから
「こっちにおいで」 と…。


ずっとずっと、年下のガキだと思うことにしていたから、
こんなリードをされると僕の
Mの血がたぎってしまう。彼に促されて彼の言うとおりにした。


ごめんなさい…彼の美しい顔が、今スゴイところに埋まっています…。
そう思っただけで、濡れた。


事が終わると、恥ずかしさのあまり僕はすぐベッドから立ち上がって煙草に火を付けた。
すると彼もガウンを羽織ってすぐ僕の隣へ座った。ああ…ちょっともったいなかったかも。
もう少し、彼の裸を見ていても良かったなあ…。




ただ、彼とは2週間に1、2度しか会えないので僕はまた退屈になってしまった。
ま…飲みに行くだけなら…とハプニングバーへ足を向ける。
花織もいる…ドSとしか思えない物静かな店長がいる…
顔見知りとなったハプバーの住人たちが居る…僕にとっては癒される空間でもあった。
このときはまだ、そう思っていた。




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