行きつけのハプニングバーが閉まっている間、僕は他へ行こうとは思わなかった。
まっすぐ帰って、家で缶ビールを開けた。


必然的に酒量が少なくなり、ある日すがすがしい朝を迎えて気付いた。
自分がいかに飲み過ぎていたか、ということに。


元彼と居たときは、生活サイクルが全く違ったため、僕は6時に起きて会社へ行くのに
朝の4時まで彼と飲んでいた。19時くらいから飲み始めるから…9時間は飲みっぱなし。
当然身体を壊して救急車で運ばれたこともあった。


彼と別々に暮らし始めて、生活はかなり改善されたものの、ハプニングバー通いが
頻繁になったため、やはりかなり飲んではいた。次の日が休みなら当然オールだし、
そうじゃなくても家に帰ってからまた飲んでいた。


大体にして、ついつい誰かとおしゃべりしたくて夜の街へフラフラと出かける僕が、
何故家で飲むだけで満足できたのだろう。
おそらくはハプバー外のこっちの世界で、人と深く関係したことに起因している。


ハレー彗星の如く僕の前に現れた牧野君、絵に描いたような勘違い男の木戸さん。
店の呼び名じゃない、本名で暮らす人たちだ。
木戸さんにはもう会わないにしても、牧野君からはメールが来る。少しだけどデートもする。
その出来事だけで、僕は満足がいった。


もうひとつ、僕の片思いフォルダの…モンさんを待っていたいという気持ちのせいもあった。
彼を好きだと自覚した当初と同じように…あわよくばハプバー通いを止めたかった。
不特定多数の男性と関係するのを止めて、彼とこっちの世界で生活したかった。


結婚だとか、そういう単純なものを望んでいなかったとは言い切れなかった。
結婚が全てではないと言いながら、僕が望んでいるのは間違いなく安定だった。
…そうか安定なんだ。


体調が悪い、というのがデフォルトであった僕にとって、健康は輝かしいものだった。
そうじゃなくても病気持ちの自分は元から具合が悪い。
しかし悪いのに慣れてしまって、
もっともっと悪かろうとも気にしないところがあった。
女の身体は、染色体の関係で強いと聞く。


モンさんとシシさんに、ハプバーのいきさつをメールした。
シシさんから辛うじてメールは返ってきたものの、
モンさんからメールが返ってくることは、無かった。
きっと忙しいからだ、と自分に言い聞かせたが、心には小さな黒いシミが残った。
彼を待とうと決めたものの…やはり所詮はハプバーで出会った関係なのか。




牧野君からのメールを待ちながら思っていた。
これが本当の世界。彼と僕とは「不倫」という名前を貰った、本当の関係。



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乙女心とハプバーと