「そうか…そうだよな…」
マロ君は肩を落としそう言った。
しまった…福山君とずっと一緒に居て引き立て役になっているマロ君に、
言ってはならないひと言を言ってしまった…
「あいつカッコいいもんな…昔からモテてさ…多分待ってれば、ハンターちゃんとこに
戻ってくるよ…俺…先にホテル帰るから…」
彼らは出張でこちらへ来ているという話だった。
一緒に来店しても男性二人ならばどちらかが先に帰るのは全く構わないことだ。
でも…あまりにも切ない…申し訳ないことを言ってしまった。
「ごめんなさ…」
「いや!待って、謝るとかはほんといいから。やめてほんと」
「…あたしひどいこと言ったね。服脱いでくる。あたしも帰るわ」
僕はロッカールームへ歩き出した。最悪の気分だ。
なんとでもうまい言い方はあったはずだ…何もマロ君を傷つけなくても良かったはずだ。
快楽のために来ているのに、こんなつまらないことはホント無しだろ…。
着替えてる間にもう帰ったかと思っていた。カウンターにはまだマロ君の背中があった。
僕は隣の椅子を引き座った。かける言葉が見つからない。
「…あいつ…ほんと戻ってくると思うからさあ…」
こういう時って誰でもそうなのだろうか。
自分の失敗を取り繕おうとして、僕はとてもみっともない行動を取り始めた。
「…いや…福山君はもうどうでもいいよ…だって途中で他の女性のとこへ行くなんて
信じられない」
そう、マロ君の気を少しでも引こうとしたのだ。あからさま過ぎて目も当てられないほど、
僕は彼を褒めたり、優しいまなざしで見つめたりした。
誰でもそうなのだろうか。彼は彼でそれを楽しみ、徐々に僕等の亀裂は無くなった。
彼の趣味の話を聞いて、僕は大げさに頷き、カッコイイと驚いて見せ、それに彼は簡単に乗った。
「…ハンターちゃん…俺とホテルに帰ろうか」
「いいよ」
僕は即答した。これで彼を傷つけたのが帳消しになる気がした。
僕等が奥の部屋で少しだけ親睦を深めようと移動を始めた時だった。
さっきの部屋から出てきた福山君と鉢合わせした。僕は無視を決め込み通り過ぎようとしたが、
福山君の方から声をかけてきた。
「ねえハンターちゃん、もう1回、して」
「はあ?なんで?イッパツ抜いてきたんでしょ」
僕はマロ君と外へ行く。彼にもう用は無い。
福山君は僕の顔を真面目な顔で見ると、僕の肩を抱いて部屋へ入ろうとした。
僕はそれを払いのけて、なんでその言葉が出たのかわからないが、
「この浮気者!」
と言った。福山君は顔色ひとつ変えずに、「違う、聞いてくれ」 と僕を部屋へ誘った。
このとき、いつの間にかマロ君は僕らから少し離れたところに居た。
他の部屋を覗くふりをしてこちらをチラチラ窺っている…だったら助けてくれればいいのに…。
これだからつくづく男の友情って奴は…。
「ここで話してると迷惑になる。部屋で話聞いてくれよ」
クソ…これだから顔のいい男は…。その表情…役者級…。
例えば主役を張る俳優たちにきれいどころが多いのは、不細工では表情がが絵にならないからだ。
単にカッコいいからテレビや映画に出ているわけじゃないんだな、と僕は常々思う。
表情は相手の心を動かす。ましてや彼は会社を経営する男だ。その術には長けている。
解っていても…マジその顔は卑怯だ。彼の優しさを残した真剣な眼差しに、僕の心が少し動いた。
「…わかったよ」
彼が僕の背中に手を添えた。
その手は冷たいわけでも汗ばんでいるわけでも無く、温かかった。
(夢は今も夢のままで 4へ続く)
ブログランキング参加しています
記事が面白かったらクリック願います
↓↓↓
マロ君は肩を落としそう言った。
しまった…福山君とずっと一緒に居て引き立て役になっているマロ君に、
言ってはならないひと言を言ってしまった…
「あいつカッコいいもんな…昔からモテてさ…多分待ってれば、ハンターちゃんとこに
戻ってくるよ…俺…先にホテル帰るから…」
彼らは出張でこちらへ来ているという話だった。
一緒に来店しても男性二人ならばどちらかが先に帰るのは全く構わないことだ。
でも…あまりにも切ない…申し訳ないことを言ってしまった。
「ごめんなさ…」
「いや!待って、謝るとかはほんといいから。やめてほんと」
「…あたしひどいこと言ったね。服脱いでくる。あたしも帰るわ」
僕はロッカールームへ歩き出した。最悪の気分だ。
なんとでもうまい言い方はあったはずだ…何もマロ君を傷つけなくても良かったはずだ。
快楽のために来ているのに、こんなつまらないことはホント無しだろ…。
着替えてる間にもう帰ったかと思っていた。カウンターにはまだマロ君の背中があった。
僕は隣の椅子を引き座った。かける言葉が見つからない。
「…あいつ…ほんと戻ってくると思うからさあ…」
こういう時って誰でもそうなのだろうか。
自分の失敗を取り繕おうとして、僕はとてもみっともない行動を取り始めた。
「…いや…福山君はもうどうでもいいよ…だって途中で他の女性のとこへ行くなんて
信じられない」
そう、マロ君の気を少しでも引こうとしたのだ。あからさま過ぎて目も当てられないほど、
僕は彼を褒めたり、優しいまなざしで見つめたりした。
誰でもそうなのだろうか。彼は彼でそれを楽しみ、徐々に僕等の亀裂は無くなった。
彼の趣味の話を聞いて、僕は大げさに頷き、カッコイイと驚いて見せ、それに彼は簡単に乗った。
「…ハンターちゃん…俺とホテルに帰ろうか」
「いいよ」
僕は即答した。これで彼を傷つけたのが帳消しになる気がした。
僕等が奥の部屋で少しだけ親睦を深めようと移動を始めた時だった。
さっきの部屋から出てきた福山君と鉢合わせした。僕は無視を決め込み通り過ぎようとしたが、
福山君の方から声をかけてきた。
「ねえハンターちゃん、もう1回、して」
「はあ?なんで?イッパツ抜いてきたんでしょ」
僕はマロ君と外へ行く。彼にもう用は無い。
福山君は僕の顔を真面目な顔で見ると、僕の肩を抱いて部屋へ入ろうとした。
僕はそれを払いのけて、なんでその言葉が出たのかわからないが、
「この浮気者!」
と言った。福山君は顔色ひとつ変えずに、「違う、聞いてくれ」 と僕を部屋へ誘った。
このとき、いつの間にかマロ君は僕らから少し離れたところに居た。
他の部屋を覗くふりをしてこちらをチラチラ窺っている…だったら助けてくれればいいのに…。
これだからつくづく男の友情って奴は…。
「ここで話してると迷惑になる。部屋で話聞いてくれよ」
クソ…これだから顔のいい男は…。その表情…役者級…。
例えば主役を張る俳優たちにきれいどころが多いのは、不細工では表情がが絵にならないからだ。
単にカッコいいからテレビや映画に出ているわけじゃないんだな、と僕は常々思う。
表情は相手の心を動かす。ましてや彼は会社を経営する男だ。その術には長けている。
解っていても…マジその顔は卑怯だ。彼の優しさを残した真剣な眼差しに、僕の心が少し動いた。
「…わかったよ」
彼が僕の背中に手を添えた。
その手は冷たいわけでも汗ばんでいるわけでも無く、温かかった。
(夢は今も夢のままで 4へ続く)
ブログランキング参加しています
記事が面白かったらクリック願います
↓↓↓