押し問答が暫く続いたが、要するに福山君の言いぶんはこうだった。


「カップルさんの男性に頼まれたんだ。パートナーとしてほしいって。
でも結局ダメだったんだよ…俺飲むと立たないって言ったじゃん?
彼女もいろいろしてくれたし、立ててっていわれたけど…ダメなんだもんなぁ。
ハンターちゃんじゃなきゃ立たないよ」


それって…単に僕のふぇらガモを褒めてるだけじゃないか?
てゆーかマロ君はどこへ行ったんだ?僕は部屋の入口やら周りの隙間を見たが、
彼の姿はどこにもなかった。


「あいつ?さっき奥に歩いて行ったよ」


奥?ここより奥には…福山君が一緒に居た女性が居るはずだ。
しかも福山君と入れ違いに男性が入って行って、既に1人居るはずだぞ。
一体何をしに…。僕は部屋を出てマロ君が入って行ったと思われる部屋をのぞいた。


驚いた。
そこには…1人の女性に群がる2人の男…。
そしてその1人は…マロ君だった。
僕が呆気に取られていると、後を付いてきた福山君が僕の腰に手を回した。


「多分、あいつなりに気を遣ったんだと思うよ」


なにそれ…男の友情、全然理解出来んわ…マジ気持ち悪い。
でも…これはある意味しめたものだ。マロ君は今手が放せない。


「…ねえ、ここ出ようよ。今すぐ」


「今?」


「今出ればマロ君と話しなくていいじゃん。さっき彼の部屋に行くって約束しちゃったんだ。
面倒なことになるの嫌だから今すぐ逃げよう…でも…福山君が彼と気まずくなる…?」


福山君は顎を引いて微笑んだ。


「いいよ。大丈夫、俺うまいこと言っとくから」




こうして僕等は手に手を取ってハプニングバーから駆け落ちした。
街の明かりでグレーに染まる空を見上げながら、福山君は嬉しそうに長い脚を前に繰り出している。


「なんかすっごく嬉しい。なんだろう、俺ほんと酔うと立ったこと無いんだよ。ああ、そうだ、
こういう関係になった人に渡したことないけど…名刺、渡しちゃおうかな、初めて」


彼は内ポケットから名刺を差し出した。「代表取締役」の肩書が眩しい。


「社長なんだってね、さっきマロ君から聞いてたよ」


「あ、ホテルここだよ。先にエレベーターに乗ってて」


福山君は自分の部屋のナンバーを僕に囁くと、鍵を取りにフロントへ向かった。
すごい、やっぱりカッコいいな…。なんだろうね、このスマートさは…。
顔がいいのに加えてこれだもの。さぞモテるんだろうな…。



部屋があるフロアのエレベーターの前で福山君と合流した。
福山君はさっきハプバーでしたように、腰に手を回しながら歩いた。


「ふふふ、マロは何号室って言ってったっけなあ…確か同じフロアだよ」


あ…そうか…そうだよな、一緒に仕事してるんだからホテルだって当然一緒だよな…。
マロ君のちょっと間の抜けた顔を思い出したら、福山君に躍っていた心が少し萎んだ。




(夢は今も夢のままで 5へ続く)



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