以下ネタバレです









逃げる犯人を追いかけるが、逃げ足が速く健至でさえ追いつけない。

人が多く犯人との距離は広がるばかりだ。

健至に人の次の行動を読むように言われ実践するとなんとか人にぶつからずすり抜けることが出来た。

このままいけば犯人に追いつけるかもと思っていたが、そこは犯人の方が一枚も二枚も上手。

距離が縮まらない。

健至 「こうなったら、ブラックフォックスの秘密道具でなんとかするしかないか・・・」

主人公「秘密道具?」

健至 「○○、下がってろ」

健至 「それっ!」

ヒュンッ!

突然、健至の腕からワイヤーが飛び出したかと思うと、犯人より先にあるビルへと引っ掛かった。

健至 「よし。○○、来い!」

主人公「きゃっ!い、一体なにするの!?」

健至 「しっかりつかまってろよ!」

主人公「・・・きゃあっ!」

ぐいんっ!

ワイヤーが短くなり、空中へと飛び上がる。

健至 「・・・はぁっ!」

そして反動をつけ、そのまま前方へ。

(は、はやっ・・・無理っ・・・落ちるっ!!)

健至 「よし、追いついた!」

一気に距離を稼ぎ、犯人の真後ろへと着地する。

健至 「よっ!」

犯人 「なっ・・・!お前ら、一体どこから!」

(そ、空からです・・・なんて)

犯人 「クソッ!」

またもやスピードを上げ、走り出した。

健至 「アイツまだ体力残ってんのか。すげーな。って、ヤベッ!マズイ!」

犯人の先には、今にも発車しそうなバスが一台停まっている。

健至 「あれに乗られたらさすがに追いつけねーぞ・・・」

健至 「待てっ!」

主人公「の、乗らないで!」

犯人 「へへっ、あばよ!」

主人公「あっ!」

プシューッ!

寸でのところでところでドアが閉まった。

そして無情にも走り去っていく。

あれだけ追いかけたのに、逃げられてしまった。

主人公「ごめん・・・」

健至 「え?」

主人公「あのチョコ、美味しく作れたのに渡せそうにないよ・・・」

健至 「○○・・・」

主人公「とりあえず、警察に連絡だけしよう。あとはプロに任せて・・・」

健至 「・・・」

主人公「健至?」

健至 「オレは・・・諦めたくない」

主人公「私もそうだけど、もう無理だよ。だって犯人はバスに乗っちゃって・・・」

健至 「バスなら、行き先がわかる」

健至は踵を返し、近くにいた人に声をかける。

健至 「すみません。このバイク、貸してください!」

主人公「え・・・ええっ!?」

健至 「これ、オレの連絡先です。もし壊したら必ず弁償します。すぐに返します!お願いします!」

(・・・まさか、まさか!)

健至 「・・・よし、借りれたぞ!○○、後ろに乗って!追うぞ!」

健至 「これなら追いつける」

健至 「行くぞ!つかまってろよ!」

爆音を上げ、バイクは走り出した。


なんとかバスを確認できるところまで追いついたがそれでもまだ距離はある。

主人公「健至!もうあんなに差がついちゃてるし、無理だよ!追いつけないよ!」

健至 「大丈夫!絶対に追いついてみせるから、しっかりつかまってろよ!」

主人公「ね、ねぇ!なんでちょこにそこまで必死なの!?私はもういいから!戻って、新しいチョコ作るから・・・」

健至 「オレにとってはただのチョコじゃないんだよ。大好きな○○がオレのために作ってくれた、世界でたった一つの大事なチョコだ!絶対に取り戻してやる」

  嬉しいじゃないの!こんなふうに思ってくれるなんて!!!

(健至・・・そんなにまで・・・私のことを想ってくれてるんだ)

主人公「・・・健至!」

思わず、腰に回す腕の力を強めた。

主人公「お願い・・・・絶対にチョコ、取り戻して!」

健至 「了解!」

バイクはさらにスピードを上げる。

バスの行き先は銀座ヒルズ。

健至は方向転換し、近道だと言って細い路地をすり抜ける。

ショートカットしたおかげでバスはもう目の前だ。

健至 「追いついた!」

健至 「行くぞ!」

キキィイイーッッ!!!

前に飛び出し、バスを止めた。

  なんとっ!危なすぎる!!

健至 「鬼ごっこは終わりだ!犯人!降りて来い!」

犯人 「チッ・・・!どけっ!」

乗客をかきわけ、犯人が降りてくる。

主人公「あっ、また逃げられちゃう!」

健至 「そうはさせねーよ!」

バイクから降り、健至が走り出す。

人混みがない道路ではさすがに健至の足には犯人は敵わなかった。


こうして、無事に博物館、デパート職員ロッカー荒らしの犯人は捕まった。

被害品は主にお財布やアクセサリーなどの貴金属の他に、やはりというか、私のチョコもあった。

チョコを返してもらった私達は、バイクを持ち主へ返し、近くの公園へ向かった。

主人公「えっと・・・なんかいろいろあったけど、これが私が作ったチョコです。よかったらもらってください」

健至 「ありがとう」

主人公「美味しいといいんだけど・・・」

健至 「・・・」

主人公「健至?」

健至 「・・・やった!昨日からすっげー楽しみだったんだ!なぁ、これ食べていいか?オレ、もう待ちきれないんだけど」

主人公「うん。もちろん」

健至 「よっしゃ」

いそいそとラッピングを開ける。

健至 「ああっ!」

主人公「ど、どうしたの?」

健至 「チョコが・・・」

主人公「え?・・・ああっ!割れてる!」

箱の中には、見事に真っ二つに割れたハート型のチョコが。

主人公「そんな・・・あんなに頑張って作ったのに・・・」

健至 「・・・」

主人公「も、もういいよ、健至。これは捨てて、新しいの作るから・・・」

ぱくんっ!

健至 「あっ!」

健至 「ん・・・すっげーうまい!こんなに上手いチョコはじめて食べたかも」

主人公「な、なんで・・・」

健至 「え、だってオレへのバレンタインチョコだろ?」

主人公「そうだけど、割れたのなんて食べなくても・・・」

健至 「割れちゃったけど、○○からのチョコに変わりないだろ?」

主人公「健至・・・」

健至 「うん、うまい。運動したから、甘いものが体に染みるなぁ」

健至 「本当にありがとうな。バレンタインに○○からチョコをもらえるなんて、マジで嬉しいよ」

主人公「うん・・・・」

割れたチョコを食べてくれた、その気持ちがとても嬉しい。

健至 「ごちそうさま。すげーうまかったよ」

主人公「お粗末さまでした。ねぇ」

健至 「うん?」

健至の肩に頭を乗せた。

主人公「・・・今日はありがとう」

健至 「なんだよ。礼を言うのはこっちだろ?」

主人公「ううん。あのね、バレンタインのチョコって『好きっていう気持ち』なんだよ?」

健至 「え?まぁ、そりゃそうだろうな」

主人公「だから・・・私の気持ちを必死に取り返そうとしてくれて、ありがとう。最後まで食べてくれて、ありがとう」

健至 「○○・・・」

主人公「でも、健至ってバイクも乗れるんだね。あんなにすごい運転できるなんて初めて知ったよ」

健至 「ハハッ、こう見えても意外と運動は得意なんだぜ?」

主人公「知ってる。ブラックフォックス一の運動神経の持ち主だもんね?」

健至 「まーな。でも、犯人に追いついたのは○○のおかげかも」

主人公「私?でも、私なんて特に何も・・・」

健至 「本当はオレも諦めかけたんだけどさ、○○の顔見たら、絶対に取り返してやるって気持ちが強くなって・・・」

健至 「絶対に悲しませたくない!って思ったんだ」

健至 「だからかな、予想以上の力が出せた。○○効果ってやつ?」

主人公「健至・・・」

主人公「ふふっ、もうなにそれ」

今日一日焦ったり悲しんだりと忙しかったけれど、最後にこうして笑えて幸せだ。

先程まで荒んでいた心が、ぽかぽかと温かくなる。

(これも・・・健至効果かな?)

健至 「なぁ、○○。キスしていい?」

主人公「え?あっ・・・」

私の返事を待たずに、健至から優しいキスをされる。

健至 「ハハッ。ちょっとだけバレンタインのお返し」

主人公「もう・・・」

すると健至は立ち上がり、んー、と一度伸びをした。

健至 「でも、本当に頑張ってよかった。こんなに美味しいチョコを食べられたんだから。な?」

主人公「そうだね」

再び健至が近づいてくる。

上から降りてきた唇を、今度は目を閉じて受け止めた。

主人公「ん・・・」

主人公「・・・チョコの味がするね」

健至 「もっと欲しい?」

主人公「うん・・・」

そして再びキスをする。何度も角度を変えながら、数えるのを忘れてしまうほどの優しい口づけを繰り返す。

そして・・・

健至 「・・・でも、さすがにバイクで階段ジャンプはやばかったなー。まさか出来るとは思わなかった」

主人公「えっ、あれって見切り発車だったの?」

健至 「まぁ、なんとなくいけるかなって。ま、結果オーライってやつだ。ハハハッ!」

(け、健至が運動神経抜群で良かった・・・)

こんなスリルもたまにはいいかなと、クスリと笑い、優しく差し出された手を強く握り返したのだった。





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盗まれて割れたハートのチョコって・・・

去年の未来くんを思い出してしまった(;´▽`A``

ま、未来くんより健至のほうが好きだけどね♪(*^ ・^)ノ⌒☆