以下ネタバレです
(ど、どうしよう・・・!)
するとその声を聞きつけた、女将さんと健至が松の間に飛んできた。
女将 「どうされましたか?」
健至 「これは・・・!」
女将 「お怪我はございませんか、お客様!」
お得意様「ああ、大丈夫だよ。すみません、うちの孫がお嬢さんにぶつかってしまって、それで・・・」
健至 「大丈夫か、○○。どこかケガとか・・・」
主人公「ご・・・ごめんなさい!」
その場で思い切り頭を下げる。
お得意様「あなたが謝ることはないわ。気にしないで」
主人公「でもっ・・・」
子供B「ぼくのケーキ・・・」
子供A「クリスマスのケーキぃ・・・」
(あんなに泣いてるのに・・・)
女将 「状況はわかりました。△△さん、すぐにケーキを片してちょうだい」
主人公「は、はい」
急いで掃除道具を持ってきて、ケーキを片付ける。
健至も手伝ってくれた。
女将 「それから、源さんに報告を。今すぐ例のものを作るようにと」
健至 「了解」
(例のもの・・・?)
女将さんはその場で正座をする。
女将 「この度は、誠に申し訳ございませんでした。今すぐ代わりのものをお作り致しますので、どうか少々お待ちください」
私も、慌てて後に続いた。
厨房へ戻ると、早速、源さんと健至が何やら準備をしている。
主人公「あの・・・」
源さん「○○ちゃん!大丈夫だったかい?」
主人公「はい・・・その・・・」
源さんと健至に頭を下げる。
主人公「本当にごめんなさい!せっかくのケーキを台無しにしてしまって・・・!」
源さん「ああもう、顔を上げてよ。○○ちゃんが悪かったわけじゃないんでしょ?」
主人公「でも、あの時私が避けていれば・・・」
源さん「過ぎたことを言ってもしょうがないさ。それより大事なのは、これからどうするかだ」
健至 「そうだぞ、○○。オレが何とかするから大丈夫!」
この人たちの温かさに涙が出そうだわ
ぐりぐりっ!と、強く頭を撫でてくれた。
源さん「坊ちゃん、オレは?」
健至 「もちろん源さんも」
源さん「もー、忘れてもらっちゃ困りますぜ」
健至 「ははっ、悪い悪い」
(健至・・・源さん・・・)
女将 「二人の言う通りよ」
主人公「女将さん・・・」
女将 「○○ちゃんは十分謝罪したわ。お客様も気にしなとおっしゃってくださってるし。けれど、それに甘えていてはきくふじの名が廃る」
女将 「そうよね?二人とも」
源さん「おうよ!」
健至 「オレ達の力、見せてやろうぜ」
パンッ!と女将さんが手を叩いた。
女将 「さあ、みんな頑張ってミスを取り消すわよ」
主人公「皆さん・・・ありがとうございます。よろしくお願いします!」
再び頭を下げる。
有難すぎて、それ以上の言葉が出なかった。
女将 「それで、代わりのものだけど・・・」
源さん「材料はこちらでよいですかい?」
女将 「ええ、充分よ」
健至 「それじゃ、早速始めるか」
源さん「坊ちゃん、練習の成果を見せる時ですな!」
健至 「さーて、上手く出来るか・・・」
主人公「ちょ、ちょっと、健至。何を作ろうとしてるの?」
健至 「ん?ヒントはこれ」
主人公「え・・・」
(クリスマスにこの材料?)
(一体、これで何が出来上がるんだろう・・・?)
主人公「私も手伝えることある?」
健至 「じゃあ、これを水おおさじ3で溶いてくれ」
主人公「わかった」
健至 「○○。大丈夫、オレが何とかするからな」
(健至・・・)
主人公「うん」
女将 「失礼いたします」
主人公「失礼いたします」
お得意様「あらまぁ、先ほどは本当にごめんなさいね。あの後大丈夫だった?」
主人公「はい。先ほどは大変ご迷惑をおかけいたしました」
子供A「ねぇねぇ、おねえちゃん。おこられなかった?」
主人公「大丈夫だよ」
子供B「よかったー」
女将 「大変お待たせいたしました。こちらが、ケーキの代わりのデザートでございます」
女将さんが目配せをする。
その合図を受け、健至がテーブルに置いたものは・・・。
子供B「わぁっ、サンタさんとツリーだ!」
子供A「すごーい!キラキラしてる!」
健至 「こちら、きくふじ特製クリスマス練り菓子と、飴細工でございます」
健至たちが作ったのは、和菓子だった。
グリーンに染めた練りきりと白粒餡で作ったクリスマスツリーに飴細工の小さなサンタクロース。
料亭ならではの、和風なデザートだ。
お得意様「おお・・・!あんな短時間でこんなに素晴らしいものを。とっても素敵ねぇ。これ、あなたが作ったの?」
健至 「僭越ながら、こちらの練りきりは私が作らせて頂きました。飴細工の方は、当店花板である源というものが」
お得意様「さすが源さんだな。いやしかし、君も中々の腕前じゃないか」
健至 「恐縮です」
お得意様「あなた、確か女将さんの息子さんよね?」
健至 「はい」
お得意様「こんなに良い息子さんをお持ちで、女将さんは幸せですなぁ」
女将 「まだまだ不出来な息子ですが、そう言って頂けて私も大変恐縮でございます」
子供A「おばーちゃん。これ、しゃしんとってママたちにおくろうよ!」
お得意様「そうね。こんなに可愛い和菓子、初めて見たものね」
子供たちが携帯で写真を撮る。
(良かった。喜んでもらえたみたい・・・)
(それにしても、練りきりも作れるなんて健至って本当にすごいな)
お得意様「おお、味もいい。ちょと食べるのが勿体ないが」
子供A・B「おいしーい!」
お得意様「ほんと。見て食べても楽しめるなんて素晴らしいわ」
女将 「ありがとうございます」
子供A「おいしいおかしをありがとう、おにいちゃん!」
健至 「どういたしまして」
子供B「おねえちゃんも、ごめんなさい」
主人公「ううん、いいの。良かったらまた来てね」
子供B「うん!」
お得意様「是非、また寄らせて頂くわ」
お得意様「今度はパパとママと一緒に来ましょうね」
子供A「わーい!」
子供たちの満足そうな顔を見て、思わずほっと胸を撫で下ろした。
お得意様「今日はトラブルにも迅速に対応して頂いて、とても満足な会食だったよ。ここに通い始めてからもう何年も経つが、やはりきくふじさんは素晴らしい店だな。これからもずっと変わらないでいて欲しいね。では、今日はこれで失礼するよ」
お得意様「ごちそうさまでした」
子供A・B「おねえちゃん、おにいちゃん、おかみさん、ばいばーい!」
女将 「本日は、誠にありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
主人公・健至「ありがとうございました」
そうして姿がみえなくなるまで、頭を下げる。
健至 「・・・ふぅ。まさかあんなに喜んでくれるとはな」
健至 「ま、結果オーライなんじゃん?」
(私の失敗で一時はどうなるかと思ったけど、良かったぁ・・・)
女将 「安心するのはまだ早いわよ。まだまだお客様はいらっしゃるんだから」
女将 「私は先に戻って・・・」
主人公「あ、あの、女将さん!私、本当にごめんなさ・・・」
女将 「いいのよ。手伝ってもらってるのはこっちですもの。私の方こそ、ごめんなさいね」
主人公「え?」
女将 「じゃ、戻るわね。健至も、早くしなさいよ」
健至 「おふくろ、あれでも後悔してんだよ。うちが○○を無理に働かせたから、こうなったんじゃないかって」
主人公「そんな・・・」
健至 「人手が足りないのは店の責任だし、○○が気にする必要はないよ。って言っても、難しいか。○○、責任感強いからなぁ」
ぽん、と頭を撫でられる。
主人公「・・・ごめん。ありがとう」
健至 「ホラ、またそういうこと言う。別にそんな気にしなくたって大丈夫」
主人公「でも・・・」
健至 「はい、この話は終り。これ以上謝ったら許さないぞ?オレは○○の彼氏なんだから、好きなヤツの力になりたいって思うのは当然だ」
(あれ?その台詞って・・・)
主人公「もしかして・・・私がさっき言ったのと同じ?」
健至 「正解。すっげー嬉しかったからさ、お返し」
主人公「健至・・・」
主人公「分かった。これ以上、ごめんなさいは言わないね」
健至 「ああ。お口にチャックだな」
主人公「もう、なによそれ」
思わず笑みが零れてしまった。
主人公「そういえば、あの練りきりすごかったね。いつ練習してたの?」
健至 「んー、夏くらいからちょこちょこと。やってみると意外と楽しいんだぜ。○○も今度一緒にやるか?」
主人公「いいの?健至のを見てて、ちょっと面白そうだなって思ってたんだ」
健至 「おし。じゃあ、正月は互いの練りきり披露会だな」
主人公「あははっ。頑張らないと」
健至 「それじゃ、戻るか」
主人公「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
営業終了後。
とうとう最後のお客様を見送った。
(お、終わったぁ・・・!)
叫びだしたくなるのをぐっと我慢し、片付けようと踵を返すと・・・。
健至 「○○、お疲れ。なぁ、今ちょっといいか?」
主人公「え、でも片付けが・・・」
女将 「行っていいわよ」
主人公「女将さん」
女将 「○○ちゃん、今日は手伝ってくれて本当にありがとうね。せっかくの健至とのクリスマスだったのに。後はこっちでやっておくから、あなたはあなたの時間を過ごしてらっしゃい」
主人公「でも・・・」
健至 「おふくろもそう言ってるんだし、行こうぜ」
主人公「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
女将 「はい、いってらっしゃい」
女将 「○○ちゃん。メリークリスマス」
主人公「あ・・・ありがとうございます!女将さんも、メリークリスマス!」
連れてこられたのは、きくふじの屋根の上だった。
健至 「よっと・・・」
健至 「足大丈夫か?」
主人公「うん」
健至の手を借り、屋根裏部屋から窓からなんとか屋根の上へ登る。
健至 「なかなかいいだろ?少しだけど、夜景も見えるし」
主人公「屋根に上ったのなんて久しぶりだよ」
健至 「ハハッ、まぁ普通はそうだよな。ここはさ、昔よく、おふくろに叱られたときとかに一人で来てたんだ。ま、オレの秘密基地ってトコだな」
主人公「へぇ」
健至 「○○に、どうしても見てほしくて・・・」
健至 「オレの育ったところがどんなところだか、そういったこと、全部」
主人公「健至・・・」
健至 「それで・・・これ。今日はありがとうな。あと、あんまり構ってあげられなくてごめん」
と、健至が差し出したのは・・・。
主人公「あっ、ケーキ」
私が落としてしまった、きくふじ特製和風クリスマスケーキだった。
可愛らしく立方体にカットしてある。
健至 「実は作った後、○○の分だけ別に取っておいたんだ。食べたいだろうと思ってさ」
主人公「どうしてわかったの?」
健至 「それは○○の彼氏ですから」
主人公「もう、健至ってば・・・」
主人公「でも、ありがとう」
一口食べる。
主人公「・・・美味しい。きなこクリームってこんなに美味しいんだ」
健至 「洋菓子店きくふじ、とかやれそうだよな」
主人公「あははっ。いいかも」
主人公「はい健至、あーん」
健至 「さんきゅ・・・ん、美味しい。○○も」
主人公「ん・・・」
主人公「やっぱり美味しい。もう1個食べたいな」
健至 「残念。もうないです」
主人公「そんなぁ」
健至 「食べたかったら、また来年作ってあげるよ」
主人公「来年・・・」
(それって、来年も私と一緒にクリスマスを過ごしてくれるって事・・・?)
健至 「なに、待ちきれない?」
主人公「ううん。わかった、来年ね」
健至の未来に自分がいるということが、嬉しい。
しばらく二人で景色を眺める。
(・・・そろそろいいかな)
用意していたプレゼントを差し出す。
主人公「はい、健至。メリークリスマス」
健至 「え?うそ。ホント?」
主人公「ホント」
健至 「あ、ありがとう。うわ、すげー嬉しい・・・」
子供みたいに目を輝かせ、プレゼントを開けた。
健至 「・・・マフラーだ」
主人公「健至に似合うと思って」
健至 「ありがとう!絶対に大切にするよ!」
健至 「それで、実はオレも・・・」
主人公「え?」
健至 「メリークリスマス、○○」
健至から小さなボックスを渡された。
主人公「健至も、用意してくれてたんだ・・・」
健至 「当たり前だろ?そんなにオレって信用ないか?」
中には、こぶりでかわいいネックレスが入っていた。
主人公「綺麗・・・」
健至 「ど、どうかな」
主人公「ねぇ、つけてくれる?」
健至 「え?あ、ああ」
後ろを向き、健至にネックレスをつけてもらう。
主人公「どう?」
健至 「うん・・・すっげー似合ってる」
主人公「・・・嬉しい!」
健至 「わっ!」
思わず健至に抱きつく。
主人公「健至、ありがとう!私もこれ、ずっとつけるね!」
健至 「どっ、どういたしまして・・・って」
健至 「落ちる!」
主人公「えっ・・・きゃあっ!」
健至 「うわぁあっ!」
ざざざっ・・・!
健至 「あ、危なかった・・・」
主人公「ごめん・・・嬉しくて、つい・・・」
健至 「ハハッ・・・。アクセサリーのことはよく分からなかったから、宙にいろいろアドバイスもらったんだけど気に入ってくれたならよかった」
屋根の上でおかしな体勢になりながら、私達は笑い合った。
そして、さすがに寒くなったので、健至の部屋に入る。
健至 「はー、あったけー・・・」
主人公「やっぱり外は12月だと寒いね」
寒くて震える肩をさすっていると
健至 「○○。おいで」
健至は腕を伸ばして抱き寄せてくれた。
暖かい胸に体を預けながら、目を閉じる。
(クリスマスだからかな・・・なんか、いつもより恥ずかしいかも・・・)
それでも、離れたいとは思わない。
健至は、ギュッ、と腕の力を強めてくれる。
健至 「やっと二人きりになれたな」
主人公「うん・・・」
健至 「こっち向いて?」
主人公「え・・・?」
見つめ合い、自然とキスを交わした。
健至 「まだ寒い?」
主人公「・・・ちょっとだけ」
ウソをつく。
本当はもう既に体は温まっているのに、いつもなら素直に答えるのに、何故だか今日はそれが出来なくて・・・。
(やっぱり・・・クリスマスだからかな)
もっとくっついていたいという気持ちが抑えきれない。
健至 「・・・ワガママだな」
主人公「え?」
主人公「・・・あっ」
とさっ
優しくベッドへ押し倒された。
健至 「じゃあ、もっと温めてあげる」
主人公「けんっ・・・」
唇を塞がれる。
何もかもを奪い去っていくような激しいキスに、徐々に意識が遠くなっていって・・・
健至 「今日は手伝ってくれてありがとう」
健至 「遅くなっちゃったけど、二人っきりのクリスマス楽しもうな」
主人公「うん・・・」
健至 「○○?」
主人公「だいじょうぶ・・・」
健至 「ハハッ、ちょっと激しすぎたか?」
健至 「それじゃあ・・・」
健至は、私の首にかかっているネックレスに一つキスを落とし
健至 「優しく、してあげるからな・・・?」
そうして、今度は優しいキスを交わした。
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:
健至も女将さんも源さんもホントみんな良い人達だわ~
主人公が一生懸命なのわかてるからってのもあると思うけどさ
暖かく見守られてる感がステキ!!
(ど、どうしよう・・・!)
するとその声を聞きつけた、女将さんと健至が松の間に飛んできた。
女将 「どうされましたか?」
健至 「これは・・・!」
女将 「お怪我はございませんか、お客様!」
お得意様「ああ、大丈夫だよ。すみません、うちの孫がお嬢さんにぶつかってしまって、それで・・・」
健至 「大丈夫か、○○。どこかケガとか・・・」
主人公「ご・・・ごめんなさい!」
その場で思い切り頭を下げる。
お得意様「あなたが謝ることはないわ。気にしないで」
主人公「でもっ・・・」
子供B「ぼくのケーキ・・・」
子供A「クリスマスのケーキぃ・・・」
(あんなに泣いてるのに・・・)
女将 「状況はわかりました。△△さん、すぐにケーキを片してちょうだい」
主人公「は、はい」
急いで掃除道具を持ってきて、ケーキを片付ける。
健至も手伝ってくれた。
女将 「それから、源さんに報告を。今すぐ例のものを作るようにと」
健至 「了解」
(例のもの・・・?)
女将さんはその場で正座をする。
女将 「この度は、誠に申し訳ございませんでした。今すぐ代わりのものをお作り致しますので、どうか少々お待ちください」
私も、慌てて後に続いた。
厨房へ戻ると、早速、源さんと健至が何やら準備をしている。
主人公「あの・・・」
源さん「○○ちゃん!大丈夫だったかい?」
主人公「はい・・・その・・・」
源さんと健至に頭を下げる。
主人公「本当にごめんなさい!せっかくのケーキを台無しにしてしまって・・・!」
源さん「ああもう、顔を上げてよ。○○ちゃんが悪かったわけじゃないんでしょ?」
主人公「でも、あの時私が避けていれば・・・」
源さん「過ぎたことを言ってもしょうがないさ。それより大事なのは、これからどうするかだ」
健至 「そうだぞ、○○。オレが何とかするから大丈夫!」
この人たちの温かさに涙が出そうだわ
ぐりぐりっ!と、強く頭を撫でてくれた。
源さん「坊ちゃん、オレは?」
健至 「もちろん源さんも」
源さん「もー、忘れてもらっちゃ困りますぜ」
健至 「ははっ、悪い悪い」
(健至・・・源さん・・・)
女将 「二人の言う通りよ」
主人公「女将さん・・・」
女将 「○○ちゃんは十分謝罪したわ。お客様も気にしなとおっしゃってくださってるし。けれど、それに甘えていてはきくふじの名が廃る」
女将 「そうよね?二人とも」
源さん「おうよ!」
健至 「オレ達の力、見せてやろうぜ」
パンッ!と女将さんが手を叩いた。
女将 「さあ、みんな頑張ってミスを取り消すわよ」
主人公「皆さん・・・ありがとうございます。よろしくお願いします!」
再び頭を下げる。
有難すぎて、それ以上の言葉が出なかった。
女将 「それで、代わりのものだけど・・・」
源さん「材料はこちらでよいですかい?」
女将 「ええ、充分よ」
健至 「それじゃ、早速始めるか」
源さん「坊ちゃん、練習の成果を見せる時ですな!」
健至 「さーて、上手く出来るか・・・」
主人公「ちょ、ちょっと、健至。何を作ろうとしてるの?」
健至 「ん?ヒントはこれ」
主人公「え・・・」
(クリスマスにこの材料?)
(一体、これで何が出来上がるんだろう・・・?)
主人公「私も手伝えることある?」
健至 「じゃあ、これを水おおさじ3で溶いてくれ」
主人公「わかった」
健至 「○○。大丈夫、オレが何とかするからな」
(健至・・・)
主人公「うん」
女将 「失礼いたします」
主人公「失礼いたします」
お得意様「あらまぁ、先ほどは本当にごめんなさいね。あの後大丈夫だった?」
主人公「はい。先ほどは大変ご迷惑をおかけいたしました」
子供A「ねぇねぇ、おねえちゃん。おこられなかった?」
主人公「大丈夫だよ」
子供B「よかったー」
女将 「大変お待たせいたしました。こちらが、ケーキの代わりのデザートでございます」
女将さんが目配せをする。
その合図を受け、健至がテーブルに置いたものは・・・。
子供B「わぁっ、サンタさんとツリーだ!」
子供A「すごーい!キラキラしてる!」
健至 「こちら、きくふじ特製クリスマス練り菓子と、飴細工でございます」
健至たちが作ったのは、和菓子だった。
グリーンに染めた練りきりと白粒餡で作ったクリスマスツリーに飴細工の小さなサンタクロース。
料亭ならではの、和風なデザートだ。
お得意様「おお・・・!あんな短時間でこんなに素晴らしいものを。とっても素敵ねぇ。これ、あなたが作ったの?」
健至 「僭越ながら、こちらの練りきりは私が作らせて頂きました。飴細工の方は、当店花板である源というものが」
お得意様「さすが源さんだな。いやしかし、君も中々の腕前じゃないか」
健至 「恐縮です」
お得意様「あなた、確か女将さんの息子さんよね?」
健至 「はい」
お得意様「こんなに良い息子さんをお持ちで、女将さんは幸せですなぁ」
女将 「まだまだ不出来な息子ですが、そう言って頂けて私も大変恐縮でございます」
子供A「おばーちゃん。これ、しゃしんとってママたちにおくろうよ!」
お得意様「そうね。こんなに可愛い和菓子、初めて見たものね」
子供たちが携帯で写真を撮る。
(良かった。喜んでもらえたみたい・・・)
(それにしても、練りきりも作れるなんて健至って本当にすごいな)
お得意様「おお、味もいい。ちょと食べるのが勿体ないが」
子供A・B「おいしーい!」
お得意様「ほんと。見て食べても楽しめるなんて素晴らしいわ」
女将 「ありがとうございます」
子供A「おいしいおかしをありがとう、おにいちゃん!」
健至 「どういたしまして」
子供B「おねえちゃんも、ごめんなさい」
主人公「ううん、いいの。良かったらまた来てね」
子供B「うん!」
お得意様「是非、また寄らせて頂くわ」
お得意様「今度はパパとママと一緒に来ましょうね」
子供A「わーい!」
子供たちの満足そうな顔を見て、思わずほっと胸を撫で下ろした。
お得意様「今日はトラブルにも迅速に対応して頂いて、とても満足な会食だったよ。ここに通い始めてからもう何年も経つが、やはりきくふじさんは素晴らしい店だな。これからもずっと変わらないでいて欲しいね。では、今日はこれで失礼するよ」
お得意様「ごちそうさまでした」
子供A・B「おねえちゃん、おにいちゃん、おかみさん、ばいばーい!」
女将 「本日は、誠にありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
主人公・健至「ありがとうございました」
そうして姿がみえなくなるまで、頭を下げる。
健至 「・・・ふぅ。まさかあんなに喜んでくれるとはな」
健至 「ま、結果オーライなんじゃん?」
(私の失敗で一時はどうなるかと思ったけど、良かったぁ・・・)
女将 「安心するのはまだ早いわよ。まだまだお客様はいらっしゃるんだから」
女将 「私は先に戻って・・・」
主人公「あ、あの、女将さん!私、本当にごめんなさ・・・」
女将 「いいのよ。手伝ってもらってるのはこっちですもの。私の方こそ、ごめんなさいね」
主人公「え?」
女将 「じゃ、戻るわね。健至も、早くしなさいよ」
健至 「おふくろ、あれでも後悔してんだよ。うちが○○を無理に働かせたから、こうなったんじゃないかって」
主人公「そんな・・・」
健至 「人手が足りないのは店の責任だし、○○が気にする必要はないよ。って言っても、難しいか。○○、責任感強いからなぁ」
ぽん、と頭を撫でられる。
主人公「・・・ごめん。ありがとう」
健至 「ホラ、またそういうこと言う。別にそんな気にしなくたって大丈夫」
主人公「でも・・・」
健至 「はい、この話は終り。これ以上謝ったら許さないぞ?オレは○○の彼氏なんだから、好きなヤツの力になりたいって思うのは当然だ」
(あれ?その台詞って・・・)
主人公「もしかして・・・私がさっき言ったのと同じ?」
健至 「正解。すっげー嬉しかったからさ、お返し」
主人公「健至・・・」
主人公「分かった。これ以上、ごめんなさいは言わないね」
健至 「ああ。お口にチャックだな」
主人公「もう、なによそれ」
思わず笑みが零れてしまった。
主人公「そういえば、あの練りきりすごかったね。いつ練習してたの?」
健至 「んー、夏くらいからちょこちょこと。やってみると意外と楽しいんだぜ。○○も今度一緒にやるか?」
主人公「いいの?健至のを見てて、ちょっと面白そうだなって思ってたんだ」
健至 「おし。じゃあ、正月は互いの練りきり披露会だな」
主人公「あははっ。頑張らないと」
健至 「それじゃ、戻るか」
主人公「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
営業終了後。
とうとう最後のお客様を見送った。
(お、終わったぁ・・・!)
叫びだしたくなるのをぐっと我慢し、片付けようと踵を返すと・・・。
健至 「○○、お疲れ。なぁ、今ちょっといいか?」
主人公「え、でも片付けが・・・」
女将 「行っていいわよ」
主人公「女将さん」
女将 「○○ちゃん、今日は手伝ってくれて本当にありがとうね。せっかくの健至とのクリスマスだったのに。後はこっちでやっておくから、あなたはあなたの時間を過ごしてらっしゃい」
主人公「でも・・・」
健至 「おふくろもそう言ってるんだし、行こうぜ」
主人公「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
女将 「はい、いってらっしゃい」
女将 「○○ちゃん。メリークリスマス」
主人公「あ・・・ありがとうございます!女将さんも、メリークリスマス!」
連れてこられたのは、きくふじの屋根の上だった。
健至 「よっと・・・」
健至 「足大丈夫か?」
主人公「うん」
健至の手を借り、屋根裏部屋から窓からなんとか屋根の上へ登る。
健至 「なかなかいいだろ?少しだけど、夜景も見えるし」
主人公「屋根に上ったのなんて久しぶりだよ」
健至 「ハハッ、まぁ普通はそうだよな。ここはさ、昔よく、おふくろに叱られたときとかに一人で来てたんだ。ま、オレの秘密基地ってトコだな」
主人公「へぇ」
健至 「○○に、どうしても見てほしくて・・・」
健至 「オレの育ったところがどんなところだか、そういったこと、全部」
主人公「健至・・・」
健至 「それで・・・これ。今日はありがとうな。あと、あんまり構ってあげられなくてごめん」
と、健至が差し出したのは・・・。
主人公「あっ、ケーキ」
私が落としてしまった、きくふじ特製和風クリスマスケーキだった。
可愛らしく立方体にカットしてある。
健至 「実は作った後、○○の分だけ別に取っておいたんだ。食べたいだろうと思ってさ」
主人公「どうしてわかったの?」
健至 「それは○○の彼氏ですから」
主人公「もう、健至ってば・・・」
主人公「でも、ありがとう」
一口食べる。
主人公「・・・美味しい。きなこクリームってこんなに美味しいんだ」
健至 「洋菓子店きくふじ、とかやれそうだよな」
主人公「あははっ。いいかも」
主人公「はい健至、あーん」
健至 「さんきゅ・・・ん、美味しい。○○も」
主人公「ん・・・」
主人公「やっぱり美味しい。もう1個食べたいな」
健至 「残念。もうないです」
主人公「そんなぁ」
健至 「食べたかったら、また来年作ってあげるよ」
主人公「来年・・・」
(それって、来年も私と一緒にクリスマスを過ごしてくれるって事・・・?)
健至 「なに、待ちきれない?」
主人公「ううん。わかった、来年ね」
健至の未来に自分がいるということが、嬉しい。
しばらく二人で景色を眺める。
(・・・そろそろいいかな)
用意していたプレゼントを差し出す。
主人公「はい、健至。メリークリスマス」
健至 「え?うそ。ホント?」
主人公「ホント」
健至 「あ、ありがとう。うわ、すげー嬉しい・・・」
子供みたいに目を輝かせ、プレゼントを開けた。
健至 「・・・マフラーだ」
主人公「健至に似合うと思って」
健至 「ありがとう!絶対に大切にするよ!」
健至 「それで、実はオレも・・・」
主人公「え?」
健至 「メリークリスマス、○○」
健至から小さなボックスを渡された。
主人公「健至も、用意してくれてたんだ・・・」
健至 「当たり前だろ?そんなにオレって信用ないか?」
中には、こぶりでかわいいネックレスが入っていた。
主人公「綺麗・・・」
健至 「ど、どうかな」
主人公「ねぇ、つけてくれる?」
健至 「え?あ、ああ」
後ろを向き、健至にネックレスをつけてもらう。
主人公「どう?」
健至 「うん・・・すっげー似合ってる」
主人公「・・・嬉しい!」
健至 「わっ!」
思わず健至に抱きつく。
主人公「健至、ありがとう!私もこれ、ずっとつけるね!」
健至 「どっ、どういたしまして・・・って」
健至 「落ちる!」
主人公「えっ・・・きゃあっ!」
健至 「うわぁあっ!」
ざざざっ・・・!
健至 「あ、危なかった・・・」
主人公「ごめん・・・嬉しくて、つい・・・」
健至 「ハハッ・・・。アクセサリーのことはよく分からなかったから、宙にいろいろアドバイスもらったんだけど気に入ってくれたならよかった」
屋根の上でおかしな体勢になりながら、私達は笑い合った。
そして、さすがに寒くなったので、健至の部屋に入る。
健至 「はー、あったけー・・・」
主人公「やっぱり外は12月だと寒いね」
寒くて震える肩をさすっていると
健至 「○○。おいで」
健至は腕を伸ばして抱き寄せてくれた。
暖かい胸に体を預けながら、目を閉じる。
(クリスマスだからかな・・・なんか、いつもより恥ずかしいかも・・・)
それでも、離れたいとは思わない。
健至は、ギュッ、と腕の力を強めてくれる。
健至 「やっと二人きりになれたな」
主人公「うん・・・」
健至 「こっち向いて?」
主人公「え・・・?」
見つめ合い、自然とキスを交わした。
健至 「まだ寒い?」
主人公「・・・ちょっとだけ」
ウソをつく。
本当はもう既に体は温まっているのに、いつもなら素直に答えるのに、何故だか今日はそれが出来なくて・・・。
(やっぱり・・・クリスマスだからかな)
もっとくっついていたいという気持ちが抑えきれない。
健至 「・・・ワガママだな」
主人公「え?」
主人公「・・・あっ」
とさっ
優しくベッドへ押し倒された。
健至 「じゃあ、もっと温めてあげる」
主人公「けんっ・・・」
唇を塞がれる。
何もかもを奪い去っていくような激しいキスに、徐々に意識が遠くなっていって・・・
健至 「今日は手伝ってくれてありがとう」
健至 「遅くなっちゃったけど、二人っきりのクリスマス楽しもうな」
主人公「うん・・・」
健至 「○○?」
主人公「だいじょうぶ・・・」
健至 「ハハッ、ちょっと激しすぎたか?」
健至 「それじゃあ・・・」
健至は、私の首にかかっているネックレスに一つキスを落とし
健至 「優しく、してあげるからな・・・?」
そうして、今度は優しいキスを交わした。
*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:*☆*:;;;:
健至も女将さんも源さんもホントみんな良い人達だわ~
主人公が一生懸命なのわかてるからってのもあると思うけどさ
暖かく見守られてる感がステキ!!