以下ネタバレです









バスは山道を登り始めていた。

そら 「今年のクリスマスは一人とか、男と過ごすクリスマスじゃなくて、よかったー」

瑞貴 「僕もイブの夜に、そらさんからの”寂しいよ”コールがないので一安心です」

そら 「なんだよー。瑞貴だって大体予定ないじゃんか!」

瑞貴 「僕にだって色々予定があるんですよ」

海司 「そもそも何でクリスマスは恋人と過ごす日になったんスかね?海外だと、家族と過ごすんですよね?」

昴  「たしかに、日本のクリスマスは恋人同士のイベントになってるよな」

憲太 「家族と一緒に過ごすって言ったら、寂しいーって言われたことありますよ。家族と過ごすクリスマスも素敵だと思うんですけど・・・」

そら 「でも、ほら、結婚したら家族と過ごすクリスマスになるわけでしょ?だから、恋人の時は恋人らしいクリスマスを楽しんだほうがいいんじゃない?」

憲太 「なるほど!」

そら 「とはいえ、班長は早く結婚してくれないと、オレらはしにくいんですけどね」

桂木 「なっ・・・きゅ、急に人の名前を出すな!」

そら 「だって、そうじゃないですか。部下のオレたちが先に結婚するってのも、悪いかなぁって」

瑞貴 「その前に、そらさんは、お嫁さん探しですね」

そら 「あのなぁ、瑞貴はオレをばかにし過ぎ。オレだって、一人や二人のお嫁さん候補くらい・・・」

黒澤 「広末巡査部長・・・嫁はさすがに一人じゃないとー」

  いや、候補だからね?

昴  「まぁ、そらの話は置いといて。桂木さんは相手も決まってるんだし、さっさと結婚したらどうですか?」

昴さんが私を振り返る。

主人公「あ・・・えーと・・・」

桂木 「別に急ぐこともないだろう?○○はまだ学生なんだし・・・」

そら 「歳を取ると、行動も遅くなるのかな」

海司 「30過ぎると焦りがなくなるって言われてますよね」

桂木 「あのな・・・」

石神 「人の結婚をどうこう言える立場じゃないんじゃないか?お前達は、結婚できるだけの落ち着きを持つのが先だろう」

そら 「うぐ・・・」

昴  「結婚に縁のなさそうなヤツに言われたくねーけど」

後藤 「そりゃお前だろ」

黒澤 「そうですよ~。石神さんだって、この間庁内総選挙で・・・」

隣に座っていたみどりが私の袖を軽くひいた。

みどり「ね、○○は、もう桂木さんのご両親にはあったの?」

主人公「ううん・・・それはまだなの」

みどり「そっかぁ。桂木さんは○○が卒業してからって思ってるのかもしれないね」

主人公「うん・・・」

(できればお会いしたいけど・・・桂木さんも連絡取ってないって言うし・・・)

(難しい問題だよね・・・)

ご両親とは絶縁状態にある桂木さん。

私もそのことは気になっていたけれど、口に出すことは滅多にない。

小杉 「○○ちゃん達の話を聞いていて思いついたわ!」

小杉 「次のお芝居は、奥手な中年と家政婦のロボットが恋に落ちる話にしましょう!」

みどり「家政婦ロボットですか?面白そう・・・」

瑞貴 「奥手な中年って、どのくらい奥手なんですか?目が合っただけで赤面しちゃうとか?」

憲太 「そういう男の人が主人公だと、ちょっと親近感が湧いちゃうかも・・・」

黒澤 「家政婦ロボの衣装って、どんな感じなんです?メイドみたいにミニスカート?」

黒澤 「いや、でも、そこは敢えてロングの方が・・・」

小杉 「そうねぇ・・・そこはサークル以外の男性の意見を聞きたいところね」

憲太 「家政婦さんって言うと、割烹着じゃないですか?」

みどり「”家政婦は見る!”ってドラマの印象が強いですよね」

(真壁さんの席、離れてるから話しづらそうだな・・・)

盛り上がり始めた会話に、私は真壁さんに声をかけた。

主人公「真壁さん、よかったら、こっちでお話ししてください」

憲太 「え?いえいえ!わざわざ席を替わって頂かなくても・・・」

主人公「そのほうがよく話が出来て、小杉部長も喜ぶと思いますから」

小杉 「そうね!純情ポリス真壁の話もお聞きしたいわ!」

憲太 「じゅ、純情ポリスって・・・」

私が席を立って、代わりに真壁さんが一番後ろの席に座る。

(席はいっぱい空いてるし・・・せっかくだから、前の方に座って見ようかな・・・)

そら 「○○ちゃん!オレの隣においでよ!」

海司 「そらさん、隣にはオレが座ってるんっすけど・・・」

そら 「だから、海司があっちの席にいけばいいじゃん。席はいっぱい空いてるんだし」

海司 「だったら、そらさんが別の場所にいってくださいよ」

海司 「んで○○はオレの隣に・・・」

昴  「ゴチャゴチャうるさい奴らは放っておいて、オレの隣に来いよ」

主人公「えと・・・」

主人公「海司の隣に座ろうかな・・・」

海司 「そうそう、オレの隣が楽しいって。学校の遠足とか、懐かしい話でもしようぜ」

そら 「それなら、○○ちゃんはオレの膝の上に座るといいよ」

昴  「そら、それは流石にイタイぞ」

(どうしよう・・・)

後藤 「席一つで、うるせぇ奴らだな」

後藤 「○○、桂木さんの隣が空いてんだろ、そこにいけ」

主人公「は、はい・・・」

後藤 「桂木さんの隣なら、コイツらも文句言わねーだろ」

そら 「ぐ・・・正論なだけにむかつく・・・」

主人公「桂木さん、お隣いいですか?」

桂木 「ああ、もちろんだ」

私は桂木さんの隣に座って・・・バスはやがて雪景色の中を走り始めた。


ロッジについて荷物を預けると、みんなでゲレンデに出ることになった。

中級者コースは桂木さんと海司、石神さんと後藤さん、そして私が残っていた。

桂木 「中級者コースを滑るのは、この5人か」

主人公「海司、中級者コースなの?海司はてっきり、上級者コースかと思ってた」

海司 「何年もスキーなんてやってないからさ、最初から上に行くのはちょっと・・・と思ってな」

主人公「石神さんも後藤さんも、スキー上手そうですけど・・・」

石神 「ええ・・・苦手ではありませんが、上に行きすぎると、何か連絡があった時に対応が遅れそうなので」

後藤 「黒澤は『連絡なんてありませんよ』って、上に行きましたけどね」

石神 「はぁー・・・まったく」

(それじゃあ・・・本当に、あんまり滑れないのは私だけ・・・?)

海司 「班長に教えてもらえば、すぐに上手くなるだろ」

石神 「ああ、そういえば、桂木さんはスキーのインストラクターの資格を持っているんでしたね」

  そうなの?じゃあ、私も教えてください!

  脱!ボーゲン!!(^▽^;)

主人公「桂木さん、よろしくお願いします」

桂木 「○○なら、すぐに上達するだろう」

桂木 「まずは足を軽く開いて・・・」

海司たちは身体を慣らすために滑りはじめ、桂木さんは私に丁寧に指導してくれる。

主人公「わ・・・すごい!桂木さんに少し教えてもらっただけなのに、転ばずに滑れてる!」

海司 「さすが日本一のSPにして、インストラクターっすね!」

桂木 「!いきなり背中を押すな!」

主人公「か、桂木さん!?」

海司に背中をバンッと叩かれた桂木さんは突然滑り出してしまい、バランスを崩しそうになっている。

主人公「大丈夫ですか!?」

桂木 「○○、そこにいたら危ない!」

主人公「えっ!」

桂木さんは私に手を伸ばすと抱き上げ、そのまま負担のない形で転んだ。

桂木 「ケガは無いか?○○」

主人公「は、はい・・・すみません・・・」

後藤 「いつまで抱き合っているつもりですか?」

桂木 「あ、いや!す、すまない・・・」

主人公「いえっ・・・」

海司 「あーあ、二人して真っ赤になっちゃって・・・見せつけてくれますね」

海司 「そもそも、お前がいきなり背中を押すから悪いんだろう!」

ぼこっと、桂木さんが海司の頭を叩く。

海司 「いてー」

海司 「・・・あれ?なんか、アナウンスが流れてませんか?」

主人公「本当だ・・・」

アナウンス「現在、当スキー場では、雪像コンテストを開催しております。見事な雪の芸術を、ぜひご覧になってください」

海司 「雪像コンテストって、雪まつりみたいなもんですかね」

桂木 「まあ、そうだろうな」

その時、上からそらさん達が滑って来た。

そら 「いいねー!桂木コーチのスキー教室!」

瑞貴 「○○さんがいなかったら、自衛隊訓練に近いことされていたでしょうねー」

桂木 「なんなら、今夜、桂木班の特別スキー教室を開こうか?」

そら 「そ、それは遠慮しておきまーす」

そらさんたちは逃げるようにし滑っていく。

桂木 「さて・・・・そろそろお昼も過ぎたし、一旦休憩するか?」

海司 「そうっすね」

主人公「はい」

桂木 「石神、後藤!一度下におりるぞ!」

麓に戻って、ゲレンデのロッジで休憩することになった。


ゲレンデのロッジにあるカフェで、私達は温かい飲み物で身体を温めていた。

上級者コースにいったみんなは、まだ戻ってきていない。

海司 「○○も大体滑れるようになったんじゃないか?」

主人公「うん、転ばなくなったし・・・」

後藤 「最初のへっぴり腰で滑ってるのも結構面白かったけどな」

海司 「ですね」

桂木 「次はコースを変えてみるのもいいだろう」

主人公「はい」

(大丈夫かな・・・)

石神 「桂木さん、私と後藤は、もう上がります」

桂木 「ん?そうなのか?」

後藤 「はい、温泉の方にでも行ってみます」

桂木 「そうか。では、宿泊先のロッジで集合にしよう」

石神 「では・・・」

海司 「お疲れッス」

石神さんと後藤さんと別れた後、カフェの中にも雪像コンテストのアナウンスが流れた。

主人公「クリスマスツリーとかもあるんでしょうかね?」

桂木 「せっかくだから、このあと行ってみるか?」

主人公「そうですね・・・」

海司 「オレは上で滑ってる皆と合流しますよ。ようやく調子も出てきたんで」

主人公「海司は雪像に興味ないの?」

海司 「ばーか、俺なりに気を使ってんだよ。班長と二人で楽しんで来い」

主人公「海司・・・」

海司 「じゃ、班長。お先に失礼します」

桂木 「あ、ああ・・・」

海司は軽く手を振って、ゲレンデに戻っていく。

桂木 「何だか・・・周りに気をつかわせて悪いな・・・」

桂木 「でも・・・」

桂木さんは私の手を握った。

桂木 「こんなことを言ったら上司失格なのかもしれないが・・・○○と二人きりになれて嬉しい」

主人公「桂木さん・・・」

桂木 「○○は・・・オレと二人になれて、嬉しいと思ってくれるか?」

主人公「はい。私も嬉しいです」

桂木 「そうか・・・こんなことを考えているのが自分だけじゃなくて、安心したよ」

桂木 「コーヒーを飲み終わったら、スキーの道具を返して、雪像コンテストを見に行ってみようか」

主人公「はい!」

私は桂木さんと二人で雪像コンテストを見に行くことになった。




つづく---