以下ネタバレです











脱出ルートを通って、私達は車が置いてある駐車場へ向かうことになっていた。

健至 「○○、大丈夫かよ」

主人公「う、うん、なんとか・・・」

(み、みんな走るのが早い・・・)

健至 「ほら、掴まれ。引っ張ってやる」

ぐいっと、健至が私の手を引っ張る。

  早く走れないから、抱っこして運んでほしい~!!

(うわ・・・さりげなくつながれたけど、健至の手、大きくてドキドキする・・・)

宙  「あー、ちょっとケン兄、一人だけずるい!そういうのは僕の役目だよ」

流輝 「○○を引っ張るんだったら、おっさんを引っ張ってやれ」

健至 「なんでだよ。自力で走れるだろ」

集  「いやもう、そろそろ動悸息切れが・・・」

健至 「なんだよ、年取りすぎだろ」

  ボス、ひどい言われよう・・・面白過ぎ

  なんだろう、つぼにはまっちゃって・・・笑いが止まらないヽ(゜▽、゜)ノ

宙  「それにしても、今回は余裕だったねー。有名なカジノなんだからもっと手ごたえあるかと思ったけど、拍子抜けだよ」

流輝 「ま、いつものことだろ。オレのプランは完璧だからな」

主人公「す、すごい自信ですね・・・」

???「待て、おまえら!」

(え!?今の声って、もしかして・・・)

主人公「あの声、達郎!」

宙  「え~?達郎ってあの幼馴染の刑事だよね?こんなときでも追ってくるなんて、真面目なヤツだなぁ」

集  「○○ちゃんを見られるとまずい!走って!」

主人公「は、はい!」

(あの停電と煙幕の中で、一人だけ追いかけてくるなんて・・・!)

集  「そこの角を曲がればすぐ出られるから、さっさと逃げちゃおう」

勢いよく角を曲がる。

しかしその時、出口手前のシャッターが閉まりだした!

主人公「ええ!?なんで!?」

健至 「マジかよ!ここが駐車場までの最短だったのに」

流輝 「横道に入れ!遠回りになるけど、そっちからでも出られるはずだ」

宙  「まずいよー、遠回りになっちゃったらまけないかもしれないよ」

流輝 「なんとかしろ」

健至 「って言っても、全力で走るしか・・・」

主人公「あ・・・今度は向こうの通路、スプリンクラーが作動してます!」

集  「うわー、さすがにあの水の中は通れないね。じゃ、こっち」

マスターに引っ張られて、また別の通路に入る。

しかし、そちらもシャッターが閉まっていた。

達郎 「逃げ道はないぞ!止まれ!」

宙  「なんで?まさか脱出ルートがバレてるとか?」

流輝 「ちっ!めんどくさいことになってきたな」

健至 「それよりあいつ、どーやってまくよ。そろそろ追いつかれちまうぞ」

客  「きゃあ!」

振り返ると、後ろの方でもスプリンクラーが作動して、通路が水浸しになっている。

そのせいで足を滑らせたのか、お年寄りが転んでいた。

達郎 「大丈夫ですか!?」

客  「突然水が・・・どうなってるの?」

達郎 「立てますか?怪我は?」

達郎はお年寄りに気を取られて、足を止めている。

集  「今のうちに逃げちゃおう。みんな行くよ!」

達郎 「あ、待て!くそっ・・・」

(達郎、こっち睨んでる・・・)

(でも、私達を捕まえるよりも一般の人の無事を優先したんだ)

(そういうのって、やっぱり達郎らしいな)

健至 「脱出ルートがバレてるとしたらまずいな。全員で動くにはリスクがありずぎる」

流輝 「ひとまずは、ばらけて逃げるぞ。集合場所は変わらず駐車場だ」

流輝 「○○、行くぞ!」

主人公「えっ・・・流輝さん!?」

宙  「あー!リキくん、ぬけがけ!だから、そういうのは僕の役目だって言ってるのに!」

流輝 「やかましい。お前らは一人でも逃げられるだろ。捕まんなよ!」

主人公「み、みんな気をつけて!」

流輝さんに引きずられるようにして、私は通路を駆け抜けた。

流輝 「向こうの道が使えないとなると・・・・」

主人公「流輝さん、このホテルの通路、全部覚えてるんですか?」

流輝 「見取り図チェックしてきたからな。従業員通路まですべて頭に入ってる」

(す、すごい・・・)

???「おっと」

突然、角から誰かが飛び出してくる。

主人公「えっ?」

悠月 「おまえら、何してんだ?一般人がこんなとこで・・・あ、お前さっきの財務省のやつじゃねーか!」

主人公「き、北大路悠月!?」

(うそ!あの超有名人がこんな近くに・・・!)

悠月 「お前は招待客か?」

主人公「え、ええと、その・・・」

悠月 「そいつから離れろ。普通じゃねーぞ、そいつ。柳瀬流輝・・・だったか?」

流輝 「へえ、あの悠月さんに覚えてもらえるなんて、光栄ですね」

悠月 「なんかうさんくせー奴だとは思ってたけどな」

悠月 「ほら、あぶねーからこっち来い」

(わっ・・・あの北大路悠月に肩抱き寄せられた!)

主人公「あ、あの・・・私」

悠月 「おまえ、この騒ぎに巻き込まれたんだろ?一般人はあぶねーから関わるな」

(もしかして、私がブラックフォックスだって気づいてない?)

(どうしよう、何も知らないフリした方がいいのかな・・・)

流輝 「悠月さんが何を仰ってるかわかりませんけど、その女性を口説いてるところなんですよね。邪魔しないでもらえますか?」

悠月 「はあ?口説いてる?こんな場所で?」

流輝 「こんな場所だからですよ。誰も来ない通路で2人きりなんて、うってつけでしょ?」

悠月 「へえ・・・じゃあオレも参戦していいってわけだよな?」

流輝 「あの北大路悠月が人の女を横取りしようとするなんてね」

悠月 「俺は、ほしいと思ったもんは手に入れる主義なだけだ」

流輝 「手に入れたいと思っても、そいつがあなたを選ぶとは限らないと思いますが?」

(な、なんだか不穏な感じに・・・2人の間に火花が見える)

悠月 「で?おまえの本職ってなんなわけ?財務省の職員なんてうさんくさすぎだろ」

(本職・・・!?もしかしてバレてる!?)

流輝 「本職ねえ・・・盗むこと」

流輝 「もちろん、女も」

主人公「えっ!?」

一瞬の隙をついて流輝さんが、悠月さんから私を引き離す。

そのまま私をお暇様抱っこして、悠月さんをすり抜けた。

主人公「り、流輝さん、下ろしてください!」

流輝 「バカ、暴れるな!暴れると落としちまうだろーが」

悠月 「あ、待てコラ!」

悠月さんも追ってくるが、館内を熟知している流輝さんがあっさりと悠月さんを巻いてしまった。

流輝 「ったく・・・おまえ、ちょっと目を離すとすぐ変なのにちょっかい出されるよな」

主人公「すみません・・・不可抗力というか、そもそも今、目を離されてませんでしたけどね・・・」

流輝 「バツとして、車までこのままだからな」

主人公「ええ!?」

流輝 「また変なのに絡まれるよりマシ」

(捕まって足手まといになるよりはいいけど、は、恥ずかしい・・・・!)

結局流輝さんにお姫様抱っこをされたまま、私は車に乗りこんだ。

宙  「お疲れ、○○ちゃん!なんかリキくんに変なことされなかった」

主人公「私は大丈夫だったけど・・・でも、途中で俳優の北大路悠月に会ったよ」

宙  「え、すごい!うらやましーなー」

流輝 「あんな奴と会えてどこが羨ましいんだ。ったく」

流輝 「あとは健至とボスだけか・・・」

拓斗 「おせーからヒゲは宝石に代わりに置いてこーぜ」

主人公「またひどいことを・・・あ、来ましたよ!」

拓斗 「マジ空気読めないやつ」

宙  「またまたー。そんな事言って本当はすごく心配だったくせに」

集  「おまたせ!」

集  「ごめんねー、なんか妙な妨害にあっちゃって」

拓斗 「ずっと妨害されてりゃよかったのに」

流輝 「全員乗ったか?」

宙  「ばっちぐー!」

流輝 「じゃあ出すぞ」

勢いよく車を発進させ、カジノを後にする。

健至 「いやー、今回は久々にヤバイと思ったな。マジ焦った」

拓斗 「何やってたんだよ」

健至 「逃げる先、全部、道塞がれたんだよ。まるでオレ達の行動がバレてるみたいにすげーいいタイミングでさ」

拓斗 「バレてる・・・?警察にか?」

集  「いや、あれは警察じゃないだろうね。何しろ戸越くんが追いかけて来てたから」

集  「防火シャッターが閉まったりスプリンクラーが回ったり・・・ってことを考えると、ホテル側で操作してたんじゃない?」

宙  「へー、意外と頑張ってたんだね。でもまあ、お宝はゲットできたわけだし、結果オーライでしょ?」

集  「車に乗っちゃえば、追いかけて来れないだろうからね」

流輝 「このまま黒狐に帰って宴会でもするか」

集  「そのつもりで今日は貸切にしてあるから、じゃんじゃん好きなの頼んでよ」

拓斗 「ジャージャー麺の・・・」

集  「肉3割増しでしょ?」

拓斗 「・・・ん」

宙  「ほら、○○ちゃん!これがロミオとジュリエットの、ジュリエットの方だよ」

(大きな赤い宝石・・・すごく綺麗)

(だけど・・・)

(そういえばさっき、健至が持った時に聞いた音って何だったんだろう?)

すると、そのとき突如後ろに一台の車が現れた。

拓斗 「おい、つけられてる」

流輝 「何?」

健至 「うわ、なんだあれ」

主人公「ほんとだ・・・猛スピードで、この車の方に向かってくる!」

  運転手、ノエルじゃない?

宙  「ちょっと、危ない運転するねー。車の間、縫うように走ってくるよ」

流輝 「ち、しつこいやつらだ」

健至 「スピードあげるぞ!」

ぐんっと車が揺れて、一気に加速する!

主人公「・・・ダメです!まだ付いてきます」

集  「健至、振りきれない?」

健至 「これでも全力だよ!」

拓斗 「・・・」

突然、拓斗さんの手が伸びてきた。

主人公「きゃっ・・・た、拓斗さん!?」

(な・・・なんで体触られてるの!?)

健至 「拓斗、何やってんだ!」

流輝 「こんなときに発情してんじゃねーよ」

宙  「うわー、これって吊り橋効果ってやつですか?たっくんも奥手に見えて意外とやるねー」

拓斗 「ち、ちげーし!」

拓斗さんの手が、私が持っていた宝石を探り当てる。

拓斗 「・・・発信機」

主人公「え?」

拓斗 「こっちの青いのにもついてる。だから先回りされたんだ」

宙  「あの車、この発信機を追いかけて来てるって事!?」

拓斗 「それにあの運転・・・素人じゃねーし。っていうか、プロにしても早すぎだろ」

(素人じゃない・・・)

(そういえば、さっき会った藍島さんって、有名なF1レーサーだよね)

健至 「なあ、もしかしてあれ運転してるの、さっきののんびりした外国人レーサーか?」

主人公「う、うん、たぶん・・・腹八ブンブンの」

健至 「へえ、あんなぼやっとした奴があんな運転するなんて、確かに人は見かけによらないよな」

主人公「確かにって?」

健至 「さっき逃げてくる途中で、あの美容外科医につかまりそうになった」

集  「あー、確かにあれはびっくりしたよねえ。あんなキレイな顔した人が、あんなことするなんてなー」

(あんなこと、って・・・いったい何があったの!?)

流輝 「のんびり話してる場合じゃない!追いつかれるぞ!」

宙  「いったん、車捨てて逃げるしかないんじゃない?ここで捕まったら元も子もないし」

集  「だね。健至、そこの公園で停めて」

健至 「また逃げんのかよ。みんな捕まるなよ。特に拓斗」

拓斗 「なんでオレだけ名指しなんだよ・・・」

宙  「たっくん、足遅そうだもんねー。っていうか、運動に向いてなさそう」

拓斗 「オレの逃げ足なめんな。ヒゲを犠牲にしてでも逃げ切ってやる」

集  「自慢になんないから、それ。って、なんでオレ犠牲になっちゃってんの」

流輝 「よし、とりあえず捕まるな!あとは無線で連絡し合うぞ!」


車を降りた直後、私は宙に手を引っ張られて走り出した。

宙  「走って、○○ちゃん!追いつかれちゃうよ」

主人公「う、うん、!」

宙  「それにしても宝石に発信機つけるなんて、お釈迦様もびっくりとはこのことだね」

  あははは・・・

主人公「お、お釈迦様??」

宙  「ほんっと許せない!プンスカしちゃう!」

主人公「後を尾けられたことが許せないの?」

宙  「そうじゃなくて、宝石だってひとつの芸術品でしょ?あの輝きを出すために職人がどれだけ・・・」

宙  「それを発信機なんてつけたら、もしかしたら石に傷がついちゃうかもしれないのに」

主人公「宙って、本当に芸術品が好きだよね」

宙  「だって、それを見てるだけで歴史とか作った人の気持ちが伝わってくるでしょ」

宙  「それなのに、そんな素晴らしいものに発信機なんてご法度だよ!」

(こういう話をしてる時の宙って、いつもと違って真剣な顔してる・・・)

(やぱり本当に芸術品が好きなんだな・・・)

???「どっちに行ったかな」

(えっ・・・誰か来る!?)

宙  「○○ちゃん、こっち!隠れて!」

宙に手を引っ張られて、そのまま茂みの中に引きずり込まれた。

(うわ・・・か、隠れるためとはいえ、宙に抱きしめられてる・・・)

宙  「誰だろう?敵か、一般の人か・・・」

宙  「いや、こんな夜の公園をうろうろしてるなんて、敵しかいないだろうけど」

(うう・・・宙の声、耳元で響いてくすぐったい・・・!)

宙  「あいつらが発信機なんて・・・」

主人公「ひ、宙、落ち着いて・・・・気持ちはわかるけど、今は少し冷静になった方が」

宙  「でも、許せないでしょ?」

主人公「う、うん・・・そうかもしれないけど、でも・・・」

宙  「・・・○○ちゃんからキスしてもらえたら、この怒り、収まるかも」

主人公「えっ・・・」

(な、なんか・・・宙に押し倒されるみたいな形に)

主人公「ちょ、ちょっと待って・・・今はそんなこと言ってる場合じゃ」

宙  「だって、あいつら芸術品を侮辱しただけでなく、人の恋路まで邪魔してるんだよ」

主人公「こ、恋路?」

宙  「そう。僕と○○ちゃんのね・・・」

宙  「やっと二人きりになれたんだし・・・いいでしょ?」

宙の顔が近づいてくる・・・。

(ど、どうしよう!さすがにまずい気が・・)

主人公「ま・・・待って!さっきの人の声が・・・」

宙  「・・・」

???「あれ~?絶対こっちだって思ったのに」

集  「おーい、みんな?どこ隠れたの?」

主人公「あれ・・・マスターの声じゃない?」

宙  「だね・・・あのマヌケな感じは」

宙  「もう、すっごいいいところだったのに!ボスまで僕らの邪魔するなんて・・・あとで寝てる隙にヒゲを全部そってやる!」

主人公「そ、そんなことしなくても。もしかしてもう出ても大丈夫なのかな?」

ガサッ

2人で、茂みから出てみる。

しかし、そこにいたのはマスターではなかった。

???「みーつけた」

主人公「!?」

(この人・・・誰!?)

宙  「え、何?どういうこと?」

???「発信機に盗聴器をつけておいたんだけど、こんな簡単に引っかかっちゃうなんて意外とマヌケな怪盗さんだね」

(私達がブラックフォックスだってバレてる・・・この子、誰!?)

???「今キミたちが聞いた声は、もうひとつの宝石をもったお仲間の声ってわけ」

宙  「キミ・・・何者?」

???「んー、キミ達の未来を司る者・・・かな」

宙  「うわー何それ、寒っ!」

未来 「なんとでも言ったら?なんならキミの未来を予言してあげようか?」

宙  「そんなの必要ないよ。それよりまた邪魔されるなんて・・・ちょっとは空気読んでほしいよね!」

主人公「宙、そんなこと言ってる場合じゃ・・・」

宙  「だってさー、一度ならず二度までもだよ?チョベリバだよ!」

未来 「・・・チョベリバ???」

宙  「知らないの?まったく、これだからお子様は・・・」

(さすがにチョベリバは古すぎるよ・・・)

未来 「・・・キミもそう違わないように見えるけど。ま、いーや。じゃあ預言してあげる。キミ達はお仲間と一緒に僕らにつかまるよ。くやしー思いをしてアジトに帰ることになるだろうね」

宙  「言ってなよ」

ぐいっと、宙に腕を引っ張られる!」

主人公「宙!どうするの!?」

宙  「とりあえず分が悪そうだから、みんなと合流しなきゃ!」

宙  「・・・でも、これを持ってる限りはどこまでも追いかけてくるだろうな・・・」

宙の手が離れて、逆方向に押しやられた。

宙  「○○ちゃんは向こうに逃げて」

主人公「だって・・・宙は!?」

宙  「僕が発信機のついた宝石を持って逃げるから!」

主人公「でも・・・」

宙  「早く!あいつが来たよ!」

(本当だ・・・あの子、私達の居場所がわかるんだった!)

主人公「じゃああとで・・・絶対捕まらないでね!」

宙  「○○ちゃんもね!」

宙と二手に別れて、夢中で走る。

(あの子、きっと発信機を持った宙の方にむかってるはず・・・!)

(宙、大丈夫なのかな)

未来 「あ、また見つけた」

主人公「きゃあ!」

未来 「ブラックフォックスに女の子がいるなんて驚きの情報だよね。でも安心して。僕達、女の子にはひどいことしないから。特にキミみたいなかわいい子にはね」

思わず後ろに振り返って、思い切り走る。しかし、しつこく私を追ってくる。

主人公「ちょ、ちょっと!な、なんでこっちを追いかけてくるの!?」

未来 「えー?だって、どうせならかわいい子を捕まえたいでしょ?」

主人公「じゃあ、私はかわいくないからあっち行ってよ!」

未来 「そんなことないよー。ちょっと勝気で元気があって、僕のタイプ♪」

(や、やばい!なんか余計に火を点けちゃった!)

じりじりと、男の子が距離を詰めてくる。

(どうしよう・・・このままじゃ捕まっちゃう!)

(だけど逃げ道なんてないし・・・!誰か助けて・・!!)

その時、突如私の前に誰かが現れた。

その人物とは・・・。



つづく---