以下ネタバレです








そら 「あーあ、瑞貴のとなりかぁ」

海司 「そりゃそうっすよね」

海司 「あ、唐揚げ・・・」

昴  「おい、唐揚げを食ってる場合じゃないだろう!」

パチン!

海司 「痛っ」

瑞貴 「ふふっ。誕生日と言えば、まずはこっちを食べないとですよね」

主人公「こっち?」

瑞貴 「おいでよ、○○」

主人公「うん・・・」

(え?電気が消えた?)

驚いていると、みんなの手拍子と一緒に「ハッピーバースデー」を歌いはじめ、瑞貴がロウソクに火をつけてくれる。

瑞貴 「さ、○○」

主人公「うん」

ふっ、息をふきかけてロウソクの火を消すと、みんなが拍手をしてくれる。

憲太 「○○さーん、お誕生日おめでとうございまーす」

海司 「すげーだろ、昴さんの手作りだぜ?」

昴  「気に入ったか?」

主人公「はい!すごく素敵ですね。特にこの・・・ウサギとクマの砂糖菓子が・・・」

瑞貴 「それね、僕がお願いしたんだ」

主人公「え?瑞貴が?」

瑞貴 「うん。昴さんが『これくらいなら作れる』って言うから」

昴  「もともとのケーキ全体のデザインは瑞貴が考えたんだ」

瑞貴 「森のイメージなんだよ。可愛いでしょう?」

主人公「うん!」

昴  「まぁ、本当は2段重ねくらいのデカいケーキを作りたかったんだけどな。皆に反対されて、出来なかった・・・それだけが心残りだ・・・」

そら 「だから、それだとウェディングケーキになるって言ってるじゃないですか」

海司 「そうっすよ。あくまで誕生日なんっすから」

瑞貴 「ウェディングケーキは、また別の機会に取っておかないと。ね?」

主人公「うん、そうだね」

桂木 「なんだ、まだケーキを切り分けてなかったのか」

瑞貴 「これから分けるところです」

瑞貴 「ね、○○。どうせなら、一緒に切り分けようか」

主人公「そうだね」

昴  「おいおい、それこそ結婚式みたいじゃねーか」

瑞貴 「予行練習ですよ。ね?」

主人公「うん」

そら 「仕方ねーな。じゃあ、ナイフ持ってきて・・・」

ざく・・・っ!

全員 「え・・・っ?」

石神 「全部で何人だ、後藤」

後藤 「我々と真壁、今日の主役と、その友人と・・・あとはお祭り課ですから、11人ですね」

石神 「11人か・・・中途半端な人数だな」

そら 「ちょ・・・ちょっとちょっと」

昴  「なにをやってるんだ、そこの横分け!」

石神 「なにって、ケーキを食べるんじゃなかったのか?」

後藤 「誰も切り分けようとしないから、オレ達が切り分けてやってるんだが・・・」

桂木 「すまん。実はこれから瑞貴と○○さんが二人で切り分けようとしているんだが・・・」

石神 「そうでしたか。それは失礼しました」

後藤 「悪かったな、藤咲。ほら」

瑞貴 「・・・ありがとうございます」

そら 「やっべ、瑞貴、超怒ってね?」

海司 「公安の二人、ネズミの呪いでもかけられるんじゃないっすか?」

瑞貴 「失礼ですね。そんなことはしませんよ。・・・きっと」

海司 「『きっと』かよ・・・」

主人公「『きっと』なんだ・・・」

みどり「うわぁ・・・すごいケーキですね。私、そこのバラのクリームのところが食べたいです」

小杉 「私は、そのツキノワグマの砂糖菓子がいいわ」

瑞貴 「あ、分かりますか。これ、ツキノワグマだって」

小杉 「もちろんよ。その胸の月の形が何よりの証・・・ぐふふ・・」

憲太 「あのぉ・・・そろそろプレゼントタイムなんですけど・・・」

主人公「え?プレゼントも用意してくれてるんですか?」

そら 「あったりまえじゃん。誕生日パーティなんだから」

そら 「ってことで、まずはオレ!ハッピーバースデー、○○ちゃん!」

主人公「かわいい!ポーチですね」

そら 「それ、最近はバッグ・イン・バッグとしても人気なんだって」

みどり「便利ですよね、こういうものがあると」

そら 「女の子は、バッグをよく取り替えるからね」

後藤 「・・・ずいぶん女性の事に詳しいんですね、広末は」

石神 「おおかた女装しているせいだろう」

そら 「なんだよ!それは関係ないだろ!」

昴  「オレからのプレゼントはコレだ」

主人公「レースのハンカチ・・・」

そら 「出た!レース!」

海司 「昴さん、好きっすよね。そういうヒラヒラしたヤツ」

昴  「バカ、○○は総理の付添として、パーティに出ることも多いんだぞ。そういうときに、ふつうのハンカチを持ち歩くわけにもいかないだろう」

桂木 「なるほど・・・たしかにそうだな」

主人公「ありがとうございます、大切にします」

海司 「これはオレから」

主人公「パスケースだ・・・」

海司 「今使ってるの、古くなってきただろ。良かったら使えよ」

主人公「ありがとう・・・なんか嘘みたい・・・海司からこんなちゃんとしたもの、貰えるなんて。昔は、ひまわりの種とかくれてたのに・・・」

そら 「ぷ・・・っ、ひまわりの種って」

昴  「お前・・・いくらなんでもそれはないだろ・・・」

海司 「い、いいじゃないっすか!あれ、蒔くことも出来るし、腹が減ったら食うこともできるし」

瑞貴 「たしかに、ひまわりの種を頬張る○○は可愛いかもしれないですね。シマリスみたいで」

主人公「そんな・・・食べたことはあるけど、頬張ったりはしないよ、さすがに」

石神 「我々からはこちらを」

主人公「万年筆・・・はじめていただきました」

後藤 「そろそろ必要とする機会も出てくるだろうからな」

石神 「一本持っているといいですよ」

みどり「演劇部からはこれね」

主人公「アロマキャンドル・・・5種類もあるんだね」

小杉 「アイドル藤咲も、アロマが好きなのよね?」

瑞貴 「ええ。二人で楽しませていただきます」

桂木 「私と真壁からは、これを・・・」

憲太 「ちょうど家電量販店で桂木さんにお会いしたんで、一緒に選んだんです」

主人公「うわぁ・・・デジタルフォトフレーム・・・」

憲太 「最新型らしいですよ」

桂木 「なにせ最大4000枚のデータ保存が可能で、縦置き、横置きどちらも対応してますからね。それに絞り込み機能もついて・・・」

そら 「はいはいはい、班長ストップ!」

昴  「昨日は説明書を渡せば分かるんですから」

桂木 「そ・・・それもそうだな・・・」

憲太 「ぜひ、瑞貴さんとの思い出の写真を飾ってくださいね」

主人公「はい」

(・・・あれ?)

(でも、瑞貴との思い出の写真・・・私、持ってたっけ?)

昴  「よし、あとは瑞貴のプレゼントだけだな」

そら 「よっ、大トリ!」

瑞貴 「ふふっ、すみません。僕は後にさせて下さい」

そら 「ええっ?なんでだよ」

瑞貴 「○○と二人きりの時に渡そうと思って」

そら 「なんだよー。お前が渡さないと盛り上がんねーじゃん」

瑞貴 「そうですか?じゃあ・・・」

瑞貴 「ひとまず、キスのプレゼントなんてどうかな?○○」

主人公「えっ?今ここで?」

瑞貴 「だって、そらさんが盛り上げた欲しいみたいだし」

主人公「ダ・・・ダメだよ。そんな・・・みんな見てるのに・・・」

瑞貴 「ふふっ。真っ赤になって・・・やっぱり可愛いね、○○は」

(うわ・・・っ)

耳元での囁きがくすぐったくて、私は思わず肩をすくめる。

憲太 「皆さーん。総理のご到着です!」

(え?お父さんが?)

平泉 「誕生日おめでとう、○○。これは私からのプレゼントだよ」

主人公「このブローチ・・・!」

平泉 「見たことがあるかい?昔、お前の母さんにも同じものを贈ったことがあるんだが・・・」

主人公「うん。お母さん、ずっと大切にしてたよ。普段はケースに入れてたけど、ときどき取り出して大切そうに眺めてた・・・」

平泉 「お前も大事にしてくれるか?」

主人公「もちろんだよ。ありがとう、お父さん」

そら 「あーあ・・・」

海司 「やっぱ、総理には敵わねーよな」

瑞貴 「そうですね」

パーティが始まって1時間が過ぎた。

昴  「おーい、キッシュが焼きあがったぞ。熱いうちに食え」

みどり「うわぁ、おいしそう」

小杉 「ぐふふ・・・いい香りね。行きましょう、○○ちゃん」

主人公「はい」

(すごい・・・いろいろな種類がある。どれにしようかな・・・)

憲太 「○○さん、こっち向いてください」

主人公「え?」

パシャッ!

憲太 「あ・・・ちょっとブレちゃいました・・・もう1枚いいですか。よろしければ、皆さんも一緒に」

小杉 「あら、私達も?」

憲太 「では、いきまーす。1+1は・・・」

3人 「2!」

パシャッ!

憲太 「今度はバッチリです」

昴  「なんだ、真壁・・・今度はカメラマンか?」

憲太 「はい。せっかくフォトフレームをプレゼントしたんで、早く写真を入れてほしいなと思って」

主人公「ありがとうございます。でも、それなら全員と撮りたいな・・・」

憲太 「もちろん、皆さんの写真を撮りますよ。じゃあ、まずは・・・」

昴  「オレと○○で撮るか」

主人公「いいんですか?」

昴  「もちろんだ。まずは、二人きりで・・・」

そら 「ちょ・・・ズルイっすよ。オレもオレも!」

昴  「仕方ねーな、ったく」

昴  「瑞貴ー、お前も来いよ」

そら 「せっかくだから、一緒に写ろうぜ」

瑞貴 「ふふっ。僕と一緒に写ると、ここにいない人たちも写りますよ?」

そら 「は?」

そら 「そ・・・それって、まさか・・・」

パシャッ!

そら 「ちょ・・・憲太!シャッター押すの早すぎ!」

憲太 「うわ、すみません。もう一枚・・・」

パシャッ!

海司 「なにやってるんっすか?」

そら 「○○ちゃんと記念撮影だよ」

憲太 「海司さんも一緒にどうですか?」

海司 「マジで?」

海司 「あ・・・班長も一緒に写りましょうよ」

桂木 「なにがだ?」

主人公「今、皆さんと写真を撮ってもらってるんです。桂木さんも一緒にいかがですか?」

桂木 「ありがとうございます。では・・・」

海司 「瑞貴ー、お前もこっちに来いよ。一緒に写ろうぜ」

瑞貴 「すみませーん。今、スズメたちとお喋りしてるんで」

海司 「スズメなんて放っておけよ」

瑞貴 「いえ、今いいところですから。先に撮っててください」

憲太 「じゃあ、いきますよー」

パシャッ!

憲太 「あとは公安のお二人ですね」

桂木 「石神達なら、たしかその辺に・・・」

石神 「呼びましたか?」

桂木 「ああ、ちょうどよかった。△△さんが、君たちと写真を撮りたいそうだ」

石神 「私達とですか?遠慮しておきますよ」

後藤 「オレも、写真はあまり得意では・・・」

パシャッ!

後藤 「真壁!」

憲太 「すみません、すみません!」

海司 「おい・・・オレの後ろに隠れるなよ!」

憲太 「だって・・・」

主人公「あの・・・怒らないであげてください。私がみんなと写真を撮りたいってお願いしたんです」

後藤 「そういうことなら仕方ないが・・・」

石神 「あなたが、今日の主役ですからね」

海司 「あと○○と一緒に撮ってないのは・・・瑞貴だけだよな?」

主人公「うん」

海司 「瑞貴ー、スズメとのおしゃべり、終わったか?」

瑞貴 「まだでーす」

海司 「しょうがねーな。もうこっちから瑞貴んとこ行こうぜ」

主人公「そうだね」

海司 「瑞貴、一緒に写ろうぜ」

瑞貴 「いえ、僕は・・・」

海司 「あとはお前だけなんだってよ、○○と一緒に写ってないの」

瑞貴 「・・・そうなんですか?」

海司 「ああ。他の連中とは撮ったんだろ、○○?」

主人公「うん。みどりや小杉先輩とは最初に撮ったし・・・昴さん、そらさん、海司・・・桂木さん・・・」

海司 「公安の二人とも、さっき撮ったよな?」

主人公「うん」

瑞貴 「なに言ってるんですか。肝心な人を忘れているでしょう」

海司 「肝心な人?」

瑞貴 「憲太、カメラ貸して」

憲太 「え?」

瑞貴 「憲太はまだ○○と写ってないよね?僕がシャッターを切るよ」

憲太 「え?」

憲太 「そ・・・そんな・・・」

瑞貴 「いいから。ほら、せっかくの機会なんだし・・・」

憲太 「み・・・瑞貴さん・・・っ」

海司 「だったら、オレがシャッターを切るよ。お前と真壁と○○で写れば・・・」

瑞貴 「あいにく僕は、記録より記憶を大事にする人間なんです」

(瑞貴・・・?)

瑞貴 「じゃあ、いくよー。『ウサギの耳の数はー』」

3人 「2!」

瑞貴 「ふふっ、いい感じに撮れてるよ。ほら」

憲太 「あ・・・ありがとうございます!僕、感激です!」

主人公「じゃあ、次は・・・」

瑞貴 「・・・そういえば、昴さんお手製のキッシュができあがってたよね。食べなくっちゃ」

主人公「・・・」

(気のせいじゃないよね。瑞貴、絶対に・・・)

海司 「写真嫌がってるよな、アイツ・・・」

主人公「海司もそう思う?」

海司 「ああ。ったく・・・アイツ・・・まだ芸能人だったころの事、引きずってんのかな」

主人公「??どういうこと?」

海司 「いや・・・前にちらっと行ってたんだよな。写真が苦手だって」

主人公「そうなの?アイドルだったのに?」

海司 「だからだよ。アイツ、アイドル時代によく隠し撮りされてたらしいから、今でもレンズを向けられることにすごい敏感なんだよな。おまけに、写真を撮るとき、アイドル時代のくせで、つい作り笑いしてしまうって・・・そういうの・・・まだ気にしてんのかな・・・」

海司最後の呟きが、やけに私の心に響いた。




つづく---