以下ネタバレです










昔からそうだったけど、はっきり言ってオレは女が苦手だ。

(すぐ泣くし、すぐ怒るし、お喋りだし、うるさい。それに・・・)

女性 「えー、いつになったら自由に買い物できるんですかぁ?」

そら 「ごめんなさーい。誘拐予告を出した犯人が捕まったらかなぁ。ね、秋月さん」

海司 「はい、まぁ・・・」

(・・・つーか・・・香水キツすぎ・・・)

(まさか、任務中に香水酔いするなんて・・・)

女性 「えー、でも早く捕まえてくれないと、バーゲンに行けなくなっちゃうんですけどぉ」

そら 「えー?どこのバーゲンですか?四越、北武デパート?」

女性 「なに言ってんですか、パリに決まってるじゃないですかぁ」

そら 「パ・・・パリですかぁ・・・・」

(パリでバーゲン?なんだそりゃ)

(それより、もっと現実見てくれよ・・・命狙われてんのに・・・)

女性 「そう言えば秋月さんって、柔道で有名なあの秋月さんですよねぇ?」

海司 「え?」

海司 「・・・はい、まあ」

女性 「すごーいすてきーカッコいいー。良かったら、今度合コンしませんかー?」

海司 「・・・」

繰り返すが、昔からオレは女が苦手だ。

ただ一人・・・アイツをのぞいては・・・


そら 「あー、疲れたー。ただいま戻りました」

桂木 「おつかれさん。どうだった?」

そら 「やー、なんかすごいパワフルなマルタイでした。とても40代前半には見えなかったっすね」

桂木 「そうか・・・海司もご苦労だったな。久しぶりに他班との仕事で疲れただろう」

海司 「いえ・・・」

そら 「海司は、他班との仕事ってより、マルタイに対して疲れてたよな」

海司 「ええ・・・まぁ・・・」

昴  「おい、大丈夫か?顔色悪いぞ」

海司 「大丈夫っす。香水の匂いに酔っただけっすから」

(あー、やっぱ無理・・・アイツ以外の女は、どうも苦手・・・)

バタン!

瑞貴 「石神さん達と連絡取れましたよ。来週月曜日なら空いているそうです」

桂木 「月曜だな。分かった」

昴  「じゃあ、真壁や小杉たちも加えて、まずはミーティングですね」

海司 「・・・ミーティング?」

そら 「なんだよ、忘れたのかよ。○○ちゃんの誕生日、再来週だろ?」

海司 「あ・・・」

(そうだ・・・プレゼント、まだ決めてなかった・・・)

(やべーな・・・・どうしよう・・・)


海司 「中学1年・・・中学2年・・・。・・・すげーな。こんなに会ってなかったんだ・・・アイツと・・・」

これまで祝えなかったぶんの誕生日プレゼントを渡したい・・・・

そう思いついたまでは良かったんだけど・・・

海司 「最初のプレゼントは、シッフィーのぬいぐるみにするとして・・・あとは、どうすればいいんだ?」

(中学生の頃の○○って、何を欲しがってたんだ?高校生の頃は?)

(ダメだ、全然思いつかねぇ)

バタン!

3人 「海司ー!」

海司 「出た・・・」

桃子 「なに悩んでるの?恋の悩み?」

桜子 「仕事の悩み?」

撫子 「身体の悩み?」

3人 「きゃー!青春ねー!!」

海司 「もう青春って年じゃねーよ」

海司 「なんだよ。用がないならあっちに・・・」

(・・・いや、待てよ。コイツらも、これでも一応女・・・)

海司 「なぁ、質問なんだけど・・・中学や高校んときに、姉貴たちが欲しかったものって何?」

3人 「私達の欲しいもの?」

桃子 「そんなの決まってるわ!男よ!」

桜子 「男よね?」

撫子 「素敵な男だわ」

海司 「いや・・・今じゃなくてさ、中学や高校時代の・・・」

桃子 「それなら、恋よ」

桜子 「恋だわ」

撫子 「燃えるような恋よ」

3人 「きゃー!!」

海司 「・・・わかった、もういい」

(ダメだ・・・やっぱ、女って謎・・・)

(昔のアイツが何を欲しかったなんて・・・さっぱりわかんねーよ)


そら 「え?中学生や高校生の女子が欲しがるもの?」

瑞貴 「やだなぁ、海司さん・・・浮気ですか?」

昴  「まさかとは思うが、中高生に手を出したら東京都の条例に引っかかるぞ?」

海司 「そんな気持ちの悪いこと言わないでくださいよ。○○以外の女に興味はないっすよ」

瑞貴 「じゃあ、どうして知りたいんですか?」

海司 「それは・・・」

海司 「まぁ、ただのリサーチっつーか・・・」

そら 「中学生くらいのコなら、とりあえず化粧品じゃね?」

海司 「化粧品?なんでまた・・・」

そら 「そーゆーのに憧れるお年頃じゃん。マニキュアとかリップグロスとか。オレ、施設のガキんちょたちに、よくねだられるもん」

海司 「そうなんすか・・・」

昴 「オレは、フリルやリボンのついた小物だと思うけどな」

海司 「フ・・・フリル?」

昴  「ただし、ごちゃごちゃしていないものだ。あくまで品が大事だな」

海司 「はぁ・・・」

瑞貴 「僕は、ウサギの耳なんていいと思いますけど」

全員 「はっ!?」

そら 「ウサギの耳って、あの?バニーガールがつけてるみたいな?」

海司 「んなの、どこで使うんだよ?」

瑞貴 「文化祭ですかね。あと、クリスマスパーティとか・・・」

そら 「なんだそれ。お前の卒業した学校、どうなってんだよ・・・」

瑞貴 「どうって、学校にはあまり行ってないからよくわからないですけど・・・学園モノのドラマに出た時は、なんかそんな感じでしたよ?」

桂木 「何やってるんだ、お前ら。そんなところで固まって」

そら 「海司の悩み相談でーす」

瑞貴 「海司さんが、中高生の女子が欲しがるものを知りたいそうです」

桂木 「中高生・・・?」

昴  「班長はどんなものだと思いますか?」

桂木 「そうだな・・・中高生だと・・・単語帳とかじゃないのかな」

全員 「・・・」


数日後・・・

海司 「はぁ・・・」

(とりあえず、過去の分のプレゼントはひととおり揃えた)

(単語帳以外は、どれも買うのが恥ずかしかったけど・・・)

海司 「あとは、今年のプレゼントだよな」

(アイツ、何が欲しいんだろう。何をプレゼントしたら、喜んでくれるんだろう)

海司 「はぁぁぁぁぁ・・・・」

(ダメだ・・・なにも思いつかない・・・)

(なんでオレ・・・こんなに女心に疎いんだろう)

昴  「海司?なにやってるんだ、こんなところで」

海司 「いえ、その・・・ちょっと休憩しようかと思って・・・・」

(そういえば昴さんって、女にすっげーモテるよな・・・)

(こういう人なら、女心もちゃんと察したりできるんだろうな)

昴  「そういえばお前、プレゼントはもう用意したのか?」

海司 「え?」

昴  「『え?』じゃないだろ。○○の誕生日のだよ」

海司 「いえ・・・それが、まだ考え中で・・・昴さんは、もう決まってるんっすか?」

昴  「だいたいな。パーティ仕様の小物にしようと思ってる」

海司 「パーティ・・・」

昴  「最近、アイツも総理の付き添いでパーティに出ることが多いだろう。でも、そのわりに小物は揃っていないようだからな」

海司 「・・・」

海司 「・・・なんか、すごいっすね、昴さん」

昴  「は?」

海司 「アイツが喜びそうなもの・・・すぐに思いつくなんて。オレなんて、ずっと考えてるのにさっぱり思いつかなくて・・・」

(あー、やべ・・・なに泣き言言ってんだろう・・・オレ・・・)

(なんか情けなくて、すげーヘコんできた・・)

昴  「・・・なんだ、本当にわからないのか?」

海司 「え?」

昴  「○○が喜びそうなものだろう?そんなの簡単だ、知りたいか?」

海司 「・・・はい」

昴  「お前がくれたもの全般だよ、海司」

海司 「・・・え?」

昴  「高価だとか、めずらしいものだとか、そんなのは関係ない・・・お前がくれたものなら、大抵は喜ぶだろう?そういう女だからな、○○は・・・」

海司 「昴さん・・・」

(そういえばアイツ・・・何か贈るといつも喜んでくれるよな)

(たまに文句もつけられるけど・・・最後には必ず「ありがとう」って・・・)

昴  「ま、オレがお前だったら、髪飾りにするかな」

海司 「髪飾り?」

昴  「ああ。パーティにつかえて便利だろう。自分でも作れるし」

海司 「マジっすか?それ、どうすれば・・・・」

昴  「知り合いがハンドメイド教室をやってるから、あとで連絡先を教えてやるよ」

海司 「あざっす!」

しつこいようだけど、オレは女心がよく分からない。

そして・・・

昔から、女が大の苦手だ・・・

先生 「はい、説明は以上です。皆さん、始めてください」

憲太 「か・・・海司さん・・・参加者全員、女性ですよ。男性で出席しているのは、僕らだけですよ」

海司 「分かったるよ・・・んなことは」

(と、真壁の手前、言ってみたけれど・・・)

(やばい・・・オレ達、完全に浮いてる・・・)

(そうだよな・・・ハンドメイド教室に参加する男なんて、聞いた事ねーよ)

憲太 「と・・・とりあえず頑張りましょう!まずは、カタログを見ながらデザインを決めるんでしたよね」

海司 「おう!」

パラパラパラ・・・

(・・・なんだよ、これ。本当にこんなの作れるのかよ?)

(しかも、○○が好きそうなのがどんなのか全然わかんねーっつーか・・・)

先生 「秋月さんと真壁さんでしたね」

憲太 「はいっ!」

先生 「はじめまして。一柳さんから話は伺っています。秋月さんは、プレゼント用の髪留めを作りたいんでしたよね?」

海司 「そうなんすけど・・・どれがいいのか、さっぱりわからなくて・・・)

先生 「そうですか。では、このカタログのなかで、秋月さんはどれがお相手の方に似合いそうだと思われますか?」

海司 「この中なら・・・これっすね」

憲太 「うわぁ、凝ったデザイン・・・でも、確かに○○さんに似合いそうですよね」

先生 「では、これにしましょう」

海司 「え?無理っすよ、こんな難しそうなの!」

先生 「大丈夫ですよ。時間はかかるかもしれませんが、丁寧に作れば必ず完成します。それに、多少不格好になったとしても、秋月さんの真剣な気持ちは伝わりますよ。秋月さんが、相手の事を想って作れば、それは自然と形になります」

海司 「そうっすか・・・」

(アイツの事を想って作る・・・それくらいなら、オレにもできるかもしれない)

先生 「では、はじめましょうか」

海司 「よろしくお願いします」

○○の笑顔を思い浮かべながら、オレは最初の金具を手に取った。





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