以下ネタバレです
主人公「みんなのこと、本当はすごく気になってるんでしょ?」
私の問いかけに、海司は、困ったような顔つきになる。
でも・・・
主人公「ね、行って来たら?お仕事」
海司 「なに言ってんだよ、そんなことしたら、お前が一人になるだろ。せっかくの誕生日なのに」
主人公「・・・ありがとう。でもいいよ、気にしないで。海司が帰ってくるの、待ってるから」
海司 「○○・・・」
主人公「一緒に過ごせるのは嬉しいけど、海司が無理してるのはいやだもん。私の方は平気。こんなに素敵なホテルだもん、一人でもきっと楽しく過ごせるよ。だから・・・ね?行っておいでよ」
私の言葉に、海司は困った顔つきのままうつむく。でも・・・
海司 「悪い。できるだけ早く帰ってくるから」
主人公「うん」
海司 「絶対絶対、今晩中に帰ってくる。約束するから」
主人公「わかった。じゃあ、指切り」
海司 「・・・おう」
子供の頃のように指切りをかわして、私は海司を見送る。
海司 「じゃあ、いってくる」
主人公「いってらっしゃい。気をつけてね」
バタン・・・
主人公「さて・・・と」
(海司も仕事に行っちゃったし、どうしようかな)
(せっかくだから、のんびりお風呂にでもはいろうかな・・)
♪~
(え?みどりから?)
主人公「みどり?どうしたの?」
みどり『聞いたよー。○○、今一人なんだって?』
主人公「そうだけど、どうして・・・・」
みどり『さっき、海司さんから真壁さんに連絡があったの。○○が一人でホテルにいるから、まだ飲んでるなら声かけてやってくれって』
(海司・・・わざわざ連絡してくれたんだ・・・)
みどり『一人でいても退屈でしょ。出ておいでよ。近くのお店にいるから』
主人公「うん、分かった」
みどり「そっかぁ・・・海司さん、結局お仕事に行っちゃったんだね」
憲太 「さすがです!海司さんはSPの鏡です!僕も、いつかは海司さんのような頼れるSPに・・・」
みどり「え?」
みどり「でも、真壁さん、ついさっきまで『僕もいつかはそらさんのような女装SPに・・・』って言ってたよね?」
憲太 「え?」
憲太 「あ・・・あれはその・・・」
みどり『その前は、たしか『瑞貴さんのような歌って踊れるSPに・・・』って・・・」
憲太 「そ、それももちろん目標ですが・・・」
小杉 「ぐふふ・・・いずれにせよ、目標となる先輩がいるというのは素晴らしいことだわ」
みどり「たしかに、○○のまわりのSPさんって、普段は気さくだけど、仕事モードになるとキリッとして『仕事できそう』ってかんじだもんね」
憲太 「そうなんです!だから僕も、桂木班の皆さんみたいになるのが夢なんです」
みどり「でも、こんなふうにいきなりプレイべーとの時間が仕事になっちゃうのは大変そう・・・」
憲太 「そうなんですよね。そらさん、それで何度か女性にフラれたって言ってました」
みどり「○○は?寂しくない?」
主人公「全然。・・・・って言ったら嘘になるけど・・・仕方ないかな。こういう仕事だし」
小杉 「つまり、割り切ってるって事かしら」
主人公「私・・・仕事してる時の海司も好きなんです。真面目で頼りがいがあって・・・何度か警護してもらってますけど、その度に『海司になら命を預けられる』って思うんです」
みどり「○○・・・」
小杉 「ぐふふ・・・『愛』ね、『愛』!」
憲太 「○○さん・・・僕、感動しました・・・!やっぱり僕、目指すなら海司さんみたいなSPを目指します!○○さんに命を預けてもらえるようなSPに・・・」
主人公「真壁さん・・・」
店員 「お待たせしました、生ビール4つです」
小杉 「では、改めて海司バトラーの無事を祈って乾杯しましょう」
小杉 「乾杯」
3人 「かんぱーい!!」
(海司・・・桂木班のみんなと合流できたかな・・・)
(今頃お仕事頑張ってるかな・・・)
みどりたちは終電で帰り、私は再びホテルに戻ってきた。
でも・・・
主人公「やっぱり、まだ帰ってきてないよね・・」
ふかふかのベッドに、再び大の字になって横たわる。
主人公「ふぅ・・・」
(何時くらいに帰ってくるのかな。できれば待っていたいけど・・・)
主人公「どうしよう・・・ちょっと、眠い・・・かも・・・」
主人公「う・・・ん・・・・・」
(ん?なんか肩が重たい・・・・どうして・・・)
(え?海司!?)
いつの間にか隣で、海司が眠っている。
私を抱きしめるようにして、かすかな寝息を立てて・・・
主人公「海司・・・」
(すごく疲れてるんだろうな・・・)
(そうだよね。普段のお仕事が終わった後に、またお仕事だったんだもん・・・)
主人公「・・・ん?」
(なんだろう、この大きな袋・・・眠る前まではなかったよね?)
(海司が持ってきたのかな。何が入ってるのかな)
海司 「う・・・ん・・・・」
主人公「ごめん。起こしちゃった?」
海司 「いや・・・悪い、寝るつもりじゃなかんただけど・・・お前の寝顔見てたら、なんかホッとして・・・」
主人公「いいよ。私の方こそ、先に眠っちゃってたし」
主人公「それより、これ・・・どうしたの?」
海司 「ああ、うん・・・実は、サプライズっつーかさ・・・とりあえず、手出せよ」
主人公「??うん・・・」
私が手を差し出すと、海司は袋の中からぬいぐるみを取り出して乗せる。
海司 「まずは、これ」
主人公「・・・シッフィーちゃんのぬいぐるみ?」
海司 「小学生の頃、お前・・・欲しがっていただろ?」
主人公「うん」
海司 「だから、プレゼント。あの頃のお前に。渡しそびれたから」
主人公「!」
海司 「で、次がコレ。料理本。あの頃のおまえ・・・料理が好きで、たしか『調理クラブ』に入りたいって言ってただろ?」
主人公「うん・・・」
その後も、海司は一つ一つプレゼントを取り出しては、私の手に乗せてくれる。
海司 「これが中2の時のおまえに」
主人公「マニキュア・・・?可愛い・・・ベビーピンクなんだ・・・」
海司 「で、こっちが中3」
主人公「ブックカバー?・・・・なんかフリルがすごいけど」
海司 「これが高1」
主人公「・・・え?ウサギの耳?」
海司 「これが高校2年」
主人公「・・・単語帳と暗記ペン?」
一つ一つ増えていく、海司から私への贈り物。
そして・・・
海司 「これが、今年のプレゼント」
ポンと手の平に乗せられたもの、それは・・・
主人公「髪留め・・・?」
海司 「気に入ってくれると嬉しいんだけど・・・」
主人公「可愛い・・・」
海司 「そうか?」
主人公「うん。どうしたの、これ。自分で選んだの?」
海司 「選んだっつーか・・・作ったっつーっか・・・」
主人公「え、これを?海司が?」
海司 「お・・・おかしいかよ!?」
主人公「ううん、そんなことはないよ。ただ、ちょっと意外だったから・・・でも、そういえば海司・・・工作とか得意だったもんね」
海司 「おう・・・」
主人公「ありがとう。この髪留め、大切にするね。もちろん、他のプレゼントも」
海司 「・・・おう」
主人公「でも、びっくりしちゃった。まさか1日で、こんなにたくさんのプレゼント、もらえるなんて思ってなかったから・・・」
海司 「いいだろ。会えなかったぶんまで祝いたかったんだよ」
主人公「え?」
海司 「中学ん時も高校ん時も・・・本当はリアルタイムで渡せれば良かったんだけどよ」
主人公「海司・・・」
(そんな風に思ってくれてたんだ・・・)
主人公「・・・私も、海司の誕生日の時、今までの分のプレゼントを用意しようかな」
海司 「え?いや、いいって別に」
主人公「でも、私も海司にプレゼント贈りたいもん」
海司 「いや、ホントにいいって。だいたい、今までお前からもらったプレゼント、どれも全部微妙だったし」
主人公「え?そうだった?」
海司 「たとえば、4年の時にもらったセミの抜け殻とか・・・」
主人公「アレは・・・・!当時海司がよくセミ取りしてたから、セミが好きなのかなって思ったからで・・・」
海司 「だからって、抜け殻はねーだろ・・・せめてセミをくれよ・・・」
主人公「そ、そうだけど・・・!でも、そういう海司だって、私の誕生日に『キン魚マン』の消しゴムくれたじゃない」
海司 「バカ!アレは当時のオレの宝物だったんだぞ?」
主人公「でも、女の子に『キン魚マン』消しゴムって、ふつうあげないよ?」
海司 「そりゃ、まぁ、そうだけどよ・・・」
主人公「・・・」
海司 「・・・」
主人公「ふふっ」
海司 「なんだよ、また笑ったりして」
主人公「だって・・・思い出しちゃった。あの頃もこんな風に言い合ったよね」
海司 「たしかにな」
懐かしい思い出。
もう二度とあんな風に言い合うこともないと思ってたけど・・・
主人公「良かった。また海司と会うことが出来て」
海司 「オレも・・またこうしてお前の誕生日を祝うことが出来て、良かったと思ってる」
主人公「うん・・・」
海司 「でも、本当に・・・オレには、これまでのプレゼントとかいらないから」
主人公「そんな・・・私だってこれまでの分のお祝いをしたいし、お礼だって・・・」
海司 「いいって。どうせお礼くれるなら、キ・・・」
主人公「き・・・?」
海司 「・・・いや、やっぱなんでもない」
主人公「ええっ?」
海司 「いや、ホント、なんでもないから!お礼とかいらねーから!」
主人公「・・・」
(そんなこと言われても・・・なんとなく、何を言いたのかわかっちゃったんだけど・・・)
主人公「目閉じて。海司」
海司 「は!?」
主人公「いいから。目閉じて」
海司 「お・・・おう・・・」
海司は、ぎゅっと目を閉じる。
(なんか、子供みたい・・・)
少し微笑ましい気持ちになるながら、そっと唇を近づける。
たくさんの「ありがとう」の想いをこめて・・・
主人公「それにしても、このプレゼント・・・持って来るの、大変だったでしょ?」
海司 「そうか?どうってことないだろ、このくらい」
主人公「でも、この袋いっぱいに入って・・・」
(・・・あれ?)
主人公「ねぇ、袋の中にまだ何か入ってるんだけど・・・」
海司 「え?」
海司 「・・・ああ、忘れてた。それ、姉貴たちからだよ」
主人公「え?お姉さんたち?」
海司 「ああ。お前だけじゃなくて、オレも喜びそうなのを選んだって言ってたけど」
主人公「そうなんだ?なんだろう・・・」
さっそく、包みを開けてみる。中から出てきたのは・・・
主人公「・・・お風呂セット?」
海司 「ホントだ。すげーな、入浴剤にタオルにシャンプーに・・・」
主人公「・・・ねぇ、これ・・・タオルが二つ入ってるんだけど」
海司 「へ?」
主人公「『彼とラブラブお風呂セット』・・・」
海司 「ええっ!?」
主人公「海司・・・」
海司 「そ、そんな冷ややかな目で見るなよ」
主人公「そんなつもりはないけど・・・ちょっと意外・・・海司、普段は全然そんな態度見せないから・・・」
海司 「ご、誤解だって!べつに、そんな・・・おまえと一緒に風呂なんて考えてないって!」
主人公「でも、ちょっと楽しそう・・・」
海司 「へ・・・っ?」
主人公「だって、温泉にでも行かない限り、なかなかないじゃない、そんな機会」
海司 「・・・マジで?」
主人公「・・・じゃあ、どうする?」
海司 「オレに聞かれても・・・・」
主人公「だよね・・・」
海司 「・・・・」
主人公「・・・」
主人公「・・・ね、せっかくだから一緒に入ってみない?」
海司 「・・・え?マジで?」
主人公「ねー、海司・・・気持ちはわかるけど、いい加減入ってこない?私、のぼせちゃうよ」
海司 「む・・・無理言うなよっ、そんな・・・」
主人公「前にも一緒に温泉入ったじゃない・・・」
海司 「あの時は水着着てただろ?」
主人公「大丈夫だよ。今日はタオル巻いてるから、ね?」
海司 「・・・本当か?」
主人公「本当だってば。だから、おいでよ」
海司 「・・・そこまで言うなら」
バタン・・・
海司 「あ、ホントだ」
主人公「海司・・・ホッとしすぎ・・・」
海司 「お前が意識しなさすぎなんだよ、ったく」
主人公「そんなことないよ。海司に『一緒に入ろう』っていうの・・・結構勇気いったもん」
海司 「○○・・・」
海司の手が伸びてきて、私の額の汗をぬぐう。
海司 「悪かったな・・・待たせて」
主人公「ん・・・」
海司 「あと、その・・・改めて言うのも何だけど・・・」
海司 「誕生日おめでとう、○○」
主人公「ありがとう。また来年もお祝いしてくれる?」
海司 「おう」
主人公「プレゼントも用意してくれる?」
海司 「おう」
主人公「じゃあ、一緒のお風呂は?」
海司 「おう・・・って、ええええっ!?」
主人公「ふふっ」
海司 「お前・・・絶対からかってるだろ!」
主人公「だって、海司・・・可愛いから」
海司 「なにが『可愛い』だよ、ったく」
ふいにグッと腕を引かれると、そのまま唇に噛みつかれる。
主人公「ちょ・・・ん・・・っ」
いつもより少し荒っぽいキス・・・息があがりそうなところで、ようやく唇を離してくれる。
海司 「撤回しろよ、『可愛い』って言ったの」
主人公「・・・撤回しなかったら?」
海司 「もう一回キスする」
主人公「え・・・っ」
海司 「バ・・・バカ・・・っ、そんな迷うなよ。さっさと撤回すればいいだろ」
主人公「だって・・・」
海司 「『だって』じゃねーよ。なんだよ、あおってんのかよ」
主人公「別に、そんなつもりは・・・」
主人公「ん・・っ」
言いかけた言葉は、やっぱり海司の唇に飲み込まれて・・・
(どうしよう・・・なんだかのぼせそう・・・)
そう思いながらも、私はそっと目を閉じた。
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仕事に誇りとプライドを持ってるから余計にかっこよく見えちゃった。
で、一生懸命プレゼントを選んで購入してる姿とか想像したら微笑ましい(‐^▽^‐)