以下ネタバレです





編集長が見せてくれた週刊誌を見て、私は息を呑む。

問題の見出しには、こう書かれていた。

『純愛ベストセラー作家廣瀬遼一、次作は問題作の予感!?』

記事の内容を流し読みする。

次回作のテーマは『障がい者』。難しいテーマだけに物議を醸しだしそうだと書かれてあった。

主人公「これって・・・」

編集長「今時、このテーマが難しいとは思わないがな。もっとデリケートな題材を扱っている作品は山ほどある」

主人公「編集長・・・」

編集長「オレはこの記事の取り上げ方の方こそ幼稚だと思うがね。オレの意見であって世間の意見なワケじゃないが」

  編集長 (゚ーÅ)

  そう言ってもらえると少し気が楽になります

主人公「・・・廣瀬先生に、連絡入れてみます」

編集長「ああ」


廊下に出て遼一さんに電話を入れてみるがつながらない。

さっきランチをしたときにはすでに、このことを遼一さんは知っていたのだろうか?

知っていたとしても、知らなかったとしても、こんなふうに雑誌で取り上げられて、動揺しないはずはない。

とりあえずメールを打とうとしたとき、遼一さんから着信があった。

主人公「もしもし」

遼一 『なんだよ、もうオレが恋しくなったのか?』

  ええ・・・まぁ・・・(///∇//)

遼一さんはいつもの調子でからかうように言う。

主人公「えっ・・・あ、あの、週刊誌に」

遼一 『あー・・・見たのか』

(このリアクションって・・・遼一さん、知ってたの?)

主人公「今夜、ちょっと会えませんか?」

遼一 『・・・お前、病み上がりの人間のくせに何を言ってるんだ』

主人公「いえ、もうホンット自分でも驚くくらい元気ですから!」

遼一 『まあお前のことだから、ここで止めても来るんだろ』

主人公「・・・はい」

遼一 『じゃあ、仕事が終わったらカジノに来いよ』

主人公「わかりました」

遼一 『くれぐれも無理はしないように』

主人公「はい!」

遼一 『はぁ・・・病み上がりのくせに。無理の意味をホントにわかってるのか?』

主人公「大丈夫です。ちゃんと、無理しないようにしますから」

遼一 『おー。じゃあ、また後でな』


仕事を今までになく集中して終わらせ、私はパソコンの電源を落とした。

編集部内を見回すと、まだほとんどの人が残っていた。

編集長がいつものように、編集部内に置かれたテレビでニュース番組を見ていた。

編集長「・・・・あ。△△!」

名前を呼ばれ、私はびくりと体を震わせる。

(編集長、今夜だけは仕事を振らないでください・・・!)

ドキドキしながら編集長の元へ行くと、テレビに遼一さんの写真が写っている。

コメンテーターがどこか勝ち誇ったような表情でいう。

コメンテーター『廣瀬さんが、実は女癖が悪いっていうのは、業界では有名な話ですよね』

主人公「えっ、遼一さんはそんな人じゃないですよ!?」

編集長「ああ。そうだな」

ニュースキャスター『そんな人が、障がい者の純愛小説を書くっていうのは・・・・どうなんでしょうねぇ』

コメンテーター『偽善者のやり方ですなぁ。どんな内容の話になるかはわかりませんが、どうにも騙されているような気分ですよ』

知った口ぶりで話すコメンテーターも、頷くばかりのニュースキャスターも、見ていて腹が立って仕方ない。

私は拳を握りしめながら言った。

主人公「私、このコメンテーターが目の前にいたら本気で怒っちゃいそうです」

  いっそのこと殴っちゃえ!! ヾ(。`Д´。)ノ 許すっ!!

編集長「オレもだ。しかもこのコメンテーター、業界人じゃねーし」

主人公「りょう・・・廣瀬先生は、こんな人じゃありません」

編集長「わかってるよ。それに、オレも廣瀬先生の本は好きだからな」

編集長「・・・廣瀬先生、大丈夫そうか?」

主人公「さっき電話した時は、大丈夫そうでしたけど」

(でも、遼一さんは素直に弱いところを見せるようなタイプじゃない。実際あってみないと分からないよね)

編集長「今から会うのか?」

主人公「・・・はい」

編集長「ま、気張らずしっかりやって来いよ」

主人公「ありがとうございます」

私と同じように、遼一さんのニュースを怒ってくれる人がいる。

それがなんだか心強かった。


ようやくカジノのVIPルームに着くと、いつものメンバーに囲まれている遼一さんを見つける。

遼一さんに促されて、彼の横に座ると、彼の様子をうかがう。

遼一 「何?キスでもして欲しいのか」

主人公「えっ!?」

遼一 「オレの顔をまじまじと見つめてくるなんて、キスのおねだりにしか見えないんですけど」

そう言うと、遼一さんはどんどん顔を近づけてくる。

主人公「りょ、遼一さん!」

未来 「ちょっと~!遼くんってば、僕達が居るの忘れてない!?」

千早 「遼一は、本当に見境がないね」

  そこが魅力だったりもします(〃∇〃)

遼一 「ハハッ!そうだったな。悪い悪い」

マスコミの件を皐月さんに振ってもらうと、遼一さんはいつものように「大丈夫」だという。

ふと遼一さんの横顔を見ると、顔は笑っているのに目は笑っていないことにきづく。

(・・・やっぱり、ちゃんと話してみよう)

私は彼の手をとって立ち上がると、遼一さんをプールへと誘った。


誰もいないプールサイドは、ほんのりライトアップされて幻想的な雰囲気。

カジノから流れてくる騒がしい音が、どこか別世界の音のように感じられる。

遼一 「・・・なんだよ」

主人公「・・・・え?」

遼一 「こんなとこに呼び出して。オレから何を聞き出したいんだ?慰めとか同情とか、そういうのはいらないぜ?」

(遼一さん・・・・)

私達は、プールサイドに並んで座った。

遼一さんが私の指に自分の指を絡ませて、強く握りしめる。

遼一 「あの程度は覚悟してたんだが、やっぱり実際言われると結構こたえるもんだな。今オレが何か言ったところで、マスコミの餌食にされるだけだからなー。作品で取り返すしかない。今は、目の前の仕事に集中するしかないよな」

私は返事をする代わりに遼一さんの手を強く握りしめる。

遼一 「・・・ありがとうな」

遼一さんは、ぽつりと言った。

その声がなんだか震えているような気がして、私は泣いてしまいそうだった。

(なんだか、イジメみたい・・・)

あのコメンテーターのことも、あの記事を書いた誰かのことも、私は心の底から怒っていた。

(どうして、こんなヒドイこと出来るんだろう)

私は、遼一さんを抱きしめる。

遼一さんは、私にされるがままになっていた。

いつもと違う遼一さんの態度が、本当に悲しくて、切なくて・・・。

彼のことを守りたいと思った。


翌朝、私は着替えるために一旦家に戻ると、テレビを見ていた風子が驚いたような表情で私を見つめる。

テレビでは、遼一さんのマンションの前にマスコミが集まっている映像が流れていた。

主人公「こ、これ・・・?」

風子 「なんか、廣瀬先生が乱交パーティ行ってるとか・・・・業界の噂をたっぷり取り上げて、次回作のバッシングしてるみたい」

  嘘の情報流さないでよっ!

  実情を知らない人たちは信じちゃうでしょ? ←いつも信じちゃうのよ、私(^^ゞ

ショックのあまりしばらく放心していたけれど、ハッと気づく。

(そ、そうだ!遼一さん、きっとマンションに向かってるところだ。知らせないと!)

私は急いで遼一さんの携帯を鳴らす。

遼一 『ああ、○○。どうした?』

主人公「もう家に戻っちゃいましたか?」

遼一 『いや。マスコミすげーなー。今、カジノに引き返してるところだ』

主人公「遼一さん・・・」

ほっと胸をなでおろしていると、遼一さんがぽつりと言った。

遼一 『なあ、○○』

主人公「・・はい・・・?」

遼一 『オレは、何のために書いてるんだろうな』

一瞬、言葉に詰まる。

(遼一さんがこんな事言うなんて・・・)

遼一 『・・・・なんてなー。ま、皐月さんのトコにでも避難させてもらうから心配しないように』

主人公「は、はい・・・・」

遼一 『じゃあまたな』

遼一さんの通話が切れる。

(さっきの言葉、遼一さんはごまかしたけど・・・本音だったよね)

私は携帯電話を握りしめ、テレビを睨みつける。

テレビではナレーターが遼一さんのデタラメな噂を得意気な顔で話している。

(私、遼一さんを守りたい。どうすれば守れるか、考えなくちゃ・・・)








選択肢

・他の人に助けを求める

・何も言わなくていい





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あー、今すぐに遼一のこと抱きしめたい。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

何もしてあげられないことがもどかしい・・・


カジノまでマスコミに囲まれていないことを祈ります。