以下ネタバレです







翌朝---

おばぁは今日も元気に手際よく朝食を並べてくれる。

私達は朝食に舌鼓を打つ。

沖縄時間とはよく言うけれど、東京とは違って、ここでは本当に時間は流れの一つでしかない。

(何かに急かされることなく、ゆっくり過ごせるのっていいな)

主人公「今日はどうしようか。観光にでも行く?」

ノエル「オレ、行きたい場所がある」

主人公「行きたい場所?」

ノエル「うん。○○を連れて行きたい。ここからも割と近いよ」

  私も行きたーい≧(´▽`)≦

主人公「本当?なんか楽しみだな」

ノエル「ん」

おばぁ「だったら、おばぁの自転車使いなさいねぇ」

主人公「え、良いんですか?」

おばぁ「無料で貸し出してるさぁ」

ノエル「ありがとう」

おばぁ「ハイハイ!好きなだけ乗りなさいねぇ」

(ノエルってばいつの間にかおばぁと打ち解けてる。人見知りなノエルが珍しいな)


主人公「きゃーっ!!」

主人公「ノエル、自転車速い!速いよ!」

ノエル「そう?」

私の悲鳴が面白いのか、ちょっと笑い声まじりにそう言ってからノエルはゆっくりとスピードを落とす。

ノエルの身体にぎゅっと捕まったまま、私はやっと息をついた。

主人公「もう、ママチャリなのにスピード出し過ぎだよ、ノエル」

ノエル「ごめん。○○が抱きついて来るの、楽しくて」

  (〃∇〃)

主人公「えっ」

ノエル「あんまり自分からそういうことしないし」

主人公「笑顔でその台詞は反則だよ・・・」

ノエル「そう?」

主人公「でも、じゃあ、お言葉に甘えて抱きついちゃうよ・・・?」

ノエル「どうぞ、ウミナイビ」

主人公「ウミナイビ?」

ノエル「伝統的な女性用衣装のことだっておばぁが言ってた。語源は『お姫様』」

主人公「そ、そうなの?」

ノエル「じゃあ掴まってて」

ノエルの言葉を受けて、ぎゅっと腕に力を込める。

二人で歩いたり、車に乗ったりすることはあっても、一緒に自転車に乗るのは初めてだった。

密着した身体が、何だかいつもより身近で嬉しい。

主人公「ふふっ、楽しいね!もしも学生時代にノエルと出会ってたら、こんな風にしてたかな」

主人公「○○のいる学校生活とか、騒がしそう」

主人公「ええっ、なんか酷い言われよう」

ノエル「嘘だよ・・・きっと、楽しかっただろうな」

(ふ、不意打ち・・・本当に敵わないなあ・・・)

主人公「ねえ、ノエル。ところで連れて行きたい場所ってどこなの?」

(海なんだよね?民宿出る前に、服の下に水着着て来たけど・・・)

ノエル「もうすぐ・・・ほら、そこの浜辺」

主人公「あ・・・!」

自転車を止めて、浜辺に下りる。

夏の太陽をキラキラ反射させた海、浅瀬から沖にかけてのグラデーションは本当に綺麗。

主人公「凄い綺麗!人が全然いないし、貸切みたいだね」

ノエル「みたいっていうか、そうなんだけど」

主人公&私「えっ・・・

(まさか・・・)

主人公「まさかノエル。本当にここのビーチ貸し切っちゃったり・・・?」

ノエル「だって・・・・○○の水着姿とか他の男に見せたくないし」

主人公「・・・ありがとう、ノエル」

ノエル「別に。オレがしたくてしたことだから」

主人公「そうなの?」

ノエル「そうなの」

ノエル「○○の可愛いとこは、オレだけが見てればいい」

  きゃー!!ノエルのためにもっと可愛くならなきゃっ!

主人公「えっ!」

ノエル「○○、真っ赤だよ」

(そりゃ赤くもなるよ・・・)

主人公「でも意外だったな。ノエルの思わぬ独占欲、なんちゃって」

ノエル「思わぬ?・・・・・・・・・・わかってないみたいだから言うけど」

主人公「えっ」

ふっとノエルの顔が耳元に近付いた。

唐突な行動に固まっていると、囁くようなノエルの声が耳をくすぐる。

ノエル「オレ、結構強いよ。独占欲。だから覚悟して」

  ゴメン、ホントは気づいてた( ´艸`)

主人公「あっ、ちょ、ノエル・・・」

そう言いながらノエルは、あっという間に私の着ていた服を脱がしてしまった。

下に水着を着ているし、周りには誰もいないのだけど、何だか妙に恥ずかしい。

  私も・・(///∇//)

ノエル「それが新しい水着?」

主人公「うん、どう・・・?」

ノエル「・・・やっぱり、ビーチ貸切にして良かった。似合ってる。・・・可愛い、○○」

  その笑顔で言われちゃうと・・・もうっ!嬉しいっ!!

主人公「あ、ありがと。でも私ばっかりずるいな、ノエルも水着になってよ」

ノエル「オレにも脱げって?」

  もちろんっ!

ノエル「・・・○○ってたまに大胆だよね」

  手伝いましょうか?( ´艸`)

主人公「もう!そう言うんじゃないって、分かってるくせに」

視線をさまよわせていた私を見て、水着姿になったノエルが楽しそうに口元を緩めた。

ノエル「それじゃ泳ぐ前に、アレ塗ろうか」

主人公「アレ?」

ノエル「日焼けは肌の大敵、なんだろ」

  もちろんですともっ!

主人公「ま、まさか・・・」

ノエル「逃がさないから」

日焼け止めを持ったノエルがちょっといたずらっぽく笑って私の腕を掴む。

その笑顔に何故だか逆らえないものを感じ、私は体の力を抜いた。

主人公「くすぐったくしないでよ?」

ノエル「さあ、どうしようかな」

主人公「もう、ノエル!」


しばらく一緒に泳いだり、浜辺でまったりくつろいだ私達。

ひとしきり遊び終わってから、今度は借りてきた釣竿を持って磯釣りに挑戦していた。

・・・のだけど。

主人公「やった、また釣れた!見てノエル!これって熱帯魚みたいに綺麗だけど全部食べられるんだって」

ノエル「そう・・・」

主人公「ノエル・・・まさか、また駄目だったの?」

ノエル「・・・長靴、これで十足目なんだけど」

(本当に、何でこんなに長靴が釣れるんだろう・・・)

どう言うわけか、ノエルは先ほどから長靴ばかり釣っていた。

主人公「ある意味、才能がないと出来ないかもよ?」

  フォローになってないよ・・・・(^▽^;)

ノエル「・・・嬉しくない」

  だよね・・・σ(^_^;)

主人公「う、うーん・・・でも私でも釣れるから、ノエルだって次こそは・・・」

ノエル「そう言って挑戦して、全部長靴なんだけど」

主人公「うっ」

(確かにここまで連続すると、本人は笑えないか)

釣った魚は民宿へ持って行っておばぁに料理してもらうつもりだった私達。

私の方はたくさん釣れたのだけど、結局ノエルの成果は長靴のみだった。

(こんなにあからさまに機嫌の悪いノエルって久しぶりかも)

(出あった頃みたいな仏頂面・・・)

主人公「・・・おばぁのとこに、帰ろうか」

ノエル「うん・・・」


結局あの後もずっと、ノエルと気まずいまま。

民宿の部屋に着いてからの行動も何となくバラバラで、そのまま夕食の時間になってしまう。

主人公&ノエル「・・・」

おばぁ「ニイさん、ネエさん。おばぁの料理に、何かマズイところがあたかねぇ」

主人公「あっ、そんなことないです!凄くおいしいですよ!」

おばぁ「・・・」

(いけない、釣ってきた魚をおばぁが美味しく調理してたのに、やっぱりこのままじゃ良くないよね・・・)

主人公「あの、ノエル」

ノエル「・・・」

(駄目だ、やっぱりまだ怒ってるの・・・?)

おばぁ「・・・うッ・・・・!」

私達の険悪な空気を察していたのか、いつもより静かだったおばぁが、急に胸を押さえてうずくまる。

苦しそうに息をつまらせるおばぁに、私は思わず駆け寄った。

主人公「おばぁ!?おばぁ、しっかりして!」

ノエル「!?」

ノエル「意識はあるな・・・」

ノエル「胸が苦しいの?」

おばぁ「あ・・・ぁ・・・」

主人公「おばぁ大丈夫?私達の声、聞こえる!?」

おばぁ「・・・み、水・・・」

ノエル「水だな」

ノエル「○○、おばぁのこと見てて」

主人公「お願い、ノエル!私は救急車を呼ぶから」

おばぁ「・・・そんなもん、呼ばんで良いさぁ・・・」

主人公「だっておばぁ、苦しいんでしょ!駄目だよ無理したら!」

おばぁ「おばぁは年だから・・・たまにこうなるさ・・・」

主人公「おばぁ、何か持病があるの?」

おばぁ「・・・」

主人公「っ!?おばぁ、おばぁ!?」

ノエル「○○、水を・・・」

主人公「どうしよう、ノエル!おばぁが・・・!」

がくりと身体から力の抜けたおばぁの手を握り、泣きそうなのを必死で堪える。

ノエルはおばぁのただ事でない様子に慌てて膝をつくと、おばぁの胸に耳をあてた。

主人公「私、私やっぱり救急車を呼ぶ!」

ノエル「・・・○○」

主人公「け、携帯・・・携帯どこ・・・」

ノエル「○○、落ち着いて。・・・おばぁ生きてる」

主人公「え?」

おばぁ「アイー!ニイさんがおばぁの胸に耳当てるからちょっと若い頃を思い出してドキドキしたさぁ」

  もうっ!おばぁ!!( ´艸`)

主人公「えっ?」

むくりと身体を起こすと、おばぁがにっこりと笑う。

おばぁ「上手くいったさぁ、おばぁの死んだふり!ニイさんとネエさんも仲直りさ」

主人公「おばぁ、まさか私とノエルを仲直りさせようとして・・・?」

おばぁ「はっはっは!おばぁは脅かすのが好きって、昨日も言ったさぁ」

主人公「もう、おばぁ!心配したんだよ・・・!」

  心臓に悪いし・・・ちょっといたずらが過ぎるよ・・・(T▽T;)

おばぁ「でもこれで、つまらない喧嘩は終わりさ。ね、ニイさん」

ノエル「・・・○○、ごめん」

主人公「えっ」

ノエル「・・・オレ本当は、自分で釣った魚を○○に食べさせたくて」

主人公「私に・・・?」

ノエル「でも釣れるのは長靴ばかりでイライラして・・・八つ当たりだった、ゴメン」

(そっか、私の為に頑張ってくれてたんだ)

主人公「ありがとう。その気持ちだけで、十分嬉しいよ」

ノエル「でも・・・」

主人公「それじゃもう一回、一緒に沖縄旅行しよう。その時にまた磯釣りしようよ」

ノエル「○○・・・」

おばぁ「その時は、またおばぁの民宿に泊まりなさいねぇ」

ノエル「・・・だな」

主人公「うん!」


次の日。

すっかり仲直りした私とノエルは、穏やかな気持ちであの浜辺に来ていた。

主人公「今日も海が綺麗だね。水も透き通ってて、砂浜も真っ白で」

ノエル「だな」

主人公「こうして遠くの沖を見てると、空と海の境界が分からなくなりそう」

ノエル「オレ知ってる、こういうの『美ら海』って言うんだろ」

主人公「本当にノエルって覚えが早いね。そのうち沖縄語もマスターしちゃうんじゃない?」

ノエル「おばぁがあれこれ教えてくれたから」

ノエル「・・・じゃ、問題」

主人公「なに?」

ノエルが唐突に、砂浜に文字を書き始める。

主人公「『ウフソー』・・・?」

ノエル「そう、この意味わかる?」

主人公「難しいなあ、沖縄の言葉って耳慣れないし」

ノエル「じゃあこれは?」

主人公「『ガチマヤー』・・・どんな意味だろ・・・」

ノエル「ヒントは○○」

(ええっ、ますます分からないよ)

主人公「ヒントが私・・・うーん、女の人ってこと?」

ノエル「またずいぶんおおざっぱだな」

主人公「あれ、ハズレ?」

ノエル「ハズレ」

ノエル「答えは・・・『ウフソー』はおっちょこちょい。『ガチマヤー』は食いしん坊」

  ひどい・・・。゚(T^T)゚。

主人公「・・・」

ノエル「どうした?」

主人公「それって、思いっきり私のことだよね」

ノエル「そうだよ」

主人公「音立てずに笑ってもわかるんだからね、もう」

ノエル「悪かった、拗ねないでよ」

主人公「拗ねます。私の心は深く傷ついたよ」

ノエル「それじゃ最後に、これはわかる?」

主人公「また?」

(『カナサン』って書いてあるけど・・・)

主人公「分からないなあ・・・・また食いしん坊とか、そう言う意味?」

ノエル「ハズレ。はい、罰ゲーム」

主人公「罰ゲームって・・・んっ」

反芻する間も与えず、あっという間にノエルが唇を奪う。

呆気にとられていると、ノエルは目元をふっとゆるませて・・・。

ノエル「『カナサン』は・・・愛してるって意味」

  (///∇//)

主人公「えっ・・・」

ノエル「愛してる、○○」

主人公「ノエル・・・」

もう一度そっと口づけされて、私はゆっくり目を閉じる。

夏の太陽よりもずっと、触れ合った唇が熱い。

ノエル「○○のために、これ、買ってきた。仲直りの印に」

主人公「手乗りサイズのシーサー・・・?」

ノエル「そう、おそろい」

手の平にころんと乗せられたシーサーの置物。

私は口を閉じていて、ノエルのは口を開いてるから元々は一対で売られていたのだろう。

ノエル「オレのが口開いてるシーサー、悪いことを追っ払う方。○○は・・・」

主人公「口閉じてるから・・・幸せを逃がさないように、捕まえとくほう?」

ノエル「そう」

主人公「こんな嬉しいことしてくれて・・・私、ノエルのことも捕まえちゃうからね」

ノエル「そんなの、もう捕まってる」

主人公「ふふっ、そっか」

私の軽口に、ノエルがまたキスをくれる。

誰もいない夏の海で、小波の音を聞きながら何度も口づけを交わした。

主人公「また一緒に来ようね?」

ノエル「ああ、約束」

絡めた指先や重なった視線、その全てが甘い気がする。

幸福感に包まれたまま、私はノエルにもう一度口付けようと、そっと背伸びをした・・・。





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最初はノエルの良さが正直分からなかったんだけど・・・

番外編プレイするたびにノエルに心が・・・(///∇//)