以下ネタバレです





一週間後、私は空港で悠月さんを待っていた。

悠月 「よう。もう来てたのか」

主人公「悠月さん!」

悠月 「離陸まであと1時間近くあるし、余裕だな」

主人公「うん。悠月さん忙しいから、いつもギリギリで搭乗手続きだし・・・」

悠月 「たまにはこういうのんびりしたのもいいだろ。お前、夏休みなんだから」

おばさん1「ちょっと、どういうこと!?」

おばさん2「責任者出しなさいよ!責任者っ!」

何事かと見てみると、おばさんたちの集団が、空港のスタッフに詰め寄っている。

スタッフ「申し訳ございません。現在マカオの天候が悪いため、運航を見合わせておりまして」

主人公「え!?」

悠月 「マカオって、オレ達が乗る便だな」

主人公「運転見合わせ・・・ってことは、飛ばないのかな」

おばさんたちはスタッフに再度詰め寄っていて、スタッフの人がなんだか可哀想・・・

主人公「悠月さん・・・なんとかできないかな」

悠月 「仕方ねーな」

主人公「え!?」

(こういうの、いつも『ほっとけ』って言うから、ダメもとで聞いたのに)

(悠月さん、おばちゃんたちの方に歩いていった・・・どうするの?)

悠月 「こんにちは」

おばさん2「何よ!部外者はちょっと黙って・・・」

おばさん2「え!?き、北大路悠月!?」

おばさん1「ちょっと、ゆづちゃんよ!」

おばさん3「いやー!私、大ファンなの!どうしてこんなところにいるの!?」

悠月 「実はオレも同じ便に乗るはずだったんですけど、飛行機、飛ばないんですか?」

スタッフ「は、はい・・・今、現地の天候を確認しているところで・・・」

おばさん4「そんなことどうでもいいわ!悠月さん、握手して!」

おばさん5「私、サインちょうだい!」

悠月 「ええ、もちろん」

悠月さんがおばさんたちに囲まれて、中でなにが起きているか見えない。

主人公「あんなに大騒ぎしてたおばちゃんたち、もう飛行機のこと、完全に忘れてる」

(あのままだったら、結構な騒ぎになってたよね)

(そうなる前に、わざと自分が前に出て騒ぎを止めたんだ・・・すごい)

悠月 「ええ、飛行機も天候が回復すれば飛びますよ。それまでのんびり待ってましょう」

おばさん1「そうよ!ゆづちゃんの言う通り!」

おばさん2「そうよねー、いつかは行けるんだから」

おばさん3「そうそう、少しくらい遅くなったらって、焦ることないわよね」

(あっという間におばちゃん達の意見が180度変わってる・・・)

(私も年取ったらああなるのかな・・)

  みんながみんな、そうなるとは・・・思いたくない(^▽^;)

悠月 「じゃあ、オレはこれで」

おばさん4「ええ!ゆづちゃん、また会いましょう!」

(確かに、同じ飛行機だからきっとまた会うよね・・・)

悠月 「あー、疲れた」

主人公「お疲れ様でした。お見事でした」

しばらく飛行機は飛ばないので私達は空港内を見て回る。

あれからしばらくたつけど、未だアナウンスはない。

今日はもう飛ばないかもしれないとあきらめていたら・・・

空港アナウンスが入り、私たちはマカオ行の飛行機に乗ることが出来た。


無事にマカオに着いた私達は、そのままホテルへ向かった。

主人公「・・・悠月さん」

悠月 「なんだよ」

主人公「ここは・・・その・・・ひとつの独立した国なの?」

  そんな、大げさな・・・

悠月 「何言ってんだよ。ただのホテルだろ」

主人公「だって・・・カジノにサーカス、プール、クラブ、医療機関・・・それに、ショッピングモールも入ってるって、どういうホテル・・・!?」

悠月 「ホテルって言うか、複合施設だな。でかい商業施設の中のホテルだと思えばいいだろ」

主人公「思えばいいだろ、って・・・」

(今まで悠月さんにはいろんなところに連れてきてもらったけど・・・)

(こんなにすごいのは初めて・・・)

悠月 「チェックインして・・・まずはどうするかな」

悠月 「やっぱり、リゾートと言えばプールか?」

主人公「わあ・・・悠月さん!ここのプール、証明もすごくキレイみたいだよ」

悠月 「よくそんなのわかったな」

主人公「ここに、『illumination』って書いてあるから・・・きっとそうなんだと思って」

悠月 「おまえの勘、すごいな。じゃあやっぱ、最初はプールで泳ぐか」

主人公「うん!」


チェックインを済ませ部屋に荷物を置くと、私達はプールにやって来た。

主人公「す、すごい・・・これ、施設内だよね?」

悠月 「外に出た記憶はないから、そうだろうな」

主人公「広い!それにいろんなプールがあるし、レストランも・・・」

(こういう世界って、本当にあるんだなあ・・・)

主人公「他に泳いでる人、いないね。貸切みたい!」

悠月 「たいていの奴らはカジノに流れるからな」

悠月 「つーかさ・・・おまえの水着姿、新鮮」

主人公「えっ」

悠月 「お互いに裸は見慣れてるけど、水着ってあんまり着ねーし」

  悠月ってホントこんな感じのこと、良く言うよね~!!

主人公「悠月さん!」

悠月 「なんだよ、おまえの裸見慣れてるのは本当のことだろ」

主人公「で、でも・・・」

主人公「もう!えいっ!」

バシャッと悠月さんに水をかける。

悠月 「つめてっ。おまえ・・・」

バシャッ

主人公「冷たい!悠月さん、何するの!」

悠月 「おまえが先にかけて来たんだろ!」

  そうだ、そうだ!! ( ´艸`)

主人公「だって、悠月さんが変なこと言うから・・・それに不意打ちは反則だよ!」

悠月 「おまえも不意打ちだったつーの!」

主人公「きゃー!悠月さん、本気になってる!」

(そうだ、このプール広いから、あの角を曲がって待ち伏せして・・・)

悠月さんから死角になりそうな場所に、身をひそめる。

悠月 「なんだよあいつ、どこに・・・」

主人公「今だ!」

バシャッ

悠月 「うわ!やめろ!冷たいっつーの!」

主人公「やめたら悠月さんから倍返しされる気がするもん」

悠月 「おまえは・・・」

突然、悠月さんが近づいてきたかと思うと・・・

そのまま抱き上げられた。

主人公「え!?な、なんでお姫様抱っこ!?」

悠月 「こうでもしないと止めないだろ、おまえ」

主人公「ご、ごめんなさい!もうやめる!だから下ろして・・・!」

(さすがに水着でお姫様抱っこは恥ずかしい!)

悠月 「なんだよ、その顔・・・かわいいな」

ぎゅっと、悠月さんが私を抱きしめる力を強めて・・・

主人公「んっ・・・!」

(えっ・・・私、キスしてる・・・こんなところで・・・)

主人公「ゆ、悠月さん・・・!ここ、プール・・・」

悠月 「誰もいないしいーだろ」

主人公「でも、誰か見てたら・・・」

悠月 「日本じゃないんだから、こんくらいフツー」

もう一度、悠月さんのひんやりした唇が戻ってきた。

主人公「ん・・・」

悠月 「・・・おまえ、その声と顔はずるい」

主人公「え・・・?」

悠月 「・・・我慢できなくなりそうだから、やめとく」

主人公「が、我慢できなくなりそうって・・・」

悠月 「夜、覚えとけよ」

主人公「ちょ、ちょっと!」

そのままプールサイドまで連れて行かれ、そこにあったイスに寝かされた。

悠月 「疲れただろ」

主人公「うん・・・ちょっとはしゃぎ過ぎたかも」

悠月 「めずらしくテンション高かったもんな」

主人公「なんだか、この広いプールと貸切状態を見たら、自然と・・・」

悠月 「ああいうおまえも、ちょっと新鮮だった」

悠月 「喉渇いただろ。なんか飲むか?」

主人公「うん。じゃあ、ジュースもらってもいい?」

悠月 「ジュース・・・このトロピカルジュースってやつか?オレも飲んでみるかな」

悠月さんがスタッフを呼んで頼んでくれる。

ジュースを1つって注文。

スタッフが運んできたジュースはストローがハートの形になったものだった。

悠月 「トロピカルジュースをカップルで1つ頼むと、勝手にこういうストローになるらしいな」

主人公「ちょ、ちょっと恥ずかしいよ・・・」

悠月 「何だよ、俺と一緒に飲むの、嫌なのかよ」

主人公「い、嫌じゃないけど・・・」

悠月 「なら問題ないだろ」

主人公「・・・悠月さんは、他の人と飲みなれてるなんてことは・・・」

悠月 「あるかよ。俺だって照れるんだからな」

(う・・・悠月さんの照れた顔、可愛すぎる・・・!)

2人でジュースを飲むと、ストローがジュースを吸い上げて色づく。

主人公「あ、ハートだ」

悠月 「ほんとだ。こういうのってマジであるんだな」

主人公「ふふ、私もそう思ってた」

テーブルの上に置いた手に、そっと悠月さんが指を絡めてくる。

悠月 「この後ホテルのレストランでディナーなんだけど、そのために、まずはドレスを買いに行かないとな」

主人公「ドレス?」

悠月 「ドレスコードがあるんだよ」

悠月 「そんな心配そうな顔すんな。オレが上から下まで、全部選んでやる」

主人公「お願いします・・・」

悠月 「じゃ、ショッピングモールに行ってみるか」

主人公「うん!」


プールから上がって、悠月さんと一緒にショッピングモールの中のお店に入る。

主人公「悠月さーん・・・このドレス、どう?」

悠月 「お、似合うじゃん」

悠月 「よし、これに決まりだな」

主人公「ほんとに似合う?」

悠月 「オレの目を疑うのか」

主人公「そうじゃないけど、こんな豪華なドレス、本当に似合うかなって・・・」

悠月 「そのドレスならネックレスはこっちだな。バックはこれで・・・」

主人公「ほ、本当にそんなキレイなの、私が持ってもいいのかな」

悠月 「安心しろ。これで完全に外から中までオレの女」

悠月 「これ、一式で」

店員 「かしこまりました」

清算しようと、悠月さんが財布を取り出す・・・

悠月 「・・・」

主人公「・・・悠月さん?」

悠月 「・・・財布がない」

主人公「え!? 部屋に忘れたとか・・・?」

悠月 「いや・・・いつもここのポケットに入れておくから、たぶんそれはない」

主人公「お、落とした・・・!?」

(あのお財布にゴールドカードも全部入れてる)

(落としたとしたら・・・どうなるの・・・!?)

めずらしく焦った様子の悠月さんと顔を見合わせて・・・

私は、全身の血の気が引いていくのを感じた・・・。



つづく---