以下ネタバレです






ふと見ると、ブーケをくわえたままの黒猫が、また、窓から黒狐の中に入ろうとしていた。

ボス 「あいつ!またっ・・・今度は本気で行くからな。怪盗を舐めるなよ」

逃がさないように、恐る恐る近づいていく。

もう少しでブーケに手が届く・・・と言うところで、危険を察知した黒猫は踵を返し、窓の外に逃げて行った。

ボス 「あっ、コラ待て!」

集さんと私は、勝手口から裏庭に出る。

集さんは猫を捕まえようと勢いよく飛びつく・・・が、逆に猫パンチをくらってしまう。

  猫パンチ・・・かわいいかも( ´艸`)

猫はさっきよりも警戒を強め、まるで子猫を守るかのようにガッチリとブーケを抱え、今にも飛びかかってきそうな勢いで唸り声をあげている。

どうしたらいいものか考えて・・・食べもので気を引く作戦を考える。

朝仕入れてきたお魚を取りに集さんが店の中に戻ると、猫は敵がいなくなったと思ったのか、前足の先を舐めながら、くつろぎ始めた。

店から持ってきたお刺身を猫に見せると、好物には勝てないようで勢いよく食べ始める。

美味しそうに刺身を食べ終わった猫は、嬉しそうに喉を鳴らしながら集さんの持っているもうひとかけらの刺身をじっと見ている。

ボス 「もっと欲しいのか?さっきまで威嚇してたくせに、ゲンキンな奴だな」

主人公「フフ、猫なんてそんなもんですよ」

身を乗り出して集さんに擦り寄ってくる猫を見て、二人で笑った。

そして集さんがブーケから離れたところでお刺身をあげる。

私は気づかれないようにすばやくブーケを取り返した。

しかし、戻ってきたブーケは引きずり回されてボロボロ・・・

ボス 「ごめんね、もっと早く取り返せればよかったんだけど」

猫はすっかり集さんになついてしまい、もっと刺身が欲しいと言わんばかりにぴったりと足元にすりついている。

主人公「いえ、いいんです。この子が犯人なら怒るわけにもいかないですから・・・」

キョトンとした表情で私の顔を見ている猫の頭をそっと撫でる。

ボス 「今度、○○ちゃんの好きな花束をプレゼントするよ」

主人公「ほんとうですか?嬉しいです」

ボス 「やっぱり、女の子は花もらうの嬉しいんだ?」

主人公「もちろん!じゃあ、楽しみにしてますね」

ボス 「でもなぁ・・・オレ、女の人に花とかあげた事ないからな・・・・恥ずかしいな・・・」

主人公「じゃあ、集さんからお花をもらう女性は私がこの世で初めてってことですね!なおさら、嬉しいです」

ボス 「まいったな・・・」

(集さん、かわいい・・・)

ボス 「まったく、おまえのせいで朝からとんだプチミッションになっちゃったんだぞ。おまえ、ちゃんと聞いてるのか?ん?」

集さんもしゃがみこみ、自分の足下にいた猫の頭をワシャワシャと撫でた。

ボス 「あっ・・・」

主人公「どうしたんですか?」

ボス 「こいつ、爪から血が出てるみたいなんだ」

猫は足が痛むのか、前足をほんの少し宙に浮かせたままでいる。

ボス 「よし・・・○○ちゃんの大事なものを盗んだ悪い子だけど、それとこれは別ってことで・・・手当てをしてあげようか」

主人公「そうですね、このままじゃかわいそうですし」

猫をひょいっと抱えると、店の中に戻った。

店内に戻ると、刺身をもらってお腹が満足しているからなのか、猫は私の膝にのってくつろいだ様子。

手当てが終わり、ふわっと立ち上がった猫のしっぽが私の鼻先をくすぐった。

(ん・・・なんだか鼻がむずむずする・・・・)

主人公「・・・くしゅんっ!」

私のくしゃみに驚いた猫は、膝から飛び降りると、開けてあった黒狐に入り口から慌てて逃げてしまった。

逃げてしまった猫を見送って、店の開店準備を始める為に扉を閉める集さんの手をふと見る。

主人公「あっ・・・血が出てますよ」

ボス 「ん?あー、あの猫パンチされた時にできた傷だな」

主人公「大変、早く手当てをしないと・・・」

ボス 「このくらい大丈夫だよ。ほっときゃ治るから」

主人公「調理の時に水も使いますし・・・それに、猫に噛まれたり引っかかれたりしたときって黴菌が入って化膿したら怖いんですよ」

  ほんとそうなんだよ?けっこう怖いんだからー!!。(;°皿°)

主人公「ほら、大人しくここに座ってください」

ボス 「おっと、○○ちゃんにはかなわないな。こりゃ将来は尻に敷かれそうだ・・・」

主人公「えっ?」

ボス 「いいや、なんにも」

集さんは、とても嬉しそうにしていた。

ボス 「じゃ、大人しく手当てしてもらっちゃおうかな」

主人公「ちゃんとあった方が良いかもしれないですね」

丁寧に傷口を洗い流すと、救急箱の中から軟膏を取り出し、そっと塗った。

主人公「あ、こんなところからも血が出てますよ。指のところだけ、防水の絆創膏を巻いておきますね」

ボス 「うん、ありがとう」

左手の薬指に出来た傷に、そっと絆創膏を巻いた。

主人公「はい、これでいいですよ」

ボス 「はいよ、ありがとね」

絆創膏を巻いた指を、集さんがじっと見ている。

主人公「どうかしましたか?」

絆創膏を私に見せながら、にっこりと笑う。

すると集さんは、救急箱からもう一枚絆創膏を取り出した。

ボス 「○○ちゃん、ちょっと手を貸してくれる?」

主人公「私ですか?どこも怪我してないですよ?」

テープを神から剥がすと、私の左手の薬指に絆創膏を巻いた。

ボス 「これで、一緒。左手の薬指だし・・・」

主人公「もしかして、結婚指・・・」

ボス 「そういうのは、男から言わせてくれよ。・・・結婚指輪みたい、でしょ?」

照れくさそうにしながら集さんが微笑む。

そっと私の手をとると、巻かれた絆創膏にゆっくりとキスをした。

ボス 「ブーケはなくなっちゃったけど、○○ちゃんがちゃんとお嫁さんに行けるおまじない」

主人公「お嫁さんに行けるおまじない・・・」

ボス 「将来的には○○ちゃんがオレのところに・・・・」

ボス 「・・・」

主人公「集さん・・・?」

ボス 「いや。こういうのは真剣に言いたいから、またちゃんと改めて・・・ね?」

そっと微笑んだ優しい集さんの瞳に、思わず吸い込まれそうになる。

唇が近づいてくる気配を感じ、そっと目を閉じようとした・・・

ガタン!

カリカリカリカリカリカリ・・・

ボス 「ん、なんだ?」

ふと音のする方を見ると、店の入り口から何かを引っ掻くようなカリカリという音が聞こえる。

しかし、扉には何の影も映っていない。

主人公「だ、誰もいないみたいですけど・・・」

(びっくりした・・・お客さんじゃなくて良かったけど・・・)

せっかくの甘い雰囲気を邪魔されたことをほんの少し残念に思いながら、正体不明の音を出し続ける入り口の戸をじっと見る。

カタカタ・・・

今度は戸を揺らす音が聞こえた。

主人公「や、やだ・・・」

ボス 「ちょっと見てくるね」

そっと腕を離すと、集さんが音の正体を確かめにゆっくりと入り口に向かった。

ボス 「誰だっ!」

ガラッ!

勢いよく戸を開けると扉の前から何か黒い塊が飛び跳ねた。

主人公「なっ!何かいました!」

猫  「にゃー」

主人公「さっきの猫!?魚が欲しくて、また戻ってきちゃったんですかね」

ボス 「いや、違うみたいだよ」

ボス 「ほら・・・」

足元から、集さんが何かを拾い上げる。

主人公「あ、これはブーケに入っていたお花ですよ」

ボス 「逃げてる途中で落ちた花をひろってきてくれたのかもしれないな」

猫が、綺麗なままの白い花を運んできてくれたようだった。

そっと花の香りをかぐと、私の手に花を手渡す。

ボス 「未来の花嫁さん。小さなブーケですが、黒猫さんからの贈り物ですよ」

ボス 「はい、どうぞ」

主人公「ふふ、ありがとうございます」

おどけながら言う言葉に、思わず笑ってしまう。

ボス 「ねえ、これはなんていう花なの?」

主人公「デンファレですよ」

ボス 「デンファレ?デンファレって、もっと紫っぽい色の蘭みたいなのじゃなかったっけ?」

主人公「そうですね。そういう色もありますよね。ブライダルのブーケには白とかピンクを使うことが多いみたいですよ」

ボス 「へぇ、そうなのか・・・」

主人公「花言葉から、この花を選ぶ花嫁さんが多いんだそうです」

ボス 「どんな花言葉なの?」

ブーケを貰った時に、花嫁さんが教えてくれた花言葉を思い出す。

主人公「お似合い、っていう意味だったと思います」

  勉強になります φ(.. )

ボス 「へー、お似合い・・・かぁ。なるほどね。あの猫、粋な事をしてくれるな」

ボス 「だってほら、オレ達二人も似合いの恋人同士って言われてるみたいじゃん?」

主人公「集さんったら・・・」

ボス 「まさか猫に祝福されるとは思ってなかったけど、こういうのも悪くないね」

主人公「そうですね」

(今はまだ始まったばかりの恋だけれど、いつか本当に集さんのお嫁さんにばれたらいいな・・・)

思わぬ猫の恩返しに、どちらからともなく笑みがこぼれた。





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ボスの時って必ず邪魔がはいるのね ( ´艸`)