以下ネタバレです。





集さんに一緒に探してほしいとお願い。

ボス 「まあ、オレに任せとけばこのくらいチョイっと解決・・・」

ガツン!

集さんが、テーブルの脚に脛をぶつけた。

主人公「大丈夫ですか!?」

宙  「○○ちゃんのこととなると・・・おじさん張り切り過ぎちゃうんだから」

健至 「全くだ」

拓斗 「朝からうるせーし・・・」

不機嫌そうな顔をした蛭川さんが目を覚ました。

ボス 「頼りにされるって嬉しいもんなんだぞ。じゃあ、早速さがそうか」

主人公「はい」

健至 「じゃ、オレ達はそろそろ帰るから。後で連絡してくれ」

主人公「はい、お騒がせしてすみません」

みんなが帰るのを見送った後、まずは店内を探し始めた。

ボス 「おーい、○○ちゃんこっちー」

主人公「どうしたんですか」

ボス 「あったよー」

主人公「本当ですか!?」

集さんの声を聞いて慌てて厨房の奥に行くと、日の当たる風通しのいい窓辺に、小ぶりのバケツに入ったブーケが置かれていた。

ボス 「もしかしたら、バイトくんがここに置いてくれたのかもしれないな」

主人公「なんだ・・・でも確かに、窓辺の方が、お花も元気になりますよね」

ボス 「無事にブーケも見つかったことだし。はい、これで解決」

ボス 「意外とあっさりだったね。帰るまでここに置いておくといいよ」

主人公「そうですね、ありがとうごいざいます」

ボス 「じゃ、朝ご飯にしようか」

今朝は仕入れたばかりのホッケ。

テレビを見ながら一緒に朝食の準備をしていると、「今日の占い」が始まった。

(私はあまりよくないけれど、集さんは良さそう・・・)

準備が整うと、のんびりと朝食を済ませた。

今朝のホッケは脂がのっていてとても美味しかったこと、仕入れのこだわりについて話を聞いていると・・・・

どこからか、店の中にまるまると太った黒猫がやって来た。

ホッケの匂いにつられてはいって来たらしい猫を集さんが追い払おうとするけれど、猫は一向に出て行く気配もなく、集さんの前をわざと行ったり来たり悠長に横切ると、私の足下に擦り寄ってきた。

主人公「ふふっ、かわいいですね」

ボス 「黒猫がオレの前を横切った・・・」

主人公「あっ窓に乗っちゃいました」

ボス 「なんだか黒猫を見てると不吉な予感がすんだよね」

集さんが手を振り、猫を窓から追い払おうとすると・・・

猫はブーケを口にくわえ、窓から逃げ出してしまった!

急いで勝手口から覗いてみたが、既に猫の姿は見えなかった。

すぐに取り返しに行こうと思ったが、時間を見ると今から出かけてしまうと開店準備に間に合わなくなってしまう。

主人公「やっぱり、ブーケは諦めます。それに・・・さっきのテレビの占いで、私の今日の運勢で『紛失物に注意。特に黒い猫に関わると今年最大級の不幸に見舞われる』・・・って言ってたんです」

(まさか、ほんとにこんなことになるとは思わなかったけど・・・)

主人公「ブーケは残念ですけど・・・もういいですから。気にしないでください」

ボス 「うーん、そうか・・・そんな話を聞いたら余計に取り返してあげたくなっちゃったよ」

主人公「集さん・・・」

ボス 「たかが占いと思うかもしれないけど、こういう偶然って、あながち馬鹿にできないからさ」

ボス 「○○ちゃんにこれ以上アンラッキーを寄せ付けない為に、やっぱりブーケは取り返しに行こうよ」

ボス 「好きな女の子のがっかりした顔を見て、そのままほっとくなんて、オレには出来ないからさ」

集さんの長い指が、そっと頬に触れる。

ボス 「よし、行こうか!」

返事も待たず、グッと私の手首を掴むと猫の気配を追って外へと駆け出した。

この辺の猫たちが日向ぼっこをしている場所へと向かう。

細い路地を進んでいく。

その途中でブーケの花びらが道路に落ちているのを見つけた。

この先にいるかもしれない猫を追って進みたいが道はとても細い。

私にここで待つよう言って、一人で細い路地を進んでいった。

しばらくして戻ってきた集さんのメガネのレンズは割れ、頬にも傷ができていた。

結局猫は見失ってしまったと残念そう。

メガネを外した集さんの整った顔にドキリとしてしまった。

思わず自分の頬が赤くなるのがわかる。

主人公「あっ、あの・・・」

ボス 「あ・・・ダメだ。オレ、近眼だから・・・眼鏡がないと人の顔もよく見えないんだよね」

私の顔を覗くように、そのままぐっと顔を近づける。

主人公「あ、いえ、特に何も・・・」

ボス 「ブーケは必ず取り返してあげるから、そんな悲しそうな顔しないでよ」

集さんは優しく微笑むと、そっと私の髪を撫でた。

(ほ、本当はドキドキしてるだけなんだけど・・・集さんには見えてないのよね・・・よかった)

ボス 「なんだか赤くなってるようにも見えるけど・・・」

主人公「み、見えてるんですか!?」

ボス 「ハハハ。そりゃいくら近眼でも、こんなに側にいるんだから相手の顔色くらいはわかるさ」

ボス 「○○ちゃんに惚れ直してもらえるなら、オレもまだまだイケるかもね」

主人公「・・・」

ボス 「じょ、冗談なのに・・・ツッコんでよ・・・」

不思議そうな顔をしている集さんに、私は何も言えなかった。

(だってほんとうにカッコいいんだもの・・・図星を指されたら何も言えないよ・・・)

ボス 「他の人に惚れちゃうのは困るけど、オレになら何度惚れ直しても問題ないからね」

ボス 「ほら、もっとよく顔を見せてよ」

主人公「嫌です・・・」

ほんの少しからかう様に、優しく笑う集さんから背を向ける。

赤くなった顔をごまかす様に、適当な返事をしながら、猫の行方を捜した。

さっきから歩きにくそうにしている集さん。

私達は手を繋いで歩いている。

でも、集さんは距離感がつかめず、電柱に当たってしまう始末・・・。

私達は一度黒狐にスペアのメガネを取りに帰ることにした。

先ほどのメガネとよく似たスペアのメガネをかけて集さんが戻ってくる。

眼鏡をかけてきたはずなのに、先ほどと同じ様にして、集さんはギュッと私の手をとった。

主人公「眼鏡、もうずっとかけちゃうんですよね」

ボス 「まーね、眼鏡がないと、○○ちゃんの可愛い顔も見えなくなっちゃうからさ」

主人公「そんな・・・」

ボス 「今度は照れてる顔もちゃんと見えるよ。やっぱり可愛いね」

主人公「もー!」

ボス 「ハハハ」

(さっき赤くなってたこと、やっぱりわかってたんだ・・・)

主人公「集さんはコンタクトにしないんですか?」

ボス 「必要に迫られれば使うこともあるけど、眼鏡の方が楽っていうのもあるし。それに・・・」

主人公「それに?」

ボス 「いつも眼鏡にしておけば、いざっていう時に眼鏡を外すと気配を消すのにもちょうどいいしさ」

主人公「あっ・・・」

(そうか、眼鏡の印象が強いから、さっき違う人みたいに見えたのかも・・・)

主人公「なるほど。。。確かに全然違いますものね」

ボス 「おいおい、それはどういう意味で言ってるのかな?」

主人公「あっ、ごめんなさい。そんなつもりじゃ・・・」

ボス 「ん?どんなつもり?」

わざとからかうようにふざけて煽ると、私の肩をそっと抱き寄せた。

ボス 「まあ、眼鏡取った姿なんて、いつでも見せてあげるよ・・・」

そっと耳元で囁く。

ボス 「これは○○ちゃんだけの特権だからね」

思わず赤くなってしまった顔をごまかす様に下を向いた。

ボス 「ほら、こっち向いてごらん」

主人公「そんな・・・今、きっと顔が赤くなってると思いますし・・・」

ボス「こんな風に照れてるところも見たいのが男ってもんなんだよ」

ボス 「ほら、オレの方を見てよ。さっきの分もちゃんと見せて?」

(もしかしたら今、キスされちゃうとか・・・?)

変な期待をしてしまい、ますます顔が赤くなってしまった。

ボス 「○○・・・」

そっと顔をあげると、優しい瞳と視線が重なる。

私はそっと目を閉じた。

集さんの指がそっとアゴに触れ、ゆっくりと顔が近づいてくる。

その時・・・

ガタガタガタッ!

背後から何かをひっくり返すような物音が聞こえた。

驚いたように顔を見合わせると、二人とも同じタイミングで慌てて後ろを振り返った。

そこにいたのは・・・




つづく---