以下ネタバレです




やたら賑やかな競技場見たいな場所に来た。

宙は、案内してきたジェフリーとしばらくタガログ語で話すと、ジェフリーを肘鉄で気絶させた。

宙  「親玉の居場所と名前は確認した。会場で対面する前に、一度ホテルに戻って、それらしく変装しよ」

主人公「それらしく、って?」

宙  「マフィアと交渉するなら、僕らも同じ業界の人間として迫力出していかないとね。僕らはジャパニーズ・マフィアで、○○ちゃんはその情婦・・・つまり『極妻』って設定で行くよ」

主人公「えーーー!?」

宙  「大丈夫だよ。僕にまかせて」


一旦ホテルに戻り、私は着物に着替えることになった。

着付けは宙がしてくれることに・・・

着物は宙が女装のときに身につけているもの。

宙は慣れた手つきで着付けをしてくれる。

長い指が、ウエストに触れてちょっとくすぐったい。

主人公「・・・」

宙が私の体をくるっと回転させて、後ろから着付けをしながら耳元で囁いた。

宙  「緊張するような事言ってゴメン。何度も言ってるけど、何があっても、○○ちゃんの命を最優先にするから、ネ」

主人公「宙・・・」

宙が急に私をまた正面に向かせ・・・両頬を両手で包む。

宙  「僕らにとって大事な指紋の持ち主だからね、○○ちゃんは」

主人公「えっ?あ、あぁ、ウン!」

(私を必ず助けるって、やっぱりそういう理由なのか・・・)

宙  「あ、ちょっとメイクいじるよ。『極妻』らしく」

  極妻らしくって・・・どんな感じだろう?想像つかない・・・

主人公「!!」

(すっごい顔が近づいて・・・唇がくっつきそう!?)

宙  「フフ。このままキスしちゃおっかな」

主人公「!?」

ドン!

反射的に突き飛ばしてしまった!

主人公「あ、ごめん!つい・・・」

宙  「ひどいなぁ。キズつくよ、僕」

主人公「だって!キスとか気軽に言わないでよ!まぁ、宙にとってはクセなのかもしれないけど・・・」

宙  「クセじゃないよ、今回のは」

主人公「え?」

宙  「失敗したら、もしかして死ぬかもって思ったら・・・○○ちゃんとキスしてから死にたいな、って」

主人公「そんな・・・こんな時にからかわないで」

宙  「・・・そだね」

宙  「ホイ、できたよ。『極妻』完成!」

鏡を見せられた。

主人公「うわ。すごい、私じゃないみたい・・・」

宙  「それで黙って僕の横に立っててくれればいいから。じゃあ僕も着替えてくるね」

しばらくするとバスルームで支度した宙が出てきた。

そして私達はさっき親玉がいるという場所に向かった。

ここはドッグレース場。親玉はドッグレースの収益を取り仕切っている。

名前はガブリエル『地獄の大天使』って呼ばれてるらしい。

彼はVIP席で取り巻きに囲まれていて、さっきのジェフリーもいた。

宙はゆったりとした足取りでガブリエルに近付いて行った。

タガログ語で話しているから内容は分からないけど会話の間に、何度も『△△』という名前が混ざるようになった。

お互い顔色を変えずに話しているから交渉がうまく行っているのかすらわからない。

宙  「話はついたよ、○○」

急に名前を呼び捨てにされて、思わずドキッとしてしまう。

主人公「なんて言ってるの?」

宙  「僕らの運命を賭けることにことになった」

主人公「もしかして・・・賭け?」

宙  「そう・・・。これから行われるドッグレースで、ガブリエルと僕らが一頭ずつ選んで、賭けをする。それで、僕らが勝ったら『△△』についての情報がもらえる」

宙  「負けたら・・・」

主人公「負けたら・・・?」

宙  「・・・どうなるかな?」

宙  「『負けたら、僕をガブリエルの好きにしていい』って言うしかなかったから、この場で殺されるって事は、さすがにないだろうけど・・・」

主人公「!!」

宙  「大丈夫、そんな不安そうな顔しないで。言ったでしょ?何があっても君だけは助ける、って。僕を信じて」

主人公「えっ、やっ、やめようよ!負けたらどうす・・・」

宙  「しゃべんないで。『極妻』っぽくないのバレるよ」

主人公「・・」

(私だけ助かったって嬉しくない!)

(宙、自分を大事にして!)

想いを必死に目で伝えた。

宙  「・・・」

宙の目が、私をしっかり見返し、微笑んだ。・・・ように見えた。

レース犬が出てきた。

私は昔ひいおじいちゃんが飼っていた犬とよく遊んでいたことを想いだした。

凄く頭が良くて、目が人間みたいにしっかりしていた犬・・・

レース犬のなかに似た犬がいた。

主人公「あの犬がいい」

私が1頭を指差すと、ガブリエルがヒュ~、と口笛を吹いて、私に向かって何か言った。

宙  「あの犬の名前は、『デビルズアロウ』だってさ。『悪魔の矢』だね」

宙  「もしかしていい犬を選んだのかもしれないよ」

私は宙からタガログ語で『必ず勝って』という言葉を教えてもらい、デビルズアロウに言って聞かせた。

ガブリエルとその取り巻き、宙まで笑ってる。

宙  「ごめんごめん。でも、今の○○ちゃんの言葉であの犬はきっと勝つよ。だから応援しよ」

レースが始まった。

私の選んだデビルズアロウは、最初からぶっちぎりの先頭を走り、そのままゴール!ものすごい快勝だった!

ガブリエルは悔しそうな顔をしたが、約束通り無事に『△△』の情報をもらい、私達はドッグレースの会場を後にした。

帰りの車---

主人公「はぁ・・・、良かった!生きて帰ってこられて!」

宙  「それにしてもどうやって選んだの?あの犬」

主人公「昔、ひいおじいちゃんが飼ってた、ものすごく利口な犬と同じ目をしてたの。だから、なんとなく」

宙  「あの犬・・・ガブリエルの持ち犬で、ドッグレース史上最強の犬って言われてるんだって」

主人公「え!?そうだったの!?」

宙  「うん。○○ちゃんがドッグレースのシロウトなのはガブリエルにも見てわかってたから、迷わずにあの犬を選んだのをみて、『最高の女だ』って言ってたよ。犬に向かって『Oo naman manalo!(必ず勝って!)』って、あれにもシビレたって。僕もあれにはびっくりしちゃったけどね」

主人公「だって、犬にだって、本気で頼めば、気持ちは伝わるよ・・・たぶん」

宙  「ガブリエルも毎日、あの犬にああ言って育てたんだって。だから彼は○○ちゃんの事、ものすごく気に入ったみたいだよ。ま、ジャパニーズ・マフィアのご令嬢で、僕の奥さんってことになってるから、怖くて手が出せないと思うけど」

主人公「え? 『怖い』?」

宙  「たぶんね」

主人公「私達のことが?」

主人公「え?でも宙、賭けに勝てなかったら、どんな目に遭わされるか分からない、って。最悪、宙が殺されちゃうかも、って言ってたよね?」

宙  「ああ、あれは全部ウソ。ゴメンね。ああ言った方が盛り上がると思って」

主人公「え!どういうこと!?」

宙  「実は、ガブリエルはもともと、そんな賭けを吹っかけてはこなかったんだ」

主人公「は?」

宙  「ごめん。まぁ、○○ちゃんの度胸付けよっかな、みたいな?」

バシッ!

思わず宙を平手打ちした!

宙  「あ・・・危ないよ、運転中だよ?」

主人公「人の気持ちをなんだと思ってるの!?」

宙  「え・・・」

主人公「もしかしたら殺されるかも、って聞いて、どれだけドキドキしたかわかる!?私がどれだけ宙の事心配したか・・・」

宙  「・・・ゴメン」

主人公「・・・宙は簡単にウソをつくけどそれがどれだけ人を傷つけることなのかわかる?ひどいよ・・・」

宙のほうを見ると、今までに見たことがないくらい悲しそうな顔をしている。

主人公「・・・」

宙  「・・・あのさ、『吊り橋効果』って知ってる?」

主人公「・・・知ってるけど。壊れそうな吊り橋を一緒に渡るみたいな、ドキドキする経験を一緒にすると男女の場合、脳が恋愛のドキドキと混同して恋に落ちちゃうケースが多い、ってやつでしょ?」

宙  「そう、それ」

宙  「○○ちゃん、今日ので、僕と吊り橋効果しちゃったりして?」

主人公「・・・意味がわかんないんだけど」

宙  「前から言ってるけど、その・・・何があっても、僕に惚れちゃダメ、って話。今日みたいな吊り橋効果の時も気をつけた方がいいよ?」

主人公「宙、私にひっぱたかれて動揺してるんじゃない?」

宙  「え!!」

宙  「そ・・・、そんなことないよ」

(どうみても動揺してる・・・宙もこんな事あるんだな)

私達はその後、言葉少なく夜のマニラを走った・・・。






選択肢

・役者みたい

・・・・もういい



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ホントに同じドキドキ感を味わうと恋に落ちちゃう事ってあるよね・・・

ははっ! (^▽^;)

これは・・・宙の方が吊り橋効果にかかったんじゃないの?