千早さんのエピ最終話です。



以下ネタバレです




ノエルさんはレースで見事優勝。

夜になって、北大路グループ主催の打ち上げパーティが開催されていた。

ノエルさんの優勝インタビューも終えて、ひと休み中。

(ドレスを着ていないから、もう出て行かなくちゃいけないんだけど・・千早さん、どこに行っちゃったんだろう。こんなとこに一人じゃさびしい・・)

?? 「こんばんは、お嬢さん」

(え・・男の人の声?)

緑をかき分け、フェンスの向こう側からひょっとこのお面をつけた男の人が現れた。

驚きすぎて、何も言えないまま彼を見つめる。

ひょっとこ「おや。あまり驚きませんね」

主人公「・・・いえ、ものすごく驚いています」

ひょっとこ「ああ、そんなふうに見えませんでした。・・・確かに、噂どおりの面白い方ですね」

主人公「私のこと知ってるんですか?それよりも、あなたは捕まったはずじゃ・・・?」

ひょっとこ「はじめまして。最近ヨーロッパで噂の怪盗団のリーダーをしております。怪盗と言っても、庶民が奪われたものを取り返すだけですけどね。それよりも、私どものコピーキャットに襲われたとか。申し訳ございません」

主人公「コピーキャット?それじゃあ、昨日捕まったのは偽物で、あなたが本物・・・? なんかいろいろ混乱してきた・・・」

彼は頭を抱えている私の手に、金色のリボンがかかった箱をのせた。

ひょっとこ「どうぞお受け取りください。ちょっとしたお詫びの品です。國府田様と影山様にもよろしくお伝えください」

そういうと、踵を返してフェンスに手をかけた。

主人公「え?千早さんと未来くんのこと、知ってるんですか?」

彼は振り返ると、私の手元を指さして言った。

ひょっとこ「それは、今夜のドレスにもきっと映えると思いますよ」

主人公「ドレス?」

ひょっとこさんは私の言葉を最後まで聞くことなく、フェンスをひょいと乗り越えて、緑の向こうへと消えて行った。

(何か勘違いされたのかな・・・?ドレスなんてもってきてないけど

國府田様と影山様って言ってたけど・・・もしかして、二人と知り合いとか?)

未来 「あーっ、いたー!」

主人公「びっくりした!未来くん!?」

未来 「探したよ、○○ちゃん。ほら早く!メイクさん待たせてるんだから」

主人公「・・・メイクさん?」

有無を言わさず、私は未来くんに引っ張られて会場の奥へと連れて行かれた。


30分後。

白い薄手のドレスに着替えさせられ、メイクをほどこされ、ワケのわからないまますっかりドレスアップを終えた自分が鏡に映っていた。

主人公「み、未来くん。コレはどういう・・・?」

未来 「ふふ、それは秘密。ここで僕がバラしちゃってもいいんだけど、それだと面白くないからね」

(なんだか遊ばれてる気がする・・・)

コンコン

ドアがノックされて、未来くんは立ち上がった。

未来 「さてと!○○ちゃん、心の準備はいい?」

主人公&私「準備って・・・何かこれから起きるの?」

未来 「そんなこと決まってんじゃん!今度は○○ちゃんがお姫様になる番だよ」


未来くんに連れられてプールテラスへと出た。

途端、わぁっと歓声があがる。

(え?え?)

プールの周囲にはキャンドルが灯され、ゲストたちが集まっている。

そこにはカジノのメンバーもいた。

未来 「○○ちゃん、ほら」

未来くんが指さしたほうを見ると、タキシード姿の千早さんが立っていた。

  なんか結婚式みたいな雰囲気だね

(やっぱりカッコいいな・・・身長が高くて、足も長いからタキシードがビシッと似合ってる・・・)

皐月 「さて皆様、お待たせいたしました。こちらの2人が、本日の陰の主役です!」

未来くんは私を千早さんのところまで連れて行くと、目配せしてみんなのところへ行ってしまった。

ノエル「・・・今日の優勝を、この2人のカップルに捧げます」

(えっ!?ノエルさん!!?)

皐月 「試練を乗り越えようやくカップルになれた2人がこれからも仲睦まじくいられるよう、心から祈って。乾杯!」

乾杯の声が響き渡る。

知らない人たちも含めて、その場にいるみんなが私たちを祝福してくれている。

(な、なんかよくわからないけど・・・すごく嬉しい・・・みんな祝ってくれてる)

未来 「ふふっ、2人とも、びっくりした? 両想いになれた2人へのサプライズパーティだよ!」

悠月 「まぁ、頑張ってたしな。おめでと」

みんなの優しさが伝わってきて、胸がじんとする。

主人公「皆さんありがとうございます・・」

千早 「ふふ、僕にもさっきまで秘密だったから、驚いてるよ。でも、○○さんの嬉しそうな顔を見れてよかった」

主人公「すごいね。なんていうかスケールが大きくて・・・これを考えたのは・・・?」

千早 「どうやらみんなで前から計画していたそうだよ。サプライズが大好きな人たちだからね」

主人公「そうなんだ。皆さんやっぱり仲がいいんだね」

千早 「○○さんも既に僕達の仲間だよ。でも、○○さんを独り占めできるのは僕だけだけどね」

主人公「ふふ、千早さんを独り占めできるのも、私だけでしょ?」

千早 「もちろんだよ。これからもずっとね」

(嬉しいな・・・これからもずっと千早さんのそばにいたい・・・

こんな幸せを感じることが出来るのは千早さんだけだから)

千早 「実は、僕からもサプライズがあるんだよ」

千早 「○○さん、誰かに何かもらわなかった?」

主人公「・・・え」

千早 「もらったでしょ?」

未来 「これのことでしょ?」

未来くんが差し出したのは、さっきひょっとこから渡された箱。

戸惑いながらも、金色のリボンをほどいて中を見ると、パールのアクセサリーが入っている。

主人公「すごいキレイ!こんなに光ってる真珠初めて見た!」

千早 「さすが、趣味がいいな。思ったよりもいいものを選んでくれた」

主人公「千早さんも未来くんも、あの人と知り合いなの?」

千早 「○○さんに何かプレゼントしたくてね、未来に手配を頼んだんだよ。そういうのは未来の得意分野だからね」

(だからってひょっとこさんに・・・未来くんって一体、何者??)

千早さんが、そのアクセサリーを私の首元に巻いてくれる。

千早 「この国のグレース・ケリーっていう王妃が身につけてた、パール・チョーカーのフェイクだね」」

未来 「フェイクって言っても、超高級品だけど」

主人公「そ、そんなに高級品なの?」

未来 「そうだねー  たぶん○○ちゃんの給料を1年分くらいつぎ込んでも買えないくらいの値段かな」

(1年分って・・・安月給だけど、すごい金額になるんだろうな・・・)

  フェイクでその金額って・・・マジ超高級品だね

千早 「彼女は有名なハリウッド女優だったんだよ。それでモナコの王様に見初められて、モナコ王妃になったんだ」

主人公「へえ・・・ステキ!」

千早 「喜んでもらえたようで、よかったよ」

主人公「千早さん・・・ありがとうございます」

お礼を言うと、千早さんはいつものように優しく微笑んだ。


1時間後。

私がワインを取に行っている間に、プールのほうで派手な水音がした。

プールの方を見ると、千早さんと廣瀬さんが同時に水面から顔を出した。

(えっ、落ちたの!?)

プールサイドまで駆け寄ると、2人がプールに浸かったまま楽しそうに笑っている。

主人公「ちっ、千早さん!?」

千早 「・・・遼一に落とされてしまったよ」

遼一 「ハハッ!お前たちのことを思って、やったんだよ。濡れてた方が色々と都合がいいだろ?」

  遼一ーー!!グッジョブ♪(*^ ・^)ノ⌒☆

主人公「ぬ、濡れ・・・」

千早 「○○さん、悪いけど引き上げてくれないかい?」

千早さんは笑みを浮かべて、私に手を差し出した。

その手に自分の手を重ねると、思い切り引っ張られた。

(えぇっ!?)

バシャーン!!

千早さんが、心の底から楽しそうに、お腹を抱えて笑い出した。

千早 「あははっ!」

主人公「・・・もう!何するんですか!あー、びしょ濡れになちゃった」

千早 「・・・あ」

千早さんは眉間にシワを寄せた。

瞬間、腰から軽々と持ち上げられて、体が宙に浮く。

千早さんの肩にかつがれるように抱き上げられて、そのままプールを出た。

周囲の人からの野次や口笛が飛んでくる。

主人公「千早さん、下ろして!みんな見てるから恥ずかしいよ」

千早 「イヤだ」

(なっ、なんでこんなコトに!?)

千早 「皐月さん、ノエル、ありがとう」

皐月 「いや。本当におめでとう」

ノエル「・・・喜んでもらえたなら、よかった」

千早 「うれしかったよ。じゃあ、明日ね」

(えっ、この格好のまま戻るの?)

皐月さんとノエルさんを見ると、ノエルさんは目をそらし、皐月さんは手を振って私たちを送り出してくれる。

  ノエル・・照れてるんだ・・・可愛いね


主人公「千早さん、そろそろ下ろしてもらえませんか・・・周りの人の目がすごい気になるんですけど・・・」

千早 「ダメ。それに日本人と違って、彼らには日常茶飯事の光景だからそんなに気にすることないよ」

主人公「そういう問題じゃないと思うけど・・・」

千早さんは私をお姫様抱っこしながら優しく微笑んでくる。

(千早さんって妙なところで頑固なんだよね・・・でも、これはこれで本当にお姫様みたいだし、いいかな)

主人公「・・・こんなに早く帰ってきちゃって、よかったんですか?」

千早 「いや・・・そのドレス、水に濡れると・・・透けて見えるみたいだね」

主人公「え!ウソ!?」

千早 「すまない。・・・ちょっと浮かれすぎた」

主人公「浮かれる千早さんて、なんだか珍しい。そういえば、カジノに初めて取材に行った日も、プールに落ちたんだっけ…」

千早 「そうだったね。寝顔、かわいかったな」

主人公「・・・あの頃、千早さんのこと全然つかめなくて大変でした」

千早 「・・・そう?僕はあの頃も、キミと一緒にいると楽しかったよ」

主人公「ふふ、それって私のどんなところが楽しかったの?」

千早 「そうだね。周りのこと全てに驚いている姿とか、見ているだけでとても楽しかったよ」

主人公「それって私のことで遊んでたってことじゃないですか」

千早 「今でも○○さんで遊んでいるけどね」

(やっぱり千早さんてつかみどころがわからないな

でも、こういう話してるだけで幸せを感じる。ずっと千早さんと一緒にいたいな・・・)



ソファの上で彼と私の肌が触れ合って、溶けあうようになじんだ。

お互いの存在を確かめるように、深く絡まっていくようなキスをする。

唇を離して、千早さんは私を困ったような目で見つめた。

千早 「ねえ。その目は、僕を煽ってるの?」

  きゃー!キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!

主人公「・・・えっ?」

千早 「・・・無意識か。悪い子だね

首筋に、鎖骨に、胸に・・・ふれられて、口づけられて、彼の熱が伝染する。

重みが心地よくて、汗ばんだ千早さんの首に腕を絡めた。

彼が私にしてくれることは、いつだって全部やさしくて・・・。

千早 「・・・○○さん」

主人公「・・・?」

千早 「来年もモナコに来ようか。再来年も、その次の年も。すっと、一緒に」

いいよと言いかけて、私は赤面した。

主人公「・・・それって、なんだか・・・」

千早 「うん?」

主人公&私「なんだか、プロポーズみたい・・・

千早 「ああ、そう言えばそうだね」

千早さんは少し考えてから

千早 「それで、答えは?」

主人公「・・・え?」

私は戸惑いながらも、ちょっと考えてみた。

この先、ずーっと千早さんと一緒にいられたら・・・。

(それってすごく幸せじゃない・・・)

言葉にならず、顔を両手で覆ってコクコクと頷いた。

千早さんは少し笑っているようだった。

千早 「・・・○○さん、顔を隠さないで」

主人公「だっ、ダメ!今、すごいヘンな顔してるから・・」

千早さんは構わず私の手を外させた。

千早 「・・・キレイだよ?」

  ダメーーー!!このシチュエーションでこのセリフ・・・マジで惚れます(///∇//)

きっと真っ赤な顔をしている私を楽しそうに眺めながら、私の左手をとった。

千早 「じゃあ、その約束に」

左手の薬指、その付け根にやさしくキスをした。

カーテンから漏れてくる街灯が、ぼんやりと彼の背を照らす。

千早さんのシルエットが美しく浮かび上がって、おごそかな雰囲気がただよう。

(うわぁ、キレイ・・・)

千早さんの姿に見とれて、私は言葉を失った。


千早 「疲れた?」

主人公「・・・ちょっとだけ」

千早 「でも、今夜は寝かせてあげないよ」

私の左手に唇を寄せたまま、千早さんは魅惑的に笑う。

主人公「・・・あ、あのっ」

千早 「・・ん?」

主人公「お手柔らかにお願いします・・・」

千早 「ああ、・・・手加減できなかったらごめんね」

(えっ!?)

千早さんは私の顔の横に肘をつくと、愛おしげに唇を重ねた。







あーーもうだめだーー!!

マジで惚れる!!

早く続編できないかな・・・