モ・ナ・コ о(ж>▽<)y ☆

2日目です





以下ネタばれです


レースのカーテン越しに、岩山の上にそびえるモナコの王宮が見える。

コースに面したこの部屋では、まだ早朝なのに、マシン独特のエンジン音が聞こえてくる。

ここは皐月さんが所有するマンション。

その一室に、千早さんと滞在していた。

  о(ж>▽<)y ☆うらやましい・・

千早 「○○さん、コーヒーどうぞ」

主人公「ありがと。・・・ミルクたっぷり?」

千早 「もちろん、たっぷり」

ノートパソコンのディスプレイが真っ暗になっているのを見て、千早さんが言った。

千早 「仕事、キリはついた?」

主人公「うん。・・・ごめんなさい、全然遊びに行けなかったね」

すでに、レース最終日。

私たちの滞在も今日が最後なのに、今日まで何だかんだと仕事に追われてしまった。

千早 「面白かったよ」

主人公「え?」

千早 「取材の時は知ってるけど、文章を書いているときのキミをあまり見たことがなかったから、新鮮だった」

優しく微笑んで、ブラックコーヒーを飲む。

主人公「・・・ずるい。私も、千早さんのいつもと違うところが見たいのに」

千早 「そうかな。キミと一緒にいると、僕らしくないことばっかりしてる気がするけど」

  ホント途中から悠月が言ってたように、キャラ変ってる気がするもんね

主人公「そんなことないよ。千早さんはいつも優しくて、不思議で・・・」

千早 「ふふ、そう言ってもらえるとうれしいね」

千早 「でも、男は時には狼にもなるからきをつけるんだよ」

抵抗するまもなく、千早さんにベットに押し倒される。

主人公「ち、千早さ・・・んっ・・・」

少し強引に唇をふさがれる。

さっきまで飲んでいたコーヒーの苦みが、かすかに口の中にひろがり・・・

徐々に激しいキスへと変わるにつれ、とても甘くなっていく・・・

千早さんは唇を離すと、優しく微笑んだ。

主人公「・・・今の千早さんは狼なの?」

千早 「それはヒミツ。でも、狼は夜行性だしね。楽しみは後に取っておかないと」

  いや・・・千早さんだったら夜行性じゃなくても全然いいんですけど・・(*゚ー゚*)

  っていうか・・・いつでもOKです(*゚ー゚)ゞ

主人公「もう・・・」


私はノエルさんに、レース前のインタビューをしていた。

ノエル「今はマシンのコンディションもいいので・・・あとは頑張ります」

主人公「・・・ありがとうございました。レース前の取材はこれで終わりです」

(相変わらず口数は少ないよね・・・)

ノエル「そう、じゃあ」

そっけなくそう言ってノエルさんは立ち去ろうとする。

ノエル「・・・あ。言い忘れた。レース後の取材は今夜のパーティで受けるから」

主人公「わかりました」

そうとだけ言うと、彼は作業に戻って行った。

F1のことはあまり詳しく分からないのだけど、ノエルさんが天才的なレーサーであることは、この数日間でよくわかった。

モナコのレースは道幅が狭く、直線コースが他のサーキット場に比べて少ないらしくて。

だからテクニックもマシンのコンディションもすごく大切らしい。

(無事に戻ってきてね・・・)

カメラマン「じゃあ△△さん、オレはバッシャバッシャ撮ってくるから!いい画を期待しててくれ!」

主人公「あっ、よろしくお願いします!」

F1好きのカメラマンは、喜び勇んで駆けて行った。


千早さんたちに合流しようと、観戦用のクルーザーへと向かう。

予想以上の人出に驚いてしまう。

携帯を取り出し、千早さんの電話番号をディスプレイに表示させた。

ドン!

背に高い黒服の男性に、思いっきりぶつかった。

主人公「いった・・・」

相手は謝ることなく、逃げるようにその場を立ち去る。

違和感を覚えて手元を見ると、さっきまで持っていたバックがない。

携帯電話を握り締め猛然と立ち上がると、ぶつかってきた男を確認した。

私のバックを小脇に抱えた黒服の男は、なかなか人混みから抜け出せずにオロオロしている。

くるりと振り向いてこちらを見た彼の顔には、ひょっとこのお面。

モナコに来る前、カジノでのウワサ話を思い出す。

(ウソ、ヨーロッパで暗躍してるとかいう『ひょっとこ軍団』の人!?どうしよう?取り返したいんだけど、あんな気持ちの悪い人、絶対に近寄りたくないよ! でも、あれには仕事道具が・・・)

パニックになりそうな自分をなんとか制して、深呼吸した。

(そうだ!千早さんに電話してみよう!)

千早さんに電話を掛けると、すぐに出てくれた。

千早 「○○さん、今どこにいるの?待ち合わせ場所に居なくて探してるんだけど・・・」

主人公「ち、千早さん!助けてくださいッ!」

千早 「何?どうしたの」

主人公「カバンをひょっとこに盗まれちゃって、どうしていいかわかんなくなっちゃって電話したんですけど・・・」

千早 「ひょっとこって、あの最近有名な窃盗団のことかい?」

主人公「そうです。目の前にいるんだけど、相手が大男だからどうすれば・・・」

(って、ここにいない人に電話しても意味ないよね・・・)

主人公「ご、ごめんなさい。自分でなんとかします・・・」

千早 「何を言ってるんだい。約束したじゃないか。一緒にどんなことでも乗り越えていくんでしょ?」

ふわりと背中から抱きしめられる。

(え・・・っ?)

主人公「千早さん!?」

千早 「やっぱり○○さんといると退屈しないね。毎日が楽しいよ」

主人公「いや、今はそんなことよりひょっとこが!」

千早 「そうだったね。それでどこにいるの?そのひょっとこって」

私は黒服の男を指さす。千早さんは目を細めて、ニヤリと笑った。

千早 「さあ、反撃開始だ」

千早さんは、近くを通りがかった日本人の老夫婦に話かけた。

千早 「すみません、その杖を少し貸していただいてもよろしいですか?」

おじいさん「かまわないが・・・」

千早 「ありがとうございます。すぐにお返し致しますので」

千早さんはおじいさんから杖を借りると、私に微笑んだ。

千早 「ちょっと待っててね。すぐに終わるから」

ぽんと私の頭をなでると、ひょっとこに向かって行った。

主人公「えっ、あぶな・・」

千早 「ちょっとキミ。そのバックを返してもらえないかな。それは大切なものなんでね」

ひょっとこは千早さんに気づき、襲いかかってきた。

千早さんは相手の攻撃をかわし、しなやかな動きで杖を刀のように振るった。

ひょっとこの胴へと見事に決まり、男はその場に倒れこんだ。

ひょっとこ「くそ、なんだこいつは!おい、みんなちょっと来い!」

ひょっとこは黒服を脱ぎ捨て、さらに二人の男が現れる。

  ちょっとキモイ・・・( ̄Д ̄;;

主人公「うわ、ほんとに見た目もひょっとこになっちゃった!ってか、人数が増えちゃった!どうしよう」

未来 「ホントだー。噂には聞いてたけど、何でモナコでひょっとこなんだろうね。日本のイメージがわるくなっちゃうよ」

主人公「み、未来くん、何でここに?あ、それより千早さんを助けにいかなくちゃ」

駆けだそうとする私の腕を掴んで、未来くんが制する。

未来 「今僕らが行くと、千早さんの邪魔になっちゃうからダメ」

主人公「そんなこと言ったってあの人数だし、助けに行かないと・・・」

未来 「千早さんは大丈夫だって。すぐに終わらせるから、ゆっくり見てようよ。ね!」

未来くんがいたずらっぽい笑みを浮かべている。

見れば、千早さんは舞を踊るように相手の攻撃をかわして、2人の男に胴と面を食らわせていた。

男たちはあっけなくその場に崩れ落ちる。

周囲で見ていた人たちからの歓声で沸く。

主人公「ち、千早さんって・・・」

未来 「知らなかった?千早さんて剣道すごいんだよ。スイスの学校でも有名だったし」

主人公「そうなの?そんなこと知らなかった・・・」

未来 「スイスではほとんど負けなしくらいの強さだったんだよ。千早さんにとって剣道はただの趣味みたいなものだったから、今はやってないみたいだけどね。でも、たぶん今でも相当強いと思うよ」

ひょっとこ3人組は、警察に引き取られ、事情を説明し終えた千早さんが戻ってきた。

千早 「・・・○○さん、バック取り返してきたよ。中身はたぶん大丈夫だと思うけど」

主人公「千早さん、ありがとう・・・」

千早さんは前髪をかき上げて満足げに笑う。

千早 「どうしたの?なんか呆気にとられた顔してるけど」

主人公「あっ、ち、違うの。さっき、なんかすごくカッコよかったから・・・」

千早 「・・・うん?惚れ直した?」

  はいっ! 

主人公「えと、そ、そうだね」

千早 「それはよかった。久しぶりにやったから、上手く出来てるかどうか不安だったんだけど」

主人公「ほんとに・・・かっこよかった。何ていうか・・・上手く言えないけど・・・」

なんだか照れてしまって、それ以上何も言葉が言えなくなってしまった。

すると、隣で杖を借りたおじいさんがパチパチと拍手をした。

千早 「杖、ありがとうございました。おかげで助かりました」

おじいさん「いやいや、ワシも若い頃をおもいだしました。レースも楽しみですが、こんな奮闘が見れるとは思わなんだ」

おばあさん「ほんと、すごい迫力だったわ。お嬢さんもこんな強い方と付き合えて幸せね。二人ともお似合いだし、これからも末永く仲良くね」

千早 「ありがとうございます」

(末永く、か・・・)

千早 「どうしたの?もしかして、さっきケガした?」

主人公「あっ、ううん。そうじゃなくてね・・・」

(私達も、あんなふうにずっと仲良くいれたらいいなぁって思うけどこういうのって重たいかな・・・?)

千早 「・・・○○さん?ほら、思ってること、言って?」

見透かされてるみたいな、やわらかな笑みを浮かべて言われる。

頬が熱くなったような気がして、顔を見られないようにそむけた。

主人公「・・・あれくらい長い間、好きな人と仲良く一緒に居られたら、幸せだろうと思って」

しばらくの沈黙。

(や、やっぱりマズかったのかな・・・??)

おそるおそる顔を上げてみると、彼は笑みを浮かべて私を見ていた。

千早 「奇遇だね。僕たち、同じコト考えてたみたいだよ?」

主人公「そうなの?だったらこれからも大丈夫かな。そういえば今朝言ってた、千早さんの違った一面が見れたよ」

千早 「・・・ああ、そういえばそうだね」

主人公「学生時代の千早さんも見てみたかったな」

千早 「・・・キミ、未来に何か聞いたでしょう?」

主人公「それは内緒です」

千早 「ふうん?その言葉、今夜後悔するよ?」

  後悔させてくださいっ!

主人公「なっ、何するつもりですか・・・」

千早 「それは秘密。でも、今までに経験したことのないようなことかもね」

  どんなんでしょうか・・楽しみなんですけどо(ж>▽<)y ☆

未来 「お二人さん、いちゃつきたい気持ちはわかるけど、もうそろそろ行かないとレース始まっちゃうよ」

主人公「ごめん、今行きます!」

千早 「ふふ。さあ、行こうか」

千早さんは私の手を取って走り出した。

(きっとこの一瞬も、一生忘れない宝物になるんだろうな・・・)

真っ青な空の下で、華奢なようで大きな千早さんの背中を見ながら、そう思った。