数日前に、維新の会の馬場代表が、自党を「第二自民党」になぞらえた発言をしたことが左派・リベラル界隈の中で大いに話題になり、左派の諸君はいつものように嘲笑でもって答えている。あたかも嘲笑で政治を変えることができるかのように。
 根本的な世界観と基本政策が先鋭に異なっていたかつての保革対立の構図こそが、日本政治の行き詰まりを生み、「政権交代ある民主主義」を不可能にしたのだという口実のもとに推進されたのが、1993~94年の「政治改革」であり、この長年来の政治的ぬるま湯構造を打破するという触れ込みで導入されたのが小選挙区制だった。この小選挙区制こそ、旧来の保革対立に代わり、第一自民党と第二自民党との対立を中心とする政権競争構造をつくり出そうとするものだった。「さざ波通信」に結集した党員たちをはじめ、少なからぬ良識ある人々は、この「政治改革」の目的がまさに第一自民と第二自民という不毛な対立しか残さない政治状況をつくり出すことだと指摘していた。
 ところで当時、小選挙区制を必死で推進したのが誰だったか? 社会党の主流派であり、『朝日』『毎日』などのリベラル派のメディアであり、筑紫哲也や久米宏のようなリベラル派のニュースキャスターであり、現在、立憲民主などにいる(あるいは、いた)リベラル派の政治家たちであり、後房雄や山口二郎のような左派系知識人たちだった。彼らは当時、まるで何かに憑りつかれたかのように、小選挙区制を夢中になって推進したのである。それが当初から目指していたものをついに実現しようとしている今日、嘲笑することしか知らないとは驚きである。

 われわれが理解するべきなのは、維新の会の代表がこういう発言したからといって、彼らの支持が大きく減ることはないという自信が彼らにあることであり、実際そうだろうという厳然たる現実である。そもそも立憲民主党を構成しているのは、かつて小選挙区制を導入した連中およびその後継者たちであり、彼ら自身が、根本的な世界観と基本政策の点で自民党と何ら変わらないのであり、事実上の第二自民党なのである。違うのは、立憲がリベラルを気取る第二自民党であるのに対し、維新はリベラル嫌いの第二自民党であるという点だけである。

 リベラルを気取る第二自民党が何ら魅力ある政策を打ち出せず、左右どちらから見ても頼りがいのない政党であるとみなされて、しだいに没落し、政権交代からますます遠ざかっている中で、着実に議席と得票数を伸ばし続けているのが日本維新の会である。彼らはリベラルの看板を最初から唾棄し、新自由主義とナショナリズムを結合しつつ、大阪を基盤にして庶民階層のルサンチマンを組織することで、着実に勢力を伸ばしている。

 左派がやるべきことは嘲笑ではなく、冷静な分析である。このような事態を生み出した政治的・社会的状況を、自己批判を含めて冷厳に分析し、いかにして日本維新の会の着実な前進に対抗するべきかを真剣に考え、本気で実践することである。

2023/7/29 一投稿者