このたび、日本共産党の衆議院議員を10期もつとめた穀田恵二氏(76)が次回の衆議院には立候補せず、政界を引退するという話が、メディアでも少し取り上げられて話題になった。小池晃書記局長は6月23日の会見で「党派を超えて非常に信頼を集めた政治家。言葉には尽くせないぐらい大きな役割を果たしてこられた」と語ったとのことである。われわれも、長きにわたって共産党の国会議員として活躍されてきた穀田氏に、心からねぎらいの言葉をかけたいと思う。

 ところで、偶然なことに、『さざ波通信』の創刊号に掲載された「雑録」の最初の投稿はまさに、当時はまだ50代で若手議員のホープと言われていた穀田恵二氏の言動を批判するものであった。その投稿の最後に書かれた次の一節は、その後の4半世紀近くにおける共産党の「変質」を、残念ながら見事に予言するものになっている。

 

「典型的な団塊世代であり党の中核を担っている穀田恵二氏は、かつてイタリア共産党を完全なブルジョア改良主義政党に変質させるイニシャチブをとったオケットらと同世代であり、おそらく同じ政治的感覚を有している。違うのは、オケットらが、古い世代の抵抗を押しのけて、自ら党の多数派をとるだけの政治的能動性を発揮したのに対し、穀田氏にはそのような能動性のかけらもないことである。

 この違いは、両政党の歴史的伝統の違いに起因している。イタリア共産党が曲がりなりにも、党内討論の自由と意見分派の自由を認め、自らの政治的意見にもとづいてグループを形成し多数を獲得することをめざすという政治的訓練を中核党員が積んでいたのに対し、日本共産党はそのような政治的訓練を積むいかなる機会も党員に与えてこなかった。それだけに、日本共産党の変質は、イタリア共産党のようなラディカルな断絶を通じてではなく、党と指導部の一枚岩という体裁を維持しつつ、行きつ戻りつの漸進的過程をたどるだろう。」

 

 まさにここに書かれているように、日本共産党の変質は、「党と指導部の一枚岩という体裁を維持しつつ、行きつ戻りつの漸進的過程をたど」っている。この予言が現実になったことを心から残念に思うとともに、その責任の一端を明らかに担っている穀田氏に、政界引退にあたって、この点の率直な政治的反省を求めたいと思う。

 

2023/6/25 一投稿者