激動?の3月が終わった
宮内市議や大山県議はSNSでの発言を問題視されたようだが、党中央が自らすすんで討論の場をホームページに設けるなら、あえて「勝手に発表する」者などいなくなるであろう。「党規約の精神」を言うなら、党機関が「党内で民主的な討論」に努めたかどうかが真っ先に問われなければならない。
党機関の諸君においては、SNSでの党員の発言に目を光らし、有能な人材にケチをつけては追い出すことが自分の首を締めていることと同じだということに早く気づいてもらいたい。
不破前議長について
私はS・T氏のような個人的思い出はない。何度か演説で見かけただけであり、宮本顕治氏ほどではないが近寄りがたい印象を受け、もっと親しみやすい人が党首だったらよかったのに、と思ったものだ。とはいえ、彼は理論家として絶対的権威があり、私も入党後しばらくはせっせと彼の著作を読み込んだものだった。
私がその不破氏に見切りをつけた、あるいは彼の限界を知ったのは、『日本共産党に対する干渉と内通の記録』(1993年)だ。『スターリンと大国主義』を書いた彼が、ソ連共産党の秘密文書をもとに書いたと聞いて期待し、出版されるや即購入して読み始めたが、私は上巻を読む途中で投げ出してしまった。彼が立てた仮説=ストーリーに沿ってそれに合致しそうな資料を引用して推測・証明してみせるというそのスタイルに我慢ならなかったのだ。これは、スタイルだけをみればヘーゲル歴史哲学の目的論と同じ、断じてマルクス(主義者)のやり方ではない、と。
もっとも、不破氏はそれなりにスターリン主義批判を行なってきた。でもそれは、あくまで日本共産党の自主独立の立場がマルクス主義に合致したものであることを証明する目的だけのものだ。彼の最大労作『スターリン秘史』(全6巻、2014年~2016年)もしかりである。
この労作は、一言でいえば、スターリンのもとでソ連が社会主義とは無縁の体制に変質したのは「大テロル」以降であることを「証明」してみせるものだ。その理論面での変質は、「大テロル」の本格的な展開を前にした一九三七年二月〜三月の中央委員会総会での報告「党活動の欠陥とトロツキスト的およびその他の二心者を根絶する方策について」※にはじまるとし、以後のスターリン理論としての世界観、経済学、社会主義論、革命論の誤りを批判してみせる。
何か抜けていないか? そう、党組織論(民主集中制)である。日本共産党の決定や文献ではスターリンは「民主集中制」を踏みにじったとされるが、党首が「民主集中制」を踏みにじることが可能だったのなら、それを防止する仕組みが必要だろう。「スターリン批判」後の各国共産党では、問題は個人崇拝に矮小化され「集団指導」がそれを防ぐ手立てだとされてきたが、それによってスターリン主義的「変質」は決して解消されなかった。それだからソ連・東欧諸国は崩壊した。個人による独裁であろうが、少人数の幹部による寡頭制であろうが、そこにまともな民主主義などなかったのである。
では、どこに問題があったのか? どう改革すべきなのか? 不破氏が挙げるスターリンの「党活動の欠陥とトロツキスト的およびその他の二心者を根絶する方策について」を読めば答えは自ずと見える★。
党首や指導部が批判者をもはや同志とみなさず、外国や権力の手先、スパイ、あるいは単に権力に射落とされた者と断定する、烙印を押された批判者はそれを覆すことができない——この粛清システムこそ破壊されなければならないのである。役職定年制、批判意見の公開や多数派工作の自由、対立候補のある選挙、非専従者による党機関の監査・監視機関の創設など、指導部による粛清を防止するシステムの構築が必要だ。
※「党活動の欠陥とトロツキスト的およびその他の二心者を根絶する方策について」をスターリンが書いた頃、トロツキーはソ連の変質を主張する『裏切られた革命』を書いたが、不破氏の単純変質論にはそれを凌駕するものがない
★スターリンは、トロツキストや外国の手先が党や行政機関に潜入しているが、指導部が経済建設の成功に浮かれ政治的無頓着に陥っているがためにそれを見落としている、とした。だから指導部は、経済建設だけでなく政治的側面にも目を向けなくてはならない。トロツキストは「もはや労働者階級の政治的潮流ではない」ことに留意し、トロツキストとの新しい闘争「すなわち討論の方法ではなく、新しい方法、すなわち根絶と粉砕の方法が必要である」。指導部に対する批判者は善意の批判者にみえても本心は別のところにある「スパイ」であり反党・反ソの破壊者だ。—— 指導部に対する批判者が「もはや労働者階級の政治的潮流ではない」とすれば、彼らは同志ではなく敵とみなされる。「討論」ではなく「根絶と粉砕の方法が必要」だとすれば、批判者たちは「民主集中制」の外に置かれることになる。早い話、スターリン時代にあっては「大テロル」と「民主集中制」 は両立していたのである
管理人(2026/4/1)