先日、
5月17日から19日までお客様と沖縄に
ご一緒させて頂きました。

ご夫婦2組と私の小さな旅行です。

埼玉から80歳代のご夫婦はご主人様が元左官さん。
職人の頭として仕事に精を出し、下のモノを連れて飲み、
遊び、70過ぎまで現役を張っていたそうですが、
仕事を辞められてから
気が抜けたのか5年前に脳梗塞で倒れられたそうです。

現役の頃、会社の旅行であちこち出かけていたのですが、
沖縄だけは行くチャンスがなかったとのことで、
今回、ご紹介で旅行にご一緒させて頂きました。

朝、4時に起き、
新越谷からリムジンバスに揺られ、
羽田空港に7時過ぎに着いたそうです。
(飛行機の出発は10時)


私「昨日は眠れましたか?」
お客様「いや、一睡も出来なかった。」


遠足の前日の子供と同じです。
興奮して眠れなかったそうです。


搭乗ゲートまで車椅子で進み、飛行機の近くまで来たら
ご主人、突然顔がくしゃくしゃになりました。

花粉症かと思ったら、ご主人、泣いています。


「まさか、また旅行に行けると思わなかった。」


80歳にして、初めての沖縄です。


2時間と40分のフライトの間、
ご主人様は一睡もせず、
窓の外をずっと眺めていらっしゃいました。
(奥様はうとうとされていました。)


那覇空港に着陸した瞬間、
お客様の目的は達成されました。


ホテルがどことか、
どこを観光するとか、


そんなことは関係ない旅です。


沖縄の空気と匂いと、人の温かさがあれば、
もう充分な感じでした。


「行った先で、何にもしなくていい旅行ならまた行きたい。」


そうおっしゃったご夫婦の言葉に、
私たち観光に携わるものが帰らなければいけない原点が
あると思いました。


観光地を作って、
人を呼び込むと言う考え方には、私は反対です。


 今、そこにあるもの。
 今、すでにある魅力。


それは空気かも知れません、野に咲く花かも知れません。
道ばたを歩いている人かも知れません。
目には見えない、その土地の歴史かも知れません。


日本はどこへ行っても、
素晴らしい土地の魅力がそれぞれにあります。
その魅力を磨いて、誇りに思えば、自然と人は集まります。

あまりテクニックに走らないで、
じわりと輝くいぶし銀のような土地であって欲しいと願います。

沖縄の良さは、
あの時間が止まってしまったかのような空気と、
島の人が全員優しい、あの人肌です。
どこからともなく聞こえて来る三線の音色もいいですね。

それだけで充分です。

帰りたくなくなる島、沖縄。


また機会を見つけてお邪魔します。

お世話になった皆さま、ありがとうございました。