東京Crazy9の監督に就任して一年目、まさにゼロからのスタートで、気がついたら6ヵ月が過ぎていた。
シーズン序盤は公式戦でも勝ったり負けたりがつづき、監督の難しさを実感することに。
ただ監督の楽しさもたくさん味わった。僕はこのチームで歳は上のほうだから、こうして監督をしていると、各選手がまるで自分の息子のように感じることがある。僕を慕ってくれ、声をかけてくれる選手達。その存在だけでありがたいし、選手一人ひとりが毎週火曜日に野球を楽しんでもらいたい、その気持ちだけでこの半年を過ごしてきた。
そして現在、公式戦は7勝3敗1分となり、あと2試合を頑張れば、プレーオフ進出も夢ではなくなってきた。一球一球を大切にし、真剣に野球に取り組んでくれる選手に感謝である。
そして今日は、大蔵リーグでともに戦うエイジアキッチンさんとの練習試合。エイジアの荻野大監督と僕は同い年なのだ。彼は監督経験も長いが、僕は一年生。大ちゃんが店長を務める三軒茶屋の居酒屋「35番」に通うようになり、何度となく野球談議をする仲になった。野球仲間であり、親友である。大ちゃん、そう言ってもいいよね?
彼とは男の約束があった。
「一度、監督同士で投げ合いましょう!」
大ちゃんがそう提案してくれ、僕もいつか実現できる日を夢見ていた。
そして本日8月20日が、その日となった。
僕は投手経験も浅い。今シーズンから少し投げ始めたばかりだ。
大ちゃんはチームのエースとして毎試合投げている。
正直、僕には自信がなかった。
「もし大ちゃんがトップバッターだったら、一人だけ投げようかな」
ちょっと弱気に、そんなことを言ったこともあった。
「それじゃあ始球式じゃん!」
ちょうどその日、35番で一緒に飲んでいた同世代の野球仲間・三好さんと大ちゃんから、同時にツッコミが入った。
よし、とにかく頑張るぞ!
そのとき、心は決まった。
しかし監督同士の投げ合いが実現するまでには、もうひとつの山を越えなければならなかった。
実は試合前日になっても、うちのメンバーが9名揃わず、助っ人を含め、いろいろな方法を試みたが、なかなか難しい状況だったのだ。そんなとき、大ちゃんは一緒になってメンバー集めに協力してくれた。自分のチームではない、相手チームのためにである。彼はそういう男気に溢れた人間なのだ。その気持ちが本当に嬉しかった。そしてうちのチームのメンバーも選手集めに協力してくれて、何とか9名を確保することができた。
そう、僕は前日も選手が揃うかどうかに全神経を集中していて、自分が登板する準備はほとんど何も考えないまま、大蔵総合球場へ向かうことになったのだ。
そして試合が始まる。この日のオリジナルメンバーはわずか5名。でもそのメンバーが頑張ってくれた。1番大谷、2番一雄、3番桐谷、4番永野の四選手が全員ヒットで、1回から3回までに大量7点を取ってくれた。
僕は桐谷捕手のミットをめがけ、速くもないストレート、何とか曲がるカーブ、最近覚えたツーシームなどを交え、暑さにも負けず、一球一球を必死に投げた。ランナーは毎回のように出た。でもホームだけは踏まさないよう、ただひたすらに投げた。回は進んでいく。スコアボードには初回からまだ0が並んでいる。
桐谷君は一球ごとに「ナイスボール」と声をかけてくれた。一雄や、永野君、大谷君も。
そして僕は桐谷君のリードと内外野の守りに助けられ、未踏の領域だった7イニング完投を達成することができたのである。そしてスコアボードは0のまま。人生初の完封勝利が現実のものとなった。
本当に信じられなかった。
野球センスもなく、大したボールも投げられない僕が、この結果。
まさに野球はチームのスポーツだと実感した。9名の誰が欠けても成り立たない。全員野球だからこそ、感動的な結果が生まれるのだ。
ちょうど今は甲子園のベスト4が出揃った時期。
今日だけは休養日で試合がなかった。
その日、世田谷の小さな甲子園で、野球をする仲間がいた。
大ちゃん率いるエイジアキッチンさんと試合ができて嬉しかった。
Crazy9のこの仲間と野球ができてよかった。
この日は、僕の祖父の命日でもあった。
空からそっと見守ってくれたのかもしれない。
最高の野球日和。
ウイニングボールは、僕の野球人生のなかで、大切な宝物となった。
シーズン序盤は公式戦でも勝ったり負けたりがつづき、監督の難しさを実感することに。
ただ監督の楽しさもたくさん味わった。僕はこのチームで歳は上のほうだから、こうして監督をしていると、各選手がまるで自分の息子のように感じることがある。僕を慕ってくれ、声をかけてくれる選手達。その存在だけでありがたいし、選手一人ひとりが毎週火曜日に野球を楽しんでもらいたい、その気持ちだけでこの半年を過ごしてきた。
そして現在、公式戦は7勝3敗1分となり、あと2試合を頑張れば、プレーオフ進出も夢ではなくなってきた。一球一球を大切にし、真剣に野球に取り組んでくれる選手に感謝である。
そして今日は、大蔵リーグでともに戦うエイジアキッチンさんとの練習試合。エイジアの荻野大監督と僕は同い年なのだ。彼は監督経験も長いが、僕は一年生。大ちゃんが店長を務める三軒茶屋の居酒屋「35番」に通うようになり、何度となく野球談議をする仲になった。野球仲間であり、親友である。大ちゃん、そう言ってもいいよね?
彼とは男の約束があった。
「一度、監督同士で投げ合いましょう!」
大ちゃんがそう提案してくれ、僕もいつか実現できる日を夢見ていた。
そして本日8月20日が、その日となった。
僕は投手経験も浅い。今シーズンから少し投げ始めたばかりだ。
大ちゃんはチームのエースとして毎試合投げている。
正直、僕には自信がなかった。
「もし大ちゃんがトップバッターだったら、一人だけ投げようかな」
ちょっと弱気に、そんなことを言ったこともあった。
「それじゃあ始球式じゃん!」
ちょうどその日、35番で一緒に飲んでいた同世代の野球仲間・三好さんと大ちゃんから、同時にツッコミが入った。
よし、とにかく頑張るぞ!
そのとき、心は決まった。
しかし監督同士の投げ合いが実現するまでには、もうひとつの山を越えなければならなかった。
実は試合前日になっても、うちのメンバーが9名揃わず、助っ人を含め、いろいろな方法を試みたが、なかなか難しい状況だったのだ。そんなとき、大ちゃんは一緒になってメンバー集めに協力してくれた。自分のチームではない、相手チームのためにである。彼はそういう男気に溢れた人間なのだ。その気持ちが本当に嬉しかった。そしてうちのチームのメンバーも選手集めに協力してくれて、何とか9名を確保することができた。
そう、僕は前日も選手が揃うかどうかに全神経を集中していて、自分が登板する準備はほとんど何も考えないまま、大蔵総合球場へ向かうことになったのだ。
そして試合が始まる。この日のオリジナルメンバーはわずか5名。でもそのメンバーが頑張ってくれた。1番大谷、2番一雄、3番桐谷、4番永野の四選手が全員ヒットで、1回から3回までに大量7点を取ってくれた。
僕は桐谷捕手のミットをめがけ、速くもないストレート、何とか曲がるカーブ、最近覚えたツーシームなどを交え、暑さにも負けず、一球一球を必死に投げた。ランナーは毎回のように出た。でもホームだけは踏まさないよう、ただひたすらに投げた。回は進んでいく。スコアボードには初回からまだ0が並んでいる。
桐谷君は一球ごとに「ナイスボール」と声をかけてくれた。一雄や、永野君、大谷君も。
そして僕は桐谷君のリードと内外野の守りに助けられ、未踏の領域だった7イニング完投を達成することができたのである。そしてスコアボードは0のまま。人生初の完封勝利が現実のものとなった。
本当に信じられなかった。
野球センスもなく、大したボールも投げられない僕が、この結果。
まさに野球はチームのスポーツだと実感した。9名の誰が欠けても成り立たない。全員野球だからこそ、感動的な結果が生まれるのだ。
ちょうど今は甲子園のベスト4が出揃った時期。
今日だけは休養日で試合がなかった。
その日、世田谷の小さな甲子園で、野球をする仲間がいた。
大ちゃん率いるエイジアキッチンさんと試合ができて嬉しかった。
Crazy9のこの仲間と野球ができてよかった。
この日は、僕の祖父の命日でもあった。
空からそっと見守ってくれたのかもしれない。
最高の野球日和。
ウイニングボールは、僕の野球人生のなかで、大切な宝物となった。






















