199勝目をあげた山本昌投手に、落合監督は厳しい。
去年、今年と甘い言葉をかけたことはないんじゃないかな。
そういう態度に疑問を投げかけるファンも多いだろう。
これだけの貢献者、もっと配慮があってもいいのでは……と。
そこにはまた落合マジックが隠れている気がしてならない。
もちろん昌にはっぱをかける意味はあるだろう。
絶対に200勝させたいからこそ、このベテランに改めて野球の恐さを教えている。
でも山本昌であり立浪であり、この20年ドラゴンズを支えてきた男たちは、
それを一番肌で感じていて、理解もしている人間だ。
何よりこの二人の努力、野球に対する真っ直ぐで真摯な姿……。
それは中日ファンならずとも感じ取っているはずである。
この二人が驕ることはない。どこまでも謙虚だ。
では何故、落合監督がベテラン二人(井上選手も含めれば三人か)に対してここまで厳しいのか。
昌を二軍に落とし、和義をレギュラーから外し、一樹に開幕二軍を命ずる……。
それは、ここまで野球に真摯で手を抜かない選手にこそ厳しく接する監督の姿を若手に見せつけるためだ。
実績もある、経験もある、人間性も兼ね備えている――そんな彼らも野球の恐さからは逃れられない。
年齢から来る体力の衰えとは正面から対峙しなければならない。
自分に甘さを見せないベテランに監督がとことん厳しい目を向ける意味……。
それを見た若手が何かを感じ取らなければいけない。
もちろんそれは自分のために……。自分の選手寿命を一年でも伸ばすために。
実績・経験で大きく離されていて、努力でもベテランに負けていたら、若手がレギュラーを獲れるわけがない。
もちろん将来性では勝っているだろう。
でも二、三年のうちにレギュラーになれればいい――なんてことを考えていたら、ずっと二軍で燻ることになり兼ねない。
今年も来年だって新人が入ってくるのだから。
山本昌、立浪、井上に見せる監督の厳しい目は、その先にまで通じ、若手全員に向けられている。
堂上兄弟、森岡……。もうそろそろ大器の片鱗を見せても良い頃だ。
オリンピックの期間、彼らのうち誰が一軍に上がるのか。
最大のチャンスである。
一年間一軍で闘える体力を二軍の試合でつけ、夏のワンチャンスを活かす。
そういう意味で今年は若手にとって恵まれているのかもしれない。
そしてベテランに厳しい落合監督は、山本昌、立浪、井上にそれぞれの役割そしてチャンスを与えている。突き放しているように見えないこともない日々もあったが、見捨てることは決してない。
それはウッズに対しても。
中村紀にも彼の入団以来ずっと甘い目を見せてこなかった。
紀は中日で野球ができること(野球の考え方という面で)が本当に嬉しいそうだ。
開幕直後ヒットが出なかった和田は首位打者が射程の距離まで上がってきた。
井端のしぶとさ、怪我に負けない強さはドラゴンズでナンバーワンだろう。
レギュラー陣の中で最も謙虚――それは荒木だと思う。
ここ数年、僕の中で荒木選手の野球の取り組み方はじんじん肌に伝わってくる。
キャンプでの過ごし方、30歳を越えて尚とことん身体を苛め抜く、己の限界に挑戦する――やはりこの姿勢はすごい。荒木選手は野球人という枠を超え、どの業界でも通用する人間としての資質があると思う。彼のプレーから仕草から、人としていっぱい学びたい気持ちだ。
そして脂の乗り切った森野選手――オリンピックでも活躍してほしい。
投手の両輪、川上・岩瀬も同様に。