先月読んだ三浦しをんさんの「ののはな通信」。
しみじみといい話でした。
ネタバレになるので感想は書きませんが、この
本について書いておきたいことがあります。
〈カバーの裏表紙のあらすじに惑わされるな〉
この小説が文庫化されたのは2年前。三浦
作品のファンである僕はさっそく書店で手に
とりました。文庫本のカバーの裏表紙には、
簡単なあらすじが書いてあることが多いので、
レジに持っていく前に見てみると、そこには
こんな文章が書かれていました。
《ミッション系のお嬢様学校に通うののとはな
は、気の合う親友同士だ。(中略)不器用に
始まった二人の恋は、ある裏切りによって崩れ
始めて・・・。一生に一度の運命の恋が、その
後の人生を導いてくれる。(後略)》
(ん? これって女子高生の同性愛の話か?)
そう思ったらなんとなく気が進まなくなり、僕は
手にとった本を書棚に戻してしまったのです。
そして今年の6月中旬。書店で再びこの本が
目に入り、やはり読んでみよう、と購入。
前半は確かに女子高生の同性愛の話なの
ですが、二人の恋愛話はほぼ真ん中の第二
章の終わりまで。第三章からは大人になった
二人のそれぞれの人生と心の動き、日本にい
ては想像もつかない異国の地で生きるはなの
成長などがメールのやり取りの形式で丁寧に
描かれていき、思いがけない結末まで一気に
読ませてくれる名作です。
あんなあらすじに惑わされず、あの時買って
帰ればもっと早くこの話に出会えたのに。
そんな風に思いながら後半を読んでいました。
「ののはな通信」
とてもいい小説です。
ぜひ、夏休みに読む本に加えてくださいね。