【ライブ】7/10中井智彦「ウタツムギー愛がカタチになったならー」(③アフタートーク編) | あずさの時々観劇レポ

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大人になってからのミュージカルファン。神田恭兵さん、中井智彦さんのファンです。どうしても書き溜めておかないとと思った舞台の観劇レポを時々綴ります。

(ストーリー編)

(楽曲編)

の続きです。

 

 70分間のライブのあとに、休憩を挟んで、後半に出演者全員によるトークショーがありました。これが中井さんと皆さんのこのライブにあたっての想い、と制作過程の様子をたっぷり聞かせていただける、とても楽しく、あたたかく、面白いお話でした。

 

 まったく新しい形のライブを、一から作り上げる過程のお話はとても楽しくて、また作った中井さんや須澤さん、いつも最高な形で中井さんに寄り添う長濱さん、中井さんプロデュースでいつも素晴らしい輝きをみせる貴以さんが、それぞれ新鮮なチャレンジとして楽しみながら創作していた様子がよく想像できました。

 

 トークショーの最後に、このコンセプト・ライブのゴールだったはずの須澤さんの楽曲、「はんぶんこ」を、「サプライズで」聴かせていただきました。たしか、中井さんの最初のお話では、とても素敵な須澤さんの楽曲があり、それをお話の終着点にこのライブを構想している、とのことでした。それが、「はんぶんこ」だったそうです。

 

はんぶんこ(須澤紀信)

 

 

 

 

M14 「はんぶんこ」(須澤紀信)【Vo. 須澤紀信さん】

 「僕の半分を君にあげるよ だから君の半分を僕にください

  そうやってできた二人なら どこか半分 見ていて面白い」

 というフレーズが印象的なこの曲は、とても須澤さんらしくて、ライブの冒頭で「中井智弘」さんが歌い、中井(智彦)さんがトークショーの中で特に好きだと話していた、須澤さんオリジナルの楽曲「りんご」へのリプライのような、それぞれ別の個性を持つ「僕」と「君」が、それぞれの半分を持ち寄れば、「おんなじ」と「ちがう」が半分この、居心地がいいと同時に新鮮な関係になれるんだと歌う優しい歌です。

 ああ、なんて須澤さんらしい曲なんだと、須澤さんのことをほとんど知らないのに、ライブの最後にその歌声でこの曲を聴かせていただいて、しみじみ思いました。

 1部のライブの最後に歌われた2人のデュエット、「触れる」は物語の2人の世界の終着点で、このウタツムギの物語にぴったりな、深くて愛にあふれた、素敵な曲でした。

 そしてこの「はんぶんこ」は、ストーリーテラーの須澤紀信さんの語りの締めとしてのゴールの曲、という風に感じられました。そんなふうに、私にはすとんと腑に落ちました。

 

 「最後の最後に、「愛がカタチになったなら」のフィナーレをもう一度4人で演奏して終わりたいと思います」という中井さんのご挨拶があり、再び。

 

M15 「愛がカタチになったなら」(Fin.)【Vo.須澤紀信/中井智彦/水野貴以】

 このウタツムギの中で、何度となく歌われてきた「愛がカタチになったなら」を、より自由で情感豊かなアレンジで。須澤さんが歌い始めて、貴以さんが続き、その貴以さんパートがまたとても素敵で、続く中井さんはまたとても中井さんらしく。3人の個性がそれぞれ素敵に際立ち、楽曲の美しさや豊かさもより立体的になった、とても素敵なアレンジのフィナーレでした。長濱さんのお仕事のはず...長濱さん、本当にありがとうございました。

 

 中井さんと須澤さんが、つなぎの時にとてもいいお話をしてくれました。

 「須澤君と一緒に作品を作るのが夢だったんで、こうして形にできて嬉しい」と、中井さん。それを受けて、須澤さんが、「今回の新しいステージをジャンル分けするのが難しかったんです」と言えば中井さんが、 「このジャンルは、須澤紀信です」。ここでスタッフさんに「巻きで」と指示されつつも、「今回で終わるわけではない。やっている側としてもとても感動するライブになったので、またこれからも続けていきたい」という、嬉しいお話が須澤さんの言葉でありました。

 

 シンガーソングライターの須澤さんが「歌わない役」ってどういうことなんだろう?それでいいんだろうかと、勝手に心配したりもしたのですが、このライブを観せていただいて、よくわかりました。シンガーソングライターとは、1曲の世界観を頭の中に描き、それを音楽にできる人。その力は、1曲にとどまらず、何曲ものそれぞれバラバラな音楽をつないで、結びつけて1つの物語に束ねる、そんな大きな構想も描けるということなんだ、と。須澤さんの頭の中の宇宙をみた気がしました。中井さんは、「須澤くんの頭の中は無限です」と、言っていました。

 

 中井さんのプロデュースするミュージカルライブのセットリストの素晴らしさは、誰もが認めるところですが、Jpopを選ぶとどうしても暗い曲ばかりになってしまう。ただ、今回、コロナ禍で企画されたこのコンセプトライブの前提に、「皆さんに温かいものを届けたい」という想いがあったそうで、今回はどうしても温かい作品を作りたかった、そうでした。

 

 とてもあたたかいものが、あの日のライブハウスの空間に満ち満ちていました。とても幸せな時間でした。

 

 最後に、「花は観手に咲く」という世阿弥の言葉を引いて、終演後に皆さんにアンケートしたいと言われていた、須澤さん。昼、夜2公演観せていただいて、私の心には色とりどりの、あたたかくてやさしいお花がたくさん咲きました。中井さん、須澤さん、ウタツムギを生み出してくださって、本当にありがとうございました。長濱さん、貴以さん、寄り添い、完成させてくださって、ありがとうございました。またすぐに、ウタツムギの世界に再会できる日を、心待ちにしています。

 

  配信は終了してしまいましたが、PVは見られます。とても素敵です。是非ご覧ください。↓

 

 

(完)

読んでくださって、ありがとうございました。

ウタツムギ、再演の際は是非、ご観劇ください!