【転記】睡眠薬を飲む中高年にリスクが… 骨折しても「記憶がない」 安易な処方に警鐘も | Love! Music& Love! Life

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パソコン 【暮らしの注意報】睡眠薬を飲む中高年にリスクが…
骨折しても「記憶がない」 安易な処方に警鐘も

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160528_不眠症治療に使われる主な睡眠薬











熟睡できず、すぐに目覚めてしまうといった「不眠」の悩みを持つ人は、
中高年層ほど多く、睡眠薬を服用する人も少なくない。睡眠薬は不眠症の
治療に有効だが、特に高齢者の場合、副作用による転倒や骨折をはじめ
とするリスクが高まることが分かっている。不眠症の改善には生活習慣の
見直しとともに、的確な処方に基づく、適切な服薬が大切だ。(戸谷真美)

■即効性の一方で…

「1晩でいいから熟睡してみたい。それができたらずいぶん楽になると思う」

東京都内に住む50代の会社役員の男性はそう話し、ため息をつく。仕事上
のトラブルをきっかけに不眠症になり、睡眠薬を服用するようになって10年
以上。薬を飲めば眠れるが、2、3時間で目覚めてしまうという。

現在、男性は鎮静剤や抗不安薬としても広く使われてきたベンゾジアゼピン
系(BZ系)と呼ばれる睡眠薬を2種類飲んでいる。BZ系の薬は、脳の神経
伝達物質の働きを抑えることで、眠りをもたらしたり、不安を抑えたりする
ことができ、即効性も高い。一方で眠気が残る、ふらつくなどの副作用のほか、
適正に使用しなかった場合などに依存性が高まることも報告されている。

男性は数年前、数種類のBZ系睡眠薬を飲んで目覚めた朝、自宅で転倒し、
肋骨(ろっこつ)を骨折した。「家族の話では、転んだときにすごく大きな音が
したらしいのですが、記憶がない。夜になってから、初めて猛烈な痛みを
感じた」

■効果よりリスクも

BZ系睡眠薬の副作用について、睡眠の専門医で「スリープ&ストレス
クリニック」(東京都品川区)の林田健一院長は「BZ系の薬には筋弛緩
(しかん)作用もある。特に高齢者の場合は、適切に処方、服用できないと、
不眠改善効果よりも転倒や骨折、健忘などリスクの方が高くなってしまう」と
指摘する。

不眠に悩む人は年齢が上がるほど増える。日本睡眠学会などが平成25年に
公表した「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」では、
不眠症が高齢者に多く、睡眠薬に治療効果がある一方、転倒や骨折が増加
するという報告があると指摘。こうしたリスクを高めるとして、BZ系睡眠薬を
推奨しないことを明記した。

また、日本老年医学会も昨年、10年ぶりに「高齢者の安全な薬物療法
ガイドライン」を改定。75歳以上の人に「特に慎重な投与を要する薬」として、
一部の向精神薬などとともに、BZ系睡眠薬などを挙げ、安易な処方に警鐘を
鳴らした。

■新たな選択肢を探す

現在、睡眠薬として使われている主な薬剤には、BZ系のほか、より副作用が
少ないとされる非BZ系、体内時計を整えることで症状を改善するメラトニン
受容体作動薬、脳の覚醒を維持する物質の働きを弱めることで眠りに導く
オレキシン受容体拮抗(きっこう)薬がある。

後者の2つは、それぞれ22、26年に承認された新しい睡眠薬。林田院長に
よると、メラトニン受容体作動薬は、即効性はないが、昼夜逆転の生活に
なってしまっている人の生活リズムを無理なく整える働きがある。オレキシン
受容体拮抗薬は、眠気が残るなどの報告がある一方、依存性が少なく、
より自然な睡眠を得ることができるとされる。「それぞれの薬にメリットと
デメリットがあり、患者さんのニーズも違う。不眠に悩んでいたり、
現在の薬が合わないと感じたら、できるだけ専門医を受診してほしい」

日本睡眠学会の認定医や認定医療機関は、同学会のホームページ
(http://jssr.jp/data/list.html)で確認できる。

(産経ニュース 2016.5.28 19:00)