《長野県無形民族文化財指定》
東筑摩郡筑北村坂北にある刈谷澤神明宮は祭神に「天照皇大神あまてらすおおみかみ」「天手力男命あめのたぢからおのみこと」「天萬栲幡千比賣命あめのよろづたくはたちはたひめのみこと」「豊受皇大神とようけのおおかみ」の4神で伊勢より奈良時代に勧進されたと伝承されている伊勢神宮系の神社である。伊勢神宮は、稲作の神様なので、このお田植え祭りが伝わっている。県内では、同じ伊勢神宮系の大町市宮本にある仁科神明宮でも3月15日に「作始めの神事」として同じ牛が鋤を曳く所作として伝えられている。
当日は、下方の集落からお神楽が神社に曳かれ奉納される。拝殿での神事を終えた後、拝殿前で御神楽が舞われ、その後のお田植え祭りは 「外神主」が祝詞と称する口上を奉じ「太郎」が張子の牛の手綱を取り、牛を抱えて御田代の式場内を鋤を持つ「次郎」とともに3回廻る。付人若干名が周りで鍬を取り掛け声に合わせ所定の動作を行う。見物人は、周囲の雪を投げつける。
坂北の造り酒屋の「山清」の濁り酒が四斗樽で供されるのも地元の方たちの楽しみのひとつでいるようだ。