今年(2024年)の2月に発行された、村上春樹著「デヴィット・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」(文藝春秋刊)を読みました。

 

   

表紙

   

カバー裏面

 

(帯に記載された本書の紹介)

 

チャーリー・パーカー、カウント・ベイシー、ビリー・ホリデイ、スタン・ゲッツ・・・ジャズの⻩⾦時代に数多くのジャケット・デザインを⼿がけた伝説的アーティスト、デヴィッド・ストーン・マーティン。彼がデザインしたレコードを敬愛し蒐集してきた村上さんが、所有する盤すべてをオールカラーで紹介。
⼿にとって⾒ているだけで素敵な⾳楽が聞こえてくる、極上のジャズ・エッセイ。

 

(感想など)

村上さんは、『ノーマン・グランツが制作した古い・・レーベルのレコードを、長年かけて集めているうちに自然に、彼(デヴィッド・スターン・マーテイン)のデザインした音盤が手元に溜まってしまった。』と、記していて、音楽を聴きたいから古いレコードを集めたという姿勢が素晴らしい。

 

とはいっても、彼の描いたジャケットは観ているだけで良く、この本の印刷の色合いも優れていて眺めているだけでも楽しめます。掲載されたアルバムについては、聴いたことのあるものもあり、著者の文章に共感したり、疑問をもったりと、読み進むのが至福の時間でした。

 

チャーリー・パーカーやスタン・ゲッツ、ビリー・ホリデイに関する記述が特に印象に残りました。クラリネットのアーティー・ショウについて、『ショウの評価は日本ではあまり高くないが、このあたりの演奏はもっと聴かれてもいい』と記されていて、僕も同様に思っているので、共感しきりです。

 

【文芸春秋社のこの本の紹介ページ】

 

『デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界』村上春樹 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS (bunshun.jp)

 

(本文に掲載されているジャケットから)

   

チャーリー・パーカー「South of The Border」(10インチ Clef)。『闘牛士姿のパーカーも鮮烈だ』と、著者は記しています。

   

フリップ・フィリップス「Swingin' with Flip」(Clef)。『ダンスをする男女の大胆なポーズのジャケット画によって、このレコードは有名になった。』と、著者は記しています。

   

オスカー・ピーターソン「Plays Cole Porter」(Clef)など、ソングライターの曲集。『ピーターソンは、ソングライターの曲集を二度出しているが、これは最初のモノラル盤(クレフ)の方』、『すべてDSMが描くピーターソンの同じ後ろ姿』と記しています。10枚出ているのですが、村上さんは9枚持っているそうです。僕は二度目のステレオ日本盤を2~3枚持っているだけです。

   

バディ・リッチ「Buddy and Sweets」(Norgran)。『嬉々としてドラムを叩き回るリッチの姿が生き生きと描かれている(真っ赤なシャツに、真っ赤なライド・シンバルがかっこいい)。』と記しています。

 

(この本に掲載されているアルバムを聴きました)

 

読んでいるうちにレコードを聴きたくなり、掲載されているアルバムを聴いてみました。もっとも、オリジナル盤は所持していないので、全て日本盤です。

 

長野市宅で聴いているところ。長野市では、CDを聴くことがほとんどですが、久しぶりにレコードを取り出しました。

スタン・ゲッツ(ts)「West Coast Jazz」(Norgran)。ゲッツがロサンジェルスで、現地ミュージシャンと録音したもの。デヴィット・ストーン・マーティン(DMS)の絵が素晴らしく、演奏もおおらかで明るさがあって好きなアルバムです。

   

レコードのラベル。ラベルも復刻されていて、DSMの描いたトランぺッターのロゴが入っています。これもかっこいいです。

スタン・ゲッツ(ts)、ライオネル・ハンプトン(vib)「Hamp and Getz」(Verve)。テナーサックスとヴィブラフォーンが熱い演奏を繰り広げています。

アーティー・ショウ(cl)「artie shaw and his Gramercy Five」(Verve)。村上春樹さんは、アーティー・ショウを評価していて、嬉しくなったので、取り出しました。