これは9月12日の
お話です。
桃の木が倒れた次の日、
植木屋さんは
運良く空いていたので
午前中すぐ来て下さって
桃の木を片付けて
下さいました。
そして植木屋さんは
同じく25年間
我が家の庭で
私達家族や道行く人を
楽しませてくれていた、
シデザクラ
(英名ジューンベリー)と
蝋梅の木も
根元から伐採して
下さいました。
シデザクラは
我が家が建売住宅を購入した時
シンボルツリーとして
はじめから植えられていた
ものでしたが、
何も肥料をあげていないのに
日当たりがいいせいか
ミミズが多いせいか、
見上げるような大木に
なってしまったのです

実は、
植木屋さんからは
もう何年も前から、
「この木は伐らないと
家の土台を傷めますよ。」と
忠告されていました

でも、
毎年春になると
綺麗な花を咲かせて
私達を楽しませ、
初夏には
可愛いサクランボみたいな
赤い実が成って
鳥たちを楽しませ、
秋には綺麗に紅葉して
また私達を
楽しませてくれる
シデザクラさんの事を、
こんなに元気なのに
伐ってしまうのは
しのびなくて、
私はずっと先延ばしに
していました。
同じく蝋梅さんも
大好きな花ですが、
植木屋さんから
根が張りすぎているから
伐らないと土台を傷めると
忠告されていました

だから私は
あらかじめ2本の木に、
「これ以上大きくなったら
あなた達を伐らないと
いけなくなってしまうから、
もうなるべく
大きくならないようにしてね。」と
話しかけていました。
でも、
植木屋さんから
「ジューンベリーと
蝋梅も
一緒に伐りましょう。」と
言われた時、
私はとうとう
「そうして下さい。」と
答えてしまいました。
桃の木さんは
自然に時が来て
終わりを迎えたのですが、
これは私が下した
決断です。
人間の都合で狭い庭に
勝手に植えられて、
自然にスクスク大きく
伸びただけなのに、
人間の(私の)都合で
無惨にも
伐られてしまうのです。
私は我が家の庭から
木たちがいなくなってしまう前に
夜のうちに
桃の木さんに丁寧に
お別れを告げました。
ジューンベリーさんにも
蝋梅さんにも
あなた達を明日
伐らなくてはいけない事と、
その事情を
詳しく説明しました。
そして自分の身勝手さを
本当にごめんなさいと
丁寧にお詫びしました。
さらに、
はなむけの言葉として、
今まで長い間
私達や鳥たちを
喜ばせてくれた事を、
たくさんの言葉を紡いで
花束のように捧げました。
翌朝、
植木屋さんが来る前にも
私は3本の木に
同じように言葉を掛けました。
最後に、
ちょうど亀戸天神様から
御神酒をいただいていたので、
東京大神宮様で
前にいただいた御神塩と一緒に、
木たちに注ぎ
ふりかけて、
愛と感謝を込めて
これから起こる苦しみを
いたわりました。
人からは
私がしている事を見て
何をやっているのかと
笑われるかも
しれなくても、
私にとってはどれも
このうちを建てた時から
朝晩私が話しかけて
とても可愛がっていた
木たちでしたから、
人とか鳥や虫と
同じように、
私にとっては
大切な友達だったのです。
桃の木さん以外は
私が植えた木では
ないのですが、
もう、
狭い家の庭に
大きくなる木は
けして植えませんから、
どうか許して下さいと
私は心の中で祈りました。
私は午前中は
用事があったので、
木を伐る所は
見ずに済みました。
お昼に帰宅したら
木は3本とも
綺麗さっぱりなくなっていて、
切り株だけが残っていました。
植木屋さんからは
メッセージが来ていました。
「家もそうですが
庭も維持には手間と費用が
かかりますので、
どこの家でも
年齢を重ねると同時に
縮小を考えていかなければ
いけないものです。
これからも
自分が維持出来る範囲に
とどめられるように、
木を伐ったりして
整えていきましょう。」と
書いてありました。
植木屋さんに
前々から声を掛けられて
いなかったら、
私も今回木を伐る事に
なかなか踏ん切りがつかなかったと
思うので、
前々から木達の見通しを
教えて下さっていた
植木屋さんには、
感謝しています。
どんなものも
いつどうなるのか
わかりませんから、
どんな時も
どんなものに対しても
悔いがないように
接していきたいです。