夫の父は
夫の母をものすごく
愛していたことは
間違いないのですが、

男性にありがちなように
夫の母に甘えて
何から何までしてもらう一方で、

相手を助けたり
相手を気遣ったりということは
ありませんでした。


夫の母が亡くなった日は
ちょうど夫の父が
便の潜血検査にひっかかり、
大腸内視鏡を受ける日でした。


夫の母が入院してからというもの
夫の父は小さな子供が
お母さんを探して
いくらなだめても
ただ泣きわめくように、

夫の母のビデオを
1日中視聴しながら
ひたすら泣き続けていて、

悲しみを抑えながら
現実の生活でしなくてはいけない
様々な事に忙しく動き回る
夫や妹達をよそに、

自分の殻に閉じこもる日々を
送っていました。


夫の母の意識が戻らなくなって
毎日面会出来るように
なってからも、

夫の父は静かな病棟で
大声で叫んで泣き崩れるので
毎回とても大変でした。


せっかく、
そんな夫の父を
夫の妹が一生懸命なだめながら
検査食を食べさせ
通院の準備をしているのに、

もしも夫の母が亡くなった事を
夫の父に知らせたら
ひどく取り乱して
検査を受けられない事は
明白だったので、

夫と妹達は
検査がすべて終わって
異常なしを確認してから、
夫の母が亡くなった事を
夫の父に打ち明けました。


それから葬儀までと
葬儀が終わってからも、

夫の父は何度も何度も
「どうしてお母さんが
亡くなった事を
僕に教えてくれなかったのか、
僕は〇〇(夫)達を恨む」と
ずっと言っていました。


その都度夫や夫の妹達は
丁寧に理由を説明して、
辛抱強く謝っていました。


それでも夫の父は
しつこく執念深く
グチグチと文句を
言い続けていました。


私は夫の父をお世話する役目を
担っていたので
その愚痴を毎回夫の父から
聞いていたのですが、

内心では心底
うんざりしていました。


私は、
以下の言葉を本当は
お父さんにずっと言いたくて、
たまりませんでした。


「そもそもお父さんが
そんなにも
取り乱さなかったら、

◯さんも◯子もちゃんと
お父さんに本当の事を
話してくれたはずですよ。


◯子達もみんな
お父さんと同じくらい
悲しいのに、

お父さんが何にも自分の事を
しようとしないから、

みんな仕事もして
他にもすごくやる事があって
大変なのに、

お父さんのご飯から通院から
身の回りの事を全部、
してくれてるじゃないですか。


それなのに、
お父さんへの
みんなのその優しさを
汲んであげないで、

そんなにいつまでもグチグチ
文句を言っていたら、

◯さん達が
可哀想ですよ。」と
私は本当は、
お父さんに
言いたかったです。


でも、
私は言うのを
我慢していました。