もう何年も前に

私は夫の母から

手作りの梅酒を持っていかないかと

声をかけられた事が

ありましたキョロキョロ



私も夫も帰省して

親から何か持って行けと

持たされた時、


それを無下にいらないと

断るタイプでは

ありません。



私はお酒が飲めないし

夫はお酒を飲むけれど

梅酒は飲まないので

本当はいらなかったのですが、


私は反射的に

「はい。

もらいます。」と

その時返事しました。



その時に夫の母が

ものすごく嬉しそうに

笑ったので、


私は夫の母が

私達の為に何か出来たと

喜んでくれて

良かったなぁ…と

思いました。



一升のリカーと

1キロの梅で漬けた

大きなビンに入った

夫の母手作りの梅酒は

結局誰も飲まずに

我が家の台所に

仕舞われています。



今回、

夫の実家の台所を

大掃除すると、


冷蔵庫からも

流しの下からも

一体どうしてこんなに?

思うくらいに大量の

梅酒と梅干しが

出て来たのですガーン



カビているものと

完全にカリカリに

なっているものだけでなく、


普通に無事な梅酒や梅干しも

夫の妹はプンプン怒りながら

バンバンゴミ袋に

ビンごと放り込んでいましたムキー



夫の妹達の自治体は

ゴミ捨ての基準が緩くて

良かった…。



私も昨年

母が元気な時は

そんな風にすべてのものを

捨てまくったのですが、


母が亡くなった今では

少しものの見方が

夫達とは異なっています。



私は夫の妹に

「この2つだけ

とっといていい?」と声をかけて

大丈夫そうな

梅干しのビン2つを

救い出して、

一粒食べてみました。



「ウェ〜、

それを食べるの!?ガーン


やめなよ、

◯さんお腹壊すよ!」と

夫の妹が私に言い、


夫も

「それ、僕のお弁当に

入れる気なの?ガーン」と

言いましたが、


私は

「梅干しは

江戸時代のものでも

食べられるし、


アミノ酸と塩分が調和して

かえって古いものほど

美味しくなるって

NHKで言ってたよ。」と答えて

口に入れました。



一体何十年前に作ったのか

わからないけれど、


夫の母が作った梅干しは

まろやかな塩気と酸味で

美味しかったので、


私は1ビンを

流しの下にしまい、


1ビンを家に

持って帰ると

2人に言いました。



「お母さんは

梅干しは食べないから、


流しの下のは

もういらなくない?えー」と

夫の妹が言いましたが、


「全部捨てちゃうと

お母さんが悲しむかも

しれないし、


うちの親も

食欲がなくなってからは

梅干しとかレモンとかで

なんとか食べてたから、


一応取っといた方が

いいと思う…。」と

私が答えると、


2人とも

私が好きなように

しておいてくれました。



私は入院していて

全く面会出来ない夫の母に

ラインで、


「台所を

●ちゃんと一緒に

片付けました。



お母さんが作った

梅酒と梅干しは、

カビているものは

捨てました。



大丈夫なのは

1つずつ

シンクの下に入れました。



後は私が全部

もらっていきますね。」と

嘘をつきました。



夫の母からは

「ありがとう。

嬉しいです。」と

返信が来ました。



夫の母は

きっとホッとしてくれたと

思います。



夫の母手作りの

梅酒や梅干しは

夫の母が亡くなったら

もう作る事が

出来ないのです。



親が大切な家族の為に

何かを作ってくれたり

食べさせてくれる

その有り難さ

かけがえのなさは、


私も自分の親が

家事が出来なくなるまで

わかりませんでした。



人はいつかは

必ず亡くなるのだけれど、


親が亡くなる辛さや

この切なさは、


まだ親を1人も亡くしていない

2人にはまだ

わからないのです。



夫の母が亡くなってはじめて

夫にも夫の妹にも

その悲しみが本当に

わかるのだと思います。



私は我が家にある

夫の母手作りの

梅酒1ビンと

梅干し1ビンを

とっておいて、


夫の母が亡くなったら

夫に出してあげて

2人で大切に味わおうと

思います。