東北に住む
夫の実家では
夫の父が何年か前
脚を悪くしてから、
夫の父だけが
１階で寝起きを
するようになりました。
夫の母はそのまま
２階で寝起きしていました。
１階の風呂場掃除で
既にヘトヘトになった
私ですが、
昨年自分の母を
介護した体験から、
夫の母が使用していた
２階のお風呂場も
他の部屋も、
おそらく、
ひどい事になっているに
違いないという確信が
私にはありました。
ずっと私は
夫の実家の水場を
掃除したかったのに
今までは
させてもらえませんでした。
夫の母が入院しているうちに
なんとしても
今日全部の掃除を
してしまわなければと
思った私は、
階段を上って
夫の母のテリトリーの
２階に行きました。
２階に行ってみると、
昨年来た時と較べて
意外なほど綺麗に
片付いていました
夫の父によれば、
最近夫の母は
古い本を紐で縛ったり
着ない服を捨てたり、
しきりに２階の片付けを
していたそうです。
しかも、夫の母は
夫の祖母が生前使っていた
紙おむつをカバンに詰めて、
入院荷物のような支度を
残していたそうです。
夫の父は
「もしかすると
（病院に行ったら）
入院するかもしれないと
思うほど、
よっぽど具合が
悪かったのかなぁ…。
それにしても、
おふくろの紙おむつを
入れるなんて…。」と
話していました。
どうも夫の母は
何か期する所があって
家を少しでも
断捨離しようとして、
焦っていたようでした。
寝室に入ると
泥棒に入られたように
ひどく乱雑でした。
ものをどこにしまうのか
夫の母は色々な事がもう
わからなくなっていたのだ
と
私は驚愕しました
こんな状態なのに
家のものをなんとかして
自分で断捨離して、
入院の荷物もなんとかして
自分でまとめようと
していたんだな…と
思うと、
私は夫の母がかわいそうで
ワァッと涙が
出て来ました
２階のお風呂場に入ると、
蛇口や浴槽の縁に
血が混じった便らしきものが
こびりついていました。
夫の妹に聞くと、
粗相をしてしまった母は
お風呂場で服や下着を
こっそり洗っていたようです。
入院する１週間前
（今から２週間前）
血液が混じった
水様性の便が止まらないのだと
打ち明けられた夫の妹が、
びっくりして
１週間後に会社を休んで
病院に連れて行ったその日に
夫の母は
緊急入院になりました。
夫の母本人は
痔が悪化したか
コロナの後遺症だとばかり
思っていたのだそうです。
私が呆然として
風呂場に立ち尽くしていると
夫がやって来て、
「２階のトイレが
汚れているから、
僕が掃除する。」と
私に言いました。
私が急いで
２階のトイレに行くと、
壁や床や便座には
血を拭き取った跡が
残っていました。
これは、
夫の母は
相当辛かっただろうな…と
愕然としました。
でも、
尿が出なくて
腎不全になったはずなのに、
便までこうなっていると
いうことは…
「おふくろ、
どうしてこんなになるまで
我慢してたんだろう…。」
「お母さん、
かわいそうに…。」と
私と夫は
トイレの前に立って
涙を流しました
それから、
私はお風呂場を
夫はトイレを、
さめざめと泣きながら
掃除しました。
続きます。