自分の会社なのに

面談の為に会社に向かうのは

初めは緊張しました。



混み合う朝ではなく

午後の空いた電車に

乗っていると、


なんでこんな事に

なってしまったのかなぁ…と

ついクヨクヨして

少し泣いてしまいましたが、


もうなるようにしか

ならないのだから

後悔しないように、


今日は自分の思う事は

この際全部言おうと思って

開き直りました。



私は何も悪くないのだから

コソコソする必要もないんだと

胸を張って、

ビルの入口に

社員証をかざして扉を開け

会社の中に久しぶりに

入りました。



今はフロアの行き来が全くなく

やり取りは全部メールか

他のツールで行っているので、


勤務中に席を立つ事は

ほとんどありません。



勤務中はメールや

他のツールからの連絡が

ひっきりなしに来るので

私を含めみんな

席から離れられず、

1日中机にへばりついて

パソコンを睨んでいました。



だから私が

Gさんに言われたり

されている事を知っているのは

同じ部署の人だけで、


私にGさんから来た

メールの中身や

資料の中身を知っている人も

同じ部署の

さらに限られた人だけでした。



部署で一番偉い人は

Gさんなので、


つまりGさんは

密室に私達といるようなもので

何でも人に気づかれずに

やりたい放題なのでした。



日中はエレベーターも

ほとんど使われないし

トイレか大きな会議でもなければ

廊下に出る事もないので、


人事のあるフロアの

会議室に着くまで

私は誰にも会いませんでした。



指定された会議室に入って

少し待っていると、

時間通りに支社長が

ドアを開けて

入って来られました。



初対面でお会いした支社長は

なんと、

私とおそらく同世代の

女性でしたびっくり



今まで男性の支社長しか

赴任して来た事が

なかったので

意表をつかれましたが、


最初にお顔を拝見した瞬間

「あっ、

この方なら

私の話をわかって下さるかも!?おねがい」と

直感的に感じました。



私がいる支社は

新宿とか渋谷とかの

大きな支社ではないせいか、


赴任して来られる

全国型の社員の方々は、


(男性の)Kさんのように

体調を崩して休職した後

赴任して来た方や、


Kさんの前任者のように

不倫して男性だけ飛ばされたという

噂の方や、


育児休業明けの方など、


なぜか何かの事情があって

リハビリの一貫のようにして

やって来る方が、

うちの支社は非常に

多いのです。



そのまた下の

地域型の役職の人は

女性のKさんの

息のかかった子分か

Kさん一派の誰かのお気に入りで

占められている結果、


ヤンチャ風味というか

体育会系というか

ヤンキー風味が強い人が多く、


昔、学生の頃

徒党を組んで

級友に睨みを利かせていたような

人達ばかりで、


私の支社は

まるで遠足のバスの後部座席を

不良グループで陣取って、

クラスを牛耳っているような

有り様なのです。



また、これらの方々は

支社から動く事は

まずありません。



支社長は毎回

ちゃんとした方が

いらっしゃるものの、


いつも様子がわからないうちに

異動してしまわれます。



私がお会いした支社長は

知的で品が良い雰囲気の

素敵な方でした。



私が役員秘書をしていた頃

お会いしていた方々は

みな支社長と同じような

雰囲気の方達ばかりでした。



私の夫も

そうした役員の方々と

同じ雰囲気を持っていて、


けしてハンサムではないけれど

私の夫に会った人達は

「ご主人、

すごく素敵な人ね」と

皆さん言って下さいます。

(あら、

ドサクサにまぎれて

またのろけてしまいました爆笑



私は支社長を一目見て

とてもホッとしたし、

心がスッと

爽やかになりました照れ



支社長は私の話を

適切な質問を挟みながら

的確に要点を押さえた

メモを取りながら、

終始真剣に

聴き取って下さいました。



支社長の巧みな要点整理と

リードのお陰で、


私の言いたい事や

問題点は

とてもスムーズに

まとめてもらえました。



私はこれまで色んな所で

色んな人に自分の窮状を

訴えて来ましたが、


支社長のように

「つまりこういう事で

お話は合っていますか❔」

「ここまでは

こういう理解で

いいでしょうか❔」と

内容や要点に間違いがないか

私に確認しながら

お話を聴いて下さる方は、


メンタルクリニック含めて

これまでただ1人も

いらっしゃいませんでした。



それだけでも

支社長がどれだけ誠実で

真摯な方なのか、


どれだけ

これまでの方々は不誠実で

私の切羽詰まった話を

真面目に取り合おうと

してくれなかったかを、

私は痛感しました。



支社長はそれだけでなく

私の目をハッキリ見ながら

険しい顔で、

「それはおかしい」

「それは明らかに

問題があります」と

話の所々で

断言して下さいました。



その短い言葉が

どれだけ私の心を癒やし

私を勇気づけたか、

わからないほどです。



まさに地獄に仏とは

この事だわと

思いました。



私の話をすべて聞き終えた

支社長は、

私に最後に

こう言いました。


「私は今年

ここに来てから

ここは何だかおかしい、


どうもおかしいと

ずっと思って来たのですが、


その原因が実は

わからなかったのです。



◯さんのお話を聴いて

やっとその原因の一端が

分かったような

気がしています。



この事について

私は今

色々思いついた事や

やらなくてはならないと

考えた事があるのですが、


申し訳ないけれど

今はその事を

◯さんにお伝えする事は

出来ません。



私は◯さんの部署だけでなく

支社全体を考えて

行動しなくては

ならないからです。



支社全体を変える事は

すぐには出来ません。



私がいる間に

それが出来るかどうかも

わかりません。



◯さんが会社に戻る前に

それが出来るかどうかも

正直お約束出来ません。



ただ、


今日◯さんから話を聴いた時に

私が感じたこの気持ちは、


私はこれからも

忘れませんから、


もう少し

待っていて下さい。



だからどうかそれまで

今は何も考えずに

ゆっくり会社を休んで、

治療に専念して下さい。」



私は支社長から

このように言われて、


初めてちゃんと私の話を

聞いてもらえて、


初めて会社を変えますと

言ってくれる人に巡り会えたと

感動して、

涙が出ました。



いいえ、


私の事を心配して

助けてくれたり

声をかけてくれたり

怒ってくれた人は

たくさんいたのですが、


会社で現実的に私を助け

会社を変えると

断言してくれた人は

支社長が初めてでした。



支社長にこのように

言われるまでは

これでわかってもらえなかったら

会社を辞めるしかないと

思い詰めていたのですが、


私は支社長の

この言葉を聞いて、


支社長を信じて

支社長の言葉通り

もうしばらく会社を休んで

待ってみようと

思いました。



支社長に

毎日Gさんに休みの連絡をするのが

苦しくて辛いのだと

訴えたところ、


診断書を人事に送ってくれたら

もう休みの連絡は

しなくていいこと、


今後は私と会社とのやり取りは

上司のGさんではなく

上司の上司のKさんにしますとも

言ってもらえました。



あちこち相談しては

その度軽くあしらわれて

ちゃんと取り上げてもらえなくて

精神的にすごく

辛かったけれど、


最後の最後まで

諦めないで

支社長に何とか辿り着いて

面談が出来て、


ちゃんと話を聞いてもらえて

わかってもらえて、

本当に良かった…えーん



あと1回だけ

会社の話は

続きます。