妹の会社は

毎月1日〜10日が

とても仕事が忙しいです。



けれど、1月5日は

私は病院の予約が

元々入っていた為、


妹に母のホームに

行ってもらう事に

なっていました。



忙しい妹は当初5日は

姪っ子に母のお世話を

頼んでいて、


段取りを把握してもらう為に

あらかじめホームに

姪っ子を連れて来て、


赤ちゃんや子供のお世話も

全くした事がない姪っ子に

妹が食事を介助する様子を

見てもらったりして、

備えていました。



ところが、4日に

母が誤嚥を起こした為、


もしも5日に

母の容態が急変するような

突発的な事態が

起こった場合、


姪っ子がショックを受けて

トラウマになるかもしれないと

妹は心配しました。



妹の前の夫(姪っ子の父)が

突然亡くなった後

妹と姪っ子は何年も

うつ病に苦しんだ事があり、


実は寛解した今も

2人とも精神的に

あまり強くはないからです。



結局、

5日からは食事介助も

看護師さんがして下さる事に

なったので、


姪っ子はホームに行かず、

妹は仕事が終わった後

母の所に行きました。



「お姉ちゃん、

私今

ママの所に来たんだけど、


ヤバいガーン



「何❔

どうしたの❔びっくりタラー



「なんか、ママ、

この間より

具合が悪くなってる。」



「そんな…ガーン

どういう事❔


寝てるの❔」



「寝てない。



でも、なんか、

顔つきが

急に変わった。



5時に食事が来たから

食べる❔って聞いたら

『食べる。』っていうから

少しあげてみた。」



「食べられた❔」



「2口食べた時点で

急に手を上げたから

怖くなってやめた。



ヘルプケア(介護記録)見たら

昼はお茶とお味噌汁しか

摂ってない。」



「血尿は❔」



「全然治ってない。

真っ赤。



それに、

おしっこが全然

管に入ってない。」



妹がここで

写真を送ってくれたのを見て、

私はびっくりしました。



「えっ、何これ❗ガーン



昨日も真っ赤だったけど

管にはおしっこが

ずっと繋がって

入ってたのに…。



どうしよう、


どうしたらいいの…。」



「わからない。」



「メイバランス飲ませる❔」



「飲ませられるかな…。



来てすぐに声かけて

私の事わかる❔って言ったら、


『◯子。』って答えたから

まだ大丈夫みたいだけど、


ただ、

ヘルプケア見たら

『血尿悪化の為

往診医に連絡』って

書いてある。」



「えぇ…。」



「それが、


間が悪い事に

今日から●(甥っ子)が

卒業旅行で友達と

スノボに行くんだけど、


『新宿から夜行バスに乗るから

なるべく早く

家に帰って来て』って

さっき連絡があったの。



18時に看護師さんが来たら

後はお願いして

18時半には帰る事にする。



それで、

メイバランス

飲ませられそうだったら

飲ませてもらうように

頼んでみる。」



「わかった。」



私は妹の話を聞きながら、


私の病院が終わったら

私が母の所に行ってあげれば

良かったのに…と

思いましたショボーン



でも、今後は

6日と7日は2日連続で

私が母の所へ行き、


8日は妹が

母の所へ行くけれど、


9日〜12日は4日連続で

また私が母の所へ行く事に

なっていたので、


遠くから通う私は

正直5日と8日は

体力と精神力を

なるべく温存したかったのです。



妹は妹で

母が年末からすごいスピードで

具合が悪くなっている為、


不測の事態に備えて

妹の担当の仕事を

早いうちにすべて

終わらせようとして、


お正月以降

自分しか出来ない仕事は

前倒しでやったり、


他の人でも出来る仕事は

もし急に何かあっても

いつ他の人に引き継いでも

いいようにする為に、


休日も会社に行って

根を詰めて仕事を

バリバリ片付けていました。



この日、

母は妹に最後の最後まで、


「帰らないで。」

「今日はここに泊まって。」

「段ボール敷いて

ママの替えのお布団敷いて

ここで寝たらいいじゃない。」

「●なんて、

もう大きいんだから

自分で荷造りして

自分で行かせなさい。」と

ものすごく強い調子で

粘ったそうです。



けれど、

家事をしない家族が

いらっしゃる方は

おわかりかもしれませんが、


家の中のどこに何があるか

とんとわかっていない

息子というものは、


たとえ成人していても

スキー用品と来た日には

探し出すことさえ

全く出来ないのです。



ましてやそんな息子に

1人で荷造りをやらせて

1人で旅行に行かせるのは

暴挙という他なく、


後で余計面倒になる事が

明白なのです。



母の懇願を振り切って

看護師さんに

引き継ぎをお願いして

逃げるようにホームを出た妹は、


「●の馬鹿❗ムキー


なんでこんな時に

友達とスノボなんて行くのよ❗えーん」と、


母への申し訳なさと

自分の息子の不甲斐なさと、


親と子が両方困っていたら

親の方を見捨てて

子を選んでしまう

自分の非情さに、


色んな事が

辛くて悲しくて

もう嫌になって、


自分が情けなくて、


泣きながら車で

家に帰ったそうです。



妹の話を聞く私も

何ヶ月も自分の家族は

ほぼほったらかしで

休みの日はずっと

1日中母の所にいるので、


少しでも時間が取れたら

会社や家の用事をこなしたいし

家族の為にも

時間を取ってあげたいし

自分の体も

少しは休めたいという気持ちと、


もうあまり時間が

残されていない母の為に

24時間そばにいたいという

本能的な衝動のはざまで

揺れ動き、

引き裂かれる妹の気持ちが

よくわかるのでした。



私は妹の話を

うんうん、

わかるよ、

そうだよね、

辛かったよね、と

頷きながら、


一緒に泣きながら

聞き続けました。