緩和ケア病棟の面会は

午前11時から

午後8時まででした。



朝は朝食とか回診があり

夜は9時が消灯なので、

そうなるようでした。



薬が増えたからか

それとも体調なのか

緩和ケア病棟に来てからは

母は午後は

寝ている事が多く、


起こしても全く

起きなかったり

起きていても

反応が薄かったりするので、


私達は比較的

母の状態が良くて

意識がはっきりしている

午前中に行くように

していました。



本当は午前11時ぴったりに

予約したいのに、


午前11時には

毎日同じ人が予約していて

一度も取れず、


私達は毎日11時15分に

予約していました。



たまに混み合う土日などで

お昼にしか予約が取れないと、

母の食事を見ているだけで

面会が終わりました。



緩和ケア病棟にいる間

母は上半身は

普通に動いていたので、


スプーンやお箸を使って

「味が薄いのよ」

「あんまり美味しくないのよ」と

言いながらも、

毎回完食していました。



入院前は◯にたいとか

眠れないとか

あんなに訴えていたのに、


不思議な事に

緩和ケア病棟に入院してからは

母は一切そういう事は

言わなくなりました。



もしかすると

薬の量が格段に増えたので

症状が上手に

抑えられていたのかも

しれません。



毎日11時に

予約していた方の名前は

ほどなく見なくなりました。



けれど、

かわりに別の人が

毎日11時に

予約を取る為に

結局私達の11時15分は

変わりませんでした。



今度の11時の患者さん

(予約は患者名で取ります)は

なんと、

私と同じ姓でしたびっくり



あまり見かけない姓なので

私と妹とは

その偶然が面白くて

2人で話題にしたし、

母にもその話をしました爆笑



「そうなの❔

どんな人なのかしらねぇ。」と

母も言っていました。



面会前には

検温や消毒の時間があり、

面会が終わると

ナースステーションで

次の予約が1回分だけ

取れるので、

実際は30分ほど

私達は病棟内にいます。



他の面会の方と

廊下ですれ違っても

おかしくないのに、

どういう方法なのか

入院中一度も他の人には

出会いませんでした。



ある日、

看護師さんから渡された

予約のノートを見ると、

その方の名前は

別の方の名前に

変わっていました。



次の日も

その次の日も

私と同じ姓の方は

ノートにいませんでした。



私と妹とは

「お姉ちゃんと同じ名前の人、

見なくなったね…」

「そうだね…」と

1回だけ話して、


それきり話題には

しませんでした。



もちろん母には

何も言いませんでした。



そして母も

緩和ケア病棟を

出ることになりました。



続きます。