Mちゃんが

今までしまっていた

心の中の小箱を開けて

私にだけそっと

見せてくれた時、


一生懸命

Mちゃんの話に

耳を傾けながら、


いつしか私は

今までずっと

私の心の

奥深くにしまっていた

小さな箱を

そっと取り出して、


手の中に

握りしめていました。



「…大変な事を

話してくれて

ありがとう。



Mちゃん、


生きていてくれて、

ありがとう。



Mちゃんが

生きていてくれたから

私はMちゃんに会えたし、


Mちゃんのお母さんと

妹さんのことを

聞く事が出来た。



本当に良かった。



『大変』なんて

簡単な言葉で

ひとくくりに言えないような

事だけれど、


お父様もMちゃんも

本当に

大変だったね…。



『わかるよ』なんて

簡単に口にしたら、


いけない事は

わかってるけれど、


でも、私、

わかるの。



私も同じような

経験をしたから。



私の父の話も

よかったら

聞いてくれるかな❔」



私はそうして、


Mちゃんが立ち止まって

振り向いて私を

待っていてくれる

所まで、


小箱を手に持ったまま

スケート靴で凍った湖面に

そっと足を

踏み出すように、


リアルな世界で

大人になってから

人に話した事がなかった、


私の父に起こった

異常な◯と、


私達の家族のことを

静かに

話しはじめました。