母が亡くなる
直前のことです。


母がいよいよ
明日をも知れぬ病状になった時、


流石に松の内を過ぎてから
私は桐の箪笥を開けて
喪服を出しました。


それまでは
縁起でもないし
母が亡くなるなんて
考えたくもなかったので
怖くて喪服を出す事が
出来なかったのですが、

とうとうその時が
来てしまったのだと
私も認めざるを
得なかったからです。


そして喪服に
おかしな所がないか、
カビなど生えていないか
ほつれはないか
入念にあらためました。


大丈夫な事を確認すると
私は次に
実際に喪服を着て
何か問題がないか
チェックする事にしました。


あらたまったお出かけの時は
私は粗相がないように
前日までに着るものや
持ち物をチェックします。


「出針は縁起が悪い」と
祖母も母も夫の祖母も
呪文のように
よく言っていたものです。キョロキョロ


これは、
出かける直前になって
服の綻びに気づいて
針を使うと
慌てているので事故の元になり
危ないので、

明日着る服は前日までに
チェックしなさいという戒めだと
私は捉えています。


すると、なんと
非常に残念な事が
ここで発覚しました。ガーン


喪服とそれに沿った襦袢は
私より背が高かった
母の寸法で
仕立てていた為、

長襦袢の丈が
私には長かったのです。ガーンガーン


女性の着物は
人の着物を着ても
おはしょりでどうにでも
調整出来ますが、

長襦袢は下着ですから
対丈で自分の身長に合わせて
仕立てるのです。


結納金がなかった為に
私の着物は全部
母のお下がりであることが、

よりによって
母が亡くなりそうだという
こんな局面で、

襦袢の丈が合わないという
痛恨事になって
返ってくるなんて…。悲しい


普段着用の長襦袢は
着倒してクタクタですし
白ではありません。


黒留袖用の長襦袢は
おめでたい地模様ですし、

仕方ないので
私は長襦袢を脱いで
裁縫道具を取り出し、
丈を直しました。


出針をしなくて良かった…と
前向きに考えながら。


丈を直してから
あらためて私は
喪服を着てみました。


ものすごく久しぶりに
着物を着たし
自分で買った喪服用の帯が
漆仕上げという
革のような質感のもので
甚だ締めにくく、

確かに珍しいけれど
どうして私は
こんなに変わった帯を
選んだのだろう…と
私は自分の事を
少し恨めしく思いました。


まぁ、
でも、
とりあえず着られました。


あともう1回くらい
本番までに練習しようと
思いながら
ふと喪服用の草履を
履いてみた時、

さらに大変な事が
発覚しました。ガーン


冠婚葬祭など
大事な局面に際しては
事前の準備が大切だと
つくづく思いました…。泣き笑い


あ〜、本当に
気づいて良かった❗爆笑


お陰様で
ことなきを得た話については
次に書きますね。ウインク


続きます。